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拍手小話ログ 6

◆ルーと買い出し。




「やっぱりルーがいると大量だね」


晴天が広がる賑やかな街の一角で感嘆とした声を上げたのはカイルで、その視線の先には沢山の食材やグミなどのアイテムがあった。

今日は、アドリビトムでの恒例行事の一つでもある買い出しの日で、買い出しメンバーはその時その時で変わる。
大所帯のギルドになったアドリビトムの買い出しは豪快な量となるため、続けていきたがる人がいないのも理由の一つだ。
今日も大量の食材やアイテムを買いにきたのだが、気付くと予定していた量よりも随分と多くなっていた。
これはルーが買い出しに行くと恒例的な現象だ。

「ルーと一緒にいるとつい可愛がりたくなるんじゃないかしら」

ジュディスはふふっと笑みを浮かべながら、ちらりと視線を移すと、ルーはお店の人と楽しそうに話していた。

ルーは一度会ったことのある人をなるべく覚えるようにしているらしく、再会できると嬉しそうに笑顔を浮かべて声を掛ける。
それが本心から再会を喜んでいるということは、その笑顔を見ればわかるのだ。
ルー自身が人の目を惹く容姿でもあり、すぐに覚えてもらえることも一つの要因でもあるのだろうが、その笑顔を向けられた方は自然とルーに心を開いていく。
そんな調子でルーは買い出しの行く先々で知り合いを作り、会えば可愛がられるようになっていた。
その結果、ルーが立ち寄る先々でルーへのお駄賃やらおまけやらで荷物はどんどん増えていく。

「これも一つの才能かもね」
「才能?」

大荷物の上に肘をのせ頬杖を突きながらレイブンの呟きにカイルが首を傾げる。
すると、ぱたぱたと音を立てながらルーが戻ってくる。

「おかえりルーちゃん。挨拶はすんだ?」
「うん、待たせちゃってごめんな」
「これくらい大丈夫よー?気にしないでね」

申し訳なさそうにするルーにレイブンは笑顔を浮かべ大丈夫アピールをする。
それを見たルーはホッと安堵した表情を浮かべると、その腕に抱えていた紙袋の中をごそごそと漁る。
なんだろうと3人が見ていると、ルーはパッと笑顔を見せる。

「はい!」

笑顔と共に差し出されたのは、まん丸い焼きたてのパン。

「美味しそうだったから皆で食べようと思って買ったんだ!」

目を輝かせながら皆と一緒に食べたいオーラをバンバン出してくるルーに、3人は笑顔を浮かべる。

「そろそろ休憩しようと思っていたところだったから、ちょうどいいタイミングね」

ジュディスからのOKを貰ったルーはパァッと笑顔を浮かべる。

「本当か!?よかった!」
「あ、じゃあ何か飲み物も買おうよ!さっき、あっちにおいしそうなジュース見つけたんだ!」
「へ~、いいなそれ!」
「そろそろヴェイグ達も集合場所に戻ってくるだろうし、ヴェイグ達の分も買っておこう!」
「うん!」

楽し気に話し始めるカイルとルーは荷物を持ち早速買いに向かう。
そんな二人の様子を見ていたレイブンたちは思わず笑顔を浮かべる。

「やっぱりルーちゃんいいねぇ、おっさんの心鷲掴みよ~」
「ユーリが知ったら本当に鷲掴みされるわね」
「それ本当にシャレにならないやつだから絶対に青年にはいわないでね、ジュディスちゃん…」

ここにはいない、ルーのことになると全く手加減をしてこないユーリを思い出し、ぞっと体を震わせるレイブンに、ジュディスは妖艶な笑みを浮かべる。

「…でも、そうね、ルーを独占できる機会なんて少ないから、今日は私たちも、うんとあの子を可愛がりましょ。」

そう言い残すとにっこりと笑顔を浮かべてルーの方へ歩き出す。
いつもよりどこか楽し気なジュディスを見て、レイブンは笑みを浮かべ、その後を追った。





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