このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

拍手小話ログ 1

◆ルーとクレアとアニス
◆「やさしさで溢れるように」設定



「できた…!」

ルーはティアから貰った胸にヒヨコの刺繡があるエプロンを身に着け、食堂の厨房にいた。
髪や顔などいたるところに小麦粉をつけているが、それに気にすることなどなく、今は目の前にある出来立てのピーチパイに目を輝かせていた。

美味しそうな香りを漂わせるこのピーチパイは料理上手なクレアとアニスに助けてもらいながらも、生地からルーが作ったものだ。
見た目は若干いびつではあるが、料理が苦手なルーからしたら感動はひとしおだ。

「うまく焼けましたね」
「うん!」

笑顔で褒めるクレアに嬉しそうなルーはにこにこと笑みを浮かべる。

「ルーって見たまんま不器用だよね~」
「うっ人が気にしていることを…」

アニスに痛いところを突かれ、今度はわかりやすいほどショックを受けている。
面白い位反応豊かなルーに、アニスは笑う。

「ま、でもちゃんとよく出来たじゃん!上出来上出来!」
「…うん、二人のおかげだよ。ありがとう!」

本当に嬉しそうに笑うルーは、興奮しているせいか頬がほんのり赤く、女顔負けの可愛いらしさで、それを直視したクレアとアニスもつられてほんのり顔を赤くする。
これはあのユーリでさえ落ちたのは仕方ないと言わざる負えない。

「えっと…で、それどうするの?一人じゃ食べきれなくない?」

今回、ルーから頼まれてピーチパイ作りを手伝ったのはいいが、1ホールもある大きなパイをどうするのかアニスは疑問に思うと、ルーはああと頷く。

「これは俺が食べるつもりで作ったわけじゃないよ。いつも勉強を教えてくれてるルークとお菓子作ってくれるユーリに食べてもらいたいと思ってさ」

なるほどと二人は納得する。
ルーは日頃の感謝の気持ちを込めて二人へお礼を作っていたわけか。
本当に良い子だなぁと思う。
そしてまたあの二人を虜にするんだろう。
遠巻きからその様子を見てみたいと考えていると、ルーはそわそわし始める。
なんだろうと首を傾げると、ルーはおずおすと口を開く。

「あと…もしよかったら、アニスとクレアにも食べてもらいたいな~、なんて…。ほとんど二人が作ってくれたようなもんなんだけどさ。」

パイを作るための先生役を受けてくれた二人にもと、恥ずかしがりながらも尋ねてくるルーに、二人は思わずキュンとする。

なにこの子!ちょー可愛い!!

「うわっな、なに!?」

アニスとクレアは可愛い弟ができたような気持ちで思わずルーを抱きしめる。
ルーはと言えば、いったい何が起こったのかわからず目を白黒させる。




その光景をたまたま見ていたルーティは思う。

「あれが噂の天然キラー…流石ね」



end
1/1ページ
web拍手