拍手小話ログ 14
◆ルーとジェイド 続編
「腹減った…」
ルークは自室でベッドの上をゴロゴロとだらけていた時、ふと空腹を覚えぽつりと呟く。
今は既に深夜とも呼べる時刻で、普段であれば就寝している時間。
なぜこんな時間帯に起きているのかというと、ついさっきまでジェイドに拘束されていたからだ。
ジェイドがよく分からない調べ物や研究をしているのは認知していたが、ここ最近は特にその調べ物によく巻き込まれる。
しかもその時のルークは完全にモルモット状態で髪を引っこ抜かれたり、血を抜かれたり、よくわからん問診と人を小馬鹿にした嫌がらせを受けたり。正直マジで止めて欲しい。
だからこそ最初はガイを盾に文句を言って抵抗していたが、徐々にそれさえも面倒くさくなってきた。
更にあの陰険鬼畜眼鏡は「ルークが協力しないのであればルーに頼みますから」と脅してくる始末で。
結果、半強制的にルークはジェイドのそれに協力していたのだ。
ようやくその謎の研究から解放され、寝ようとしていた矢先、冒頭に至る。
ガイは珍しくクエストに出ていて不在。
食べ物にありつくには一旦食堂に行くしかない。
めんどくせー…。
どうすっか…とぼんやり考えていると、突然部屋にノックの音が響く。
お、ガイが帰ってきたのか?
ガイに何か食い物頼もうと思いながらルークはベッドから出て、扉を開ける。
だが、そこにいたのはガイではなく、ルークの天敵であるユーリだった。
「!?何の用だよ!!」
思いもしない来客に、ぎょっとしつつすぐに眉を吊り上げる。
空腹でイライラしてるルークの顔には、“なんでこいつと顔会わせなきゃいけねぇんだ!”と思いっきり書いてあったが、ユーリはそれを無視して部屋の奥の方に目を向ける。
「ここにルー来てないか?」
ルーという単語にルークはぴくりと反応する。
「ルーがどうしたんだよ」
「部屋にいねぇから探してんだよ。…ここにはいねぇか」
ユーリは小さく息をつくなり、悪かったなと部屋を後にする。
それを見てルークは眉を寄せる。
トイレとかでたまたま部屋にいないだけじゃないのかと思いつつも、ユーリがルーを心配して探しているのも理解できた。
ルーは戦闘力などには長けているものの、どこか抜けていて、やることなすこと危なっかしい。
以前、一度乖離して消えかかってる姿を目の当たりにしたことがあっただけに、その姿が見えないことに不安を覚えるのも頷けた。
ルークも先ほどまでの空腹を忘れ、変な焦燥を覚えるとその衝動のままバッと部屋を出る。
だが、ふと背後に人の気配を感じたルークは反射的にそちらの方をみると渦中にいたルーの姿があった。
「!ルー!」
ルークが思わず大きな声でその名を呼べば、まだ近くにいたユーリが即座に反応する。
当のルーはといえば、突然大声で名を呼ばれ、しかもルークとユーリのいるこの状況に目を瞬かせていた。
「ど、どうしたんだ?何かあったのか?」
「それはこっちのセリフだっつの!!どこ行ってたんだ!」
「え、どこって…」
ぐいっと迫ってくるルークに、ルーは驚くと同時に困惑気味にたじろいでいるとユーリがルーに近づいてくる。
「ルー、探したぞ…ってそれどうした?」
ルーをよくよく見るとその手元にはお盆があり、その上にはおにぎりが3つあった。
見た所、それは作られて間もないようで、この時間にお腹でも減ったのだろうかとユーリとルークは考えていると、ルーはああこれなと笑顔を浮かべる。
「これか?これはジェイドのだよ。」
思いもよらぬ単語にぴくりと二人が反応する。
「…ジェイドの?」
「うん。ジェイドなんか調べものばっかりしててさ、いっつも飯食わねぇんだよ。体に悪いだろ?だからさっき作ってきたんだ。」
そこまで聞いて二人はピシリと固まる。
“いっつも食べない”?
“さっき作ってきた”?
よくよくそのおにぎりを見ると僅かにいびつな形をしているように見える。
だが、以前ルーの作ったおにぎりを見たことのある二人からしたら、“かなり上達している”。
上達するには熟練度が必要で…。
…まさか
「…ルー、…いつも作ってんのか?」
若干強張ったユーリの問いかけに、ルーはキョトンとしつつも、んーっと考える。
「いつもってわけじゃないけど、3~4日に1回くらいは…」
指折りしながら答えたルーは、ふとユーリとルークを見るとその二人の顔がめちゃくちゃ怖く、思わずびくりと震える。
え!?ど、どうしたんだ?
「おや皆さんお揃いで」
「あ、ジェイド!」
その呼びかけに二人も即座に反応し、バッと後ろを振り向くと、ジェイドがいた。
相も変わらず胡散臭そうな笑みを浮かべ3人の様子をみているジェイドに、ルーは近づき手元の物を差し出す。
「はい、これ。」
「ああ、ありがとうございます」
至極当たり前の様に受け取るジェイドに、ルーはむーっと眉を寄せる。
「研究とか仕事も大変だろうけど、ちゃんと飯食いに行った方がいいぞ?おにぎりばっかりじゃ体に悪いし、ロックス達も心配してたしさ」
「では次は他の物をお願いしましょうかね」
「え、だからそうじゃなくて…、っうおっ!!?」
話の途中、突如背後から寒気がしたルーはその方を見ると、禍々しい怒気を発する二人がいて、その恐怖のあまりびくぅっと震え上がる。
め、めちゃくちゃ怒ってる!なんで!?
本能的に後退りするルーだったが、ぽふっと背中に何かがあたる。
それを不審に思い振り返ると、至近距離にあるジェイドが目に入る。
ジェイドはルーを受け止めた状態で、おやおやと呟く。
「随分大胆ですねえ」
「へ?」「「!!!!!」」
目の前で起こったとんでもない事態にユーリとルークは目にも止まらぬ速さでルーを引っこ抜き、そして二人の後ろに隠す。ルーはあまりの速さに目を回した状態だ。
それらを見ていたジェイドはユーリとルークを見るなり笑みを浮かべる。
「男の嫉妬は見苦しいですよ?」
「「てめぇがそうさせたんだろうがっ!!」」
その後、クタクタになりながらクエストから帰ってきたガイが見た光景は、大炎上している3人(実際は2人)に対して困惑を通り越してただただ呆然としているルーの姿だった。
:::::::::::::::
こちらはリクエストいただいたものです。(大変遅くなりました…><)
以前WEB拍手で乗せたジェイドの話の続きになります。
グダグダですみません!
end
「腹減った…」
ルークは自室でベッドの上をゴロゴロとだらけていた時、ふと空腹を覚えぽつりと呟く。
今は既に深夜とも呼べる時刻で、普段であれば就寝している時間。
なぜこんな時間帯に起きているのかというと、ついさっきまでジェイドに拘束されていたからだ。
ジェイドがよく分からない調べ物や研究をしているのは認知していたが、ここ最近は特にその調べ物によく巻き込まれる。
しかもその時のルークは完全にモルモット状態で髪を引っこ抜かれたり、血を抜かれたり、よくわからん問診と人を小馬鹿にした嫌がらせを受けたり。正直マジで止めて欲しい。
だからこそ最初はガイを盾に文句を言って抵抗していたが、徐々にそれさえも面倒くさくなってきた。
更にあの陰険鬼畜眼鏡は「ルークが協力しないのであればルーに頼みますから」と脅してくる始末で。
結果、半強制的にルークはジェイドのそれに協力していたのだ。
ようやくその謎の研究から解放され、寝ようとしていた矢先、冒頭に至る。
ガイは珍しくクエストに出ていて不在。
食べ物にありつくには一旦食堂に行くしかない。
めんどくせー…。
どうすっか…とぼんやり考えていると、突然部屋にノックの音が響く。
お、ガイが帰ってきたのか?
ガイに何か食い物頼もうと思いながらルークはベッドから出て、扉を開ける。
だが、そこにいたのはガイではなく、ルークの天敵であるユーリだった。
「!?何の用だよ!!」
思いもしない来客に、ぎょっとしつつすぐに眉を吊り上げる。
空腹でイライラしてるルークの顔には、“なんでこいつと顔会わせなきゃいけねぇんだ!”と思いっきり書いてあったが、ユーリはそれを無視して部屋の奥の方に目を向ける。
「ここにルー来てないか?」
ルーという単語にルークはぴくりと反応する。
「ルーがどうしたんだよ」
「部屋にいねぇから探してんだよ。…ここにはいねぇか」
ユーリは小さく息をつくなり、悪かったなと部屋を後にする。
それを見てルークは眉を寄せる。
トイレとかでたまたま部屋にいないだけじゃないのかと思いつつも、ユーリがルーを心配して探しているのも理解できた。
ルーは戦闘力などには長けているものの、どこか抜けていて、やることなすこと危なっかしい。
以前、一度乖離して消えかかってる姿を目の当たりにしたことがあっただけに、その姿が見えないことに不安を覚えるのも頷けた。
ルークも先ほどまでの空腹を忘れ、変な焦燥を覚えるとその衝動のままバッと部屋を出る。
だが、ふと背後に人の気配を感じたルークは反射的にそちらの方をみると渦中にいたルーの姿があった。
「!ルー!」
ルークが思わず大きな声でその名を呼べば、まだ近くにいたユーリが即座に反応する。
当のルーはといえば、突然大声で名を呼ばれ、しかもルークとユーリのいるこの状況に目を瞬かせていた。
「ど、どうしたんだ?何かあったのか?」
「それはこっちのセリフだっつの!!どこ行ってたんだ!」
「え、どこって…」
ぐいっと迫ってくるルークに、ルーは驚くと同時に困惑気味にたじろいでいるとユーリがルーに近づいてくる。
「ルー、探したぞ…ってそれどうした?」
ルーをよくよく見るとその手元にはお盆があり、その上にはおにぎりが3つあった。
見た所、それは作られて間もないようで、この時間にお腹でも減ったのだろうかとユーリとルークは考えていると、ルーはああこれなと笑顔を浮かべる。
「これか?これはジェイドのだよ。」
思いもよらぬ単語にぴくりと二人が反応する。
「…ジェイドの?」
「うん。ジェイドなんか調べものばっかりしててさ、いっつも飯食わねぇんだよ。体に悪いだろ?だからさっき作ってきたんだ。」
そこまで聞いて二人はピシリと固まる。
“いっつも食べない”?
“さっき作ってきた”?
よくよくそのおにぎりを見ると僅かにいびつな形をしているように見える。
だが、以前ルーの作ったおにぎりを見たことのある二人からしたら、“かなり上達している”。
上達するには熟練度が必要で…。
…まさか
「…ルー、…いつも作ってんのか?」
若干強張ったユーリの問いかけに、ルーはキョトンとしつつも、んーっと考える。
「いつもってわけじゃないけど、3~4日に1回くらいは…」
指折りしながら答えたルーは、ふとユーリとルークを見るとその二人の顔がめちゃくちゃ怖く、思わずびくりと震える。
え!?ど、どうしたんだ?
「おや皆さんお揃いで」
「あ、ジェイド!」
その呼びかけに二人も即座に反応し、バッと後ろを振り向くと、ジェイドがいた。
相も変わらず胡散臭そうな笑みを浮かべ3人の様子をみているジェイドに、ルーは近づき手元の物を差し出す。
「はい、これ。」
「ああ、ありがとうございます」
至極当たり前の様に受け取るジェイドに、ルーはむーっと眉を寄せる。
「研究とか仕事も大変だろうけど、ちゃんと飯食いに行った方がいいぞ?おにぎりばっかりじゃ体に悪いし、ロックス達も心配してたしさ」
「では次は他の物をお願いしましょうかね」
「え、だからそうじゃなくて…、っうおっ!!?」
話の途中、突如背後から寒気がしたルーはその方を見ると、禍々しい怒気を発する二人がいて、その恐怖のあまりびくぅっと震え上がる。
め、めちゃくちゃ怒ってる!なんで!?
本能的に後退りするルーだったが、ぽふっと背中に何かがあたる。
それを不審に思い振り返ると、至近距離にあるジェイドが目に入る。
ジェイドはルーを受け止めた状態で、おやおやと呟く。
「随分大胆ですねえ」
「へ?」「「!!!!!」」
目の前で起こったとんでもない事態にユーリとルークは目にも止まらぬ速さでルーを引っこ抜き、そして二人の後ろに隠す。ルーはあまりの速さに目を回した状態だ。
それらを見ていたジェイドはユーリとルークを見るなり笑みを浮かべる。
「男の嫉妬は見苦しいですよ?」
「「てめぇがそうさせたんだろうがっ!!」」
その後、クタクタになりながらクエストから帰ってきたガイが見た光景は、大炎上している3人(実際は2人)に対して困惑を通り越してただただ呆然としているルーの姿だった。
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こちらはリクエストいただいたものです。(大変遅くなりました…><)
以前WEB拍手で乗せたジェイドの話の続きになります。
グダグダですみません!
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