拍手小話ログ 4
◆ルーとアッシュ
なんでこうなった…。
アッシュは内心盛大なため息をつく。
今、アッシュがいるのはバンエルティア号の食堂。
そしてちらりと自分の真向かいに目を向けるとそこにはおいしそうにシチューを頬張るルーがいた。
つい先程まで、一人で静かに食事をとっていたアッシュだったが、珍しく一人でいたルーがやってきて一緒に食べていいかと聞かれたのだ。
基本的に誰かとつるむことがあまり好きではないアッシュ、いつもなら断るところだったが、あまりにも期待の籠ったキラキラとした純粋そのものの目を向けられ、断ることが出来ず頷いてしまい今に至る。
ルーが来た時には半分ほどすでに食べ終えていた為、一足早く食事を終えたアッシュは食後の紅茶を飲んでいた。
ふと目の前にいるルーの見ると、貴族として育ったということもあり、テーブルマナーは完璧で、食べている姿は綺麗だった。
普段の子供っぽさがどうも頭から離れないので、なんとも不思議な気分になる。
そんなことを考えながら特に会話することもなくぼんやりと見ていたが、その中ルーの手がピタリと止まった。
それを疑問に思いつつ、よくよく見るとルーが恨めしそうにじっと見つめる先にあるには皿の中に残っている一口大のニンジンが3つ。
それを見て、なんとなく察する。
「…残すなよ」
「うっ…わ、わかってるよ…わかってるんだけど…」
ルーはその中の1つをおずおずとスプーンで掬い上げ、恐る恐る口へ運ぼうとするのだが、直前になって手が止まる。
どうしてもあと一歩が出ない。
その後じっとニンジンとの睨めっこ状態になっているルーに、アッシュはため息をつく。
それにビクッとルーが反応し、ちらりとアッシュの方を見ると、アッシュは自分のフォークを手にするとルーの皿にあった2つのニンジンを突きさし、己の口に運ぶ。
「!アッシュ…?」
何度か咀嚼し眉間に眉を寄せながら飲み込むアッシュ。
突然のことにポカンとしていたルーだったが、確かアッシュもニンジン苦手だったはずだということを思い出す。
「…せめてそれくらいはちゃんと食え」
まさかのアッシュの助け舟を受け、驚きつつもルーはこくこくと頷く。
そして、目を瞑り意を決して口に放り込む。
もぐもぐもぐ…
「…、…まじぃ…」
なんとか飲み込むことができたが、やはり苦手なものは苦手だ。
うっすら涙目になるルーだったが、アッシュを見るとその表情はどこか柔らかく僅かに笑みを浮かべていた。
「食えたじゃねぇか」
よくやったと言わんばかりのアッシュの言葉に、ルーはきょとんとしていたが、じわじわと嬉しさがこみ上げてくる。
アッシュに褒められた…!
「うん!アッシュ、ありがとうな!」
とても嬉しそうに満面の笑顔を浮かべるルーに、アッシュはほんのり顔を赤め、紛らわすよういコホンと咳をする。
完全に照れているアッシュだったが、ルーはニコニコとご機嫌だ。
「なんかアッシュって兄上って感じだな!」
「!…兄上…?」
「うん!」
突然の兄上発言にアッシュはぽかんとしたが、その単語がじわじわとくる。
…やべぇ…。
脳内をエコーする兄上という単語に、アッシュは顔を真っ赤にしながら自分の中に湧きおこる萌えを何とか押し殺すのに必死で体をわなわな震わせる。
それに気づいていないルーは、完食したお皿を見て嬉しそうに笑顔を浮かべた。
そんな赤毛たちを遠目から見ていたティアは目を輝かせながらフルフルと体を震わせていた。
<おまけ>
「…そういえばお前、ルークはどう思ってんだ?」
「え?ルーク?ん~…ルークも兄上って感じかな!」
「…そうか…(不憫な奴…)」
end
なんでこうなった…。
アッシュは内心盛大なため息をつく。
今、アッシュがいるのはバンエルティア号の食堂。
そしてちらりと自分の真向かいに目を向けるとそこにはおいしそうにシチューを頬張るルーがいた。
つい先程まで、一人で静かに食事をとっていたアッシュだったが、珍しく一人でいたルーがやってきて一緒に食べていいかと聞かれたのだ。
基本的に誰かとつるむことがあまり好きではないアッシュ、いつもなら断るところだったが、あまりにも期待の籠ったキラキラとした純粋そのものの目を向けられ、断ることが出来ず頷いてしまい今に至る。
ルーが来た時には半分ほどすでに食べ終えていた為、一足早く食事を終えたアッシュは食後の紅茶を飲んでいた。
ふと目の前にいるルーの見ると、貴族として育ったということもあり、テーブルマナーは完璧で、食べている姿は綺麗だった。
普段の子供っぽさがどうも頭から離れないので、なんとも不思議な気分になる。
そんなことを考えながら特に会話することもなくぼんやりと見ていたが、その中ルーの手がピタリと止まった。
それを疑問に思いつつ、よくよく見るとルーが恨めしそうにじっと見つめる先にあるには皿の中に残っている一口大のニンジンが3つ。
それを見て、なんとなく察する。
「…残すなよ」
「うっ…わ、わかってるよ…わかってるんだけど…」
ルーはその中の1つをおずおずとスプーンで掬い上げ、恐る恐る口へ運ぼうとするのだが、直前になって手が止まる。
どうしてもあと一歩が出ない。
その後じっとニンジンとの睨めっこ状態になっているルーに、アッシュはため息をつく。
それにビクッとルーが反応し、ちらりとアッシュの方を見ると、アッシュは自分のフォークを手にするとルーの皿にあった2つのニンジンを突きさし、己の口に運ぶ。
「!アッシュ…?」
何度か咀嚼し眉間に眉を寄せながら飲み込むアッシュ。
突然のことにポカンとしていたルーだったが、確かアッシュもニンジン苦手だったはずだということを思い出す。
「…せめてそれくらいはちゃんと食え」
まさかのアッシュの助け舟を受け、驚きつつもルーはこくこくと頷く。
そして、目を瞑り意を決して口に放り込む。
もぐもぐもぐ…
「…、…まじぃ…」
なんとか飲み込むことができたが、やはり苦手なものは苦手だ。
うっすら涙目になるルーだったが、アッシュを見るとその表情はどこか柔らかく僅かに笑みを浮かべていた。
「食えたじゃねぇか」
よくやったと言わんばかりのアッシュの言葉に、ルーはきょとんとしていたが、じわじわと嬉しさがこみ上げてくる。
アッシュに褒められた…!
「うん!アッシュ、ありがとうな!」
とても嬉しそうに満面の笑顔を浮かべるルーに、アッシュはほんのり顔を赤め、紛らわすよういコホンと咳をする。
完全に照れているアッシュだったが、ルーはニコニコとご機嫌だ。
「なんかアッシュって兄上って感じだな!」
「!…兄上…?」
「うん!」
突然の兄上発言にアッシュはぽかんとしたが、その単語がじわじわとくる。
…やべぇ…。
脳内をエコーする兄上という単語に、アッシュは顔を真っ赤にしながら自分の中に湧きおこる萌えを何とか押し殺すのに必死で体をわなわな震わせる。
それに気づいていないルーは、完食したお皿を見て嬉しそうに笑顔を浮かべた。
そんな赤毛たちを遠目から見ていたティアは目を輝かせながらフルフルと体を震わせていた。
<おまけ>
「…そういえばお前、ルークはどう思ってんだ?」
「え?ルーク?ん~…ルークも兄上って感じかな!」
「…そうか…(不憫な奴…)」
end