拍手小話ログ 13
◆ルーとニンジン
それは食堂での出来事。
その日、ルーとユーリは特に予定もなく、二人はゆっくりとお昼ご飯を取っていたのだが、途中マオ、ルカ、スパーダが合流し、気付けばワイワイと賑やかなグループになっていた。
食事が進んでいく中、マオはふとルーの方を見るなり口を開く。
「本当、ルーの好き嫌いって凄いよね、エビとチキンばっかり食べてるし。野菜も食べたほうがいいんじゃない?」
ほらとマオが指さす先にあったのは、甘く味付けされたニンジン達。
付け合わせ程度の量しかないが、全く手が付けられていないそれ。
ルーはぎくりとしつつも、顔を嫌そうに歪める。
「う…これ苦手なんだよな…。」
以前アッシュに助けてもらって何とか食べることができたことがあったが、とはいえまずいものはまずい。
食べ物を粗末にしてはいけないとわかっていてもどうしてもだめなものはダメだった。
う~…っと唸ってニンジンと睨めっこしているルーにマオ達はやれやれと考えていると、スッとユーリの手が動く。
「じゃ、俺が貰うわ」
そういうなり、自分のフォークでニンジンを取るなり、さっさと口に運んだ。
それにルーはキョトンとしていたが、その救世主感に目を輝かせる。
一方で、マオ達は驚きつつも若干呆れた様子でユーリを見る。
その後、全てを完食した(ニンジン除く)ルーはご機嫌で自分の食器を片付けに席を外すと、食後のお茶を飲んでるユーリにマオ達の視線が集まる。
「ユーリって本当にルーに甘いよね~」
マオが皆の言葉を代表して口にすると、ユーリは何のことかと僅かに眉を寄せる。
「そんなことないだろ」
「いやいや、甘々だよ!ちょ~激甘!!」
物事を大袈裟に言うのが得意なマオだが、今回についてはルカやスパーダも同意見のようで、うんうんと頷く。
「ルーが自分の苦手なモノとか食いたくないって言ったら食わせねーだろ?さっきのニンジンとかよ」
スパーダの指摘に、ユーリは何を言わんとしているかを理解する。
「ああ、そのことか。いや、ニンジンもそうだが野菜なら普段から食べさせてるぞ」
「え?だって…」
先程のを見る限りどう考えても普段から食べさせているようには思えない。
マオ達が不思議そうに首を傾げていると、上機嫌のルーが戻ってきた。
「ユーリ!この間のクッキーってまだあるか?オレンジ色のやつ」
「ああ、それならストックがある。部屋に戻るか」
「うん!」
お茶貰ってくる!と、ルーはすぐさま来た道を戻っていく。
その後ろ姿を見たユーリは笑みを浮かべる。
「ニンジンだってわからねぇようにすれば食えるからな」
それを聞いたマオ達は目を瞠る。
ルーの言っていたオレンジ色のクッキー。
そして今のユーリの発言。
それって…
「…もしかして…」
「言うなよ?」
ニッと笑みを浮かべたユーリはスッと立ち上がり、食器を片付けながらルーの元へと向かう。
その姿を見て、マオ達は顔を見合わせる。
「…なんていうか…」
「うん…ユーリってしたたかだよね…」
ルカの言葉に二人はしみじみと頷いた。
end
それは食堂での出来事。
その日、ルーとユーリは特に予定もなく、二人はゆっくりとお昼ご飯を取っていたのだが、途中マオ、ルカ、スパーダが合流し、気付けばワイワイと賑やかなグループになっていた。
食事が進んでいく中、マオはふとルーの方を見るなり口を開く。
「本当、ルーの好き嫌いって凄いよね、エビとチキンばっかり食べてるし。野菜も食べたほうがいいんじゃない?」
ほらとマオが指さす先にあったのは、甘く味付けされたニンジン達。
付け合わせ程度の量しかないが、全く手が付けられていないそれ。
ルーはぎくりとしつつも、顔を嫌そうに歪める。
「う…これ苦手なんだよな…。」
以前アッシュに助けてもらって何とか食べることができたことがあったが、とはいえまずいものはまずい。
食べ物を粗末にしてはいけないとわかっていてもどうしてもだめなものはダメだった。
う~…っと唸ってニンジンと睨めっこしているルーにマオ達はやれやれと考えていると、スッとユーリの手が動く。
「じゃ、俺が貰うわ」
そういうなり、自分のフォークでニンジンを取るなり、さっさと口に運んだ。
それにルーはキョトンとしていたが、その救世主感に目を輝かせる。
一方で、マオ達は驚きつつも若干呆れた様子でユーリを見る。
その後、全てを完食した(ニンジン除く)ルーはご機嫌で自分の食器を片付けに席を外すと、食後のお茶を飲んでるユーリにマオ達の視線が集まる。
「ユーリって本当にルーに甘いよね~」
マオが皆の言葉を代表して口にすると、ユーリは何のことかと僅かに眉を寄せる。
「そんなことないだろ」
「いやいや、甘々だよ!ちょ~激甘!!」
物事を大袈裟に言うのが得意なマオだが、今回についてはルカやスパーダも同意見のようで、うんうんと頷く。
「ルーが自分の苦手なモノとか食いたくないって言ったら食わせねーだろ?さっきのニンジンとかよ」
スパーダの指摘に、ユーリは何を言わんとしているかを理解する。
「ああ、そのことか。いや、ニンジンもそうだが野菜なら普段から食べさせてるぞ」
「え?だって…」
先程のを見る限りどう考えても普段から食べさせているようには思えない。
マオ達が不思議そうに首を傾げていると、上機嫌のルーが戻ってきた。
「ユーリ!この間のクッキーってまだあるか?オレンジ色のやつ」
「ああ、それならストックがある。部屋に戻るか」
「うん!」
お茶貰ってくる!と、ルーはすぐさま来た道を戻っていく。
その後ろ姿を見たユーリは笑みを浮かべる。
「ニンジンだってわからねぇようにすれば食えるからな」
それを聞いたマオ達は目を瞠る。
ルーの言っていたオレンジ色のクッキー。
そして今のユーリの発言。
それって…
「…もしかして…」
「言うなよ?」
ニッと笑みを浮かべたユーリはスッと立ち上がり、食器を片付けながらルーの元へと向かう。
その姿を見て、マオ達は顔を見合わせる。
「…なんていうか…」
「うん…ユーリってしたたかだよね…」
ルカの言葉に二人はしみじみと頷いた。
end