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第16話





次の日。

ガルバンゾにへと向かうルー達を見送りにバンエルティア号の出入口に多数の仲間達が集まっていた。

「ルー、ハンカチは持った?忘れ物はない?」
「うん、大丈夫だよ」
「ちゃんと寝る時はお腹冷やさないようにするんだぞ」
「う、うん。」
「知らない人に話しかけられてもホイホイついてっちゃダメだよ!」
「~っわかってるよ!つーかなんで皆して俺を子ども扱いするんだよ!」

ティア、ガイ、アニスから繰り広げられる明らかな幼児向けの言葉に、ぷくっと頬を膨らませながらポコポコと怒るルー。
そのなんとも可愛らしい姿に、皆思わず笑顔を見せる。
実際にルーはまだ7歳の子どもであるのだが、それを差し引いたとしても誰もがついつい甘やかしたくなってしまうのだから仕方ない。

「ルーがいないと寂しくなるなー」
「いないって言っても数日間だけなんだけど…」
「それでも会えないのは寂しいです」

ロイドの言葉に同意するようにプレセアがポツリと呟くと皆うんうんと頷く。
それを受けたルーはきょとんとしていたが、じわじわと嬉しさと気恥ずかしさを感じる。

「羽目を外し過ぎない程度に、楽しんでらっしゃい」
「うん…!」

リフィルの言葉を受け、ルーは嬉しそうに笑顔で頷く。

そんな微笑ましい光景をユーリが見守っていた、その時だった。

「おい」

突然背後から声を掛けられたユーリはそちらの方を見ると、そこには眉を寄せむすっとした表情のルークがいた。

「坊ちゃん?」

ルークの方から声を掛けられるなどほとんどないユーリは不思議そうに見る。
そんな中、ルークはぎゅっと手を握りしめると口を開く。

「…ルーに何かあったら許さねぇからな」

ユーリを強く睨みつけながらそう言い放ったルーク。
ユーリは僅かに目を瞠ったが、すっと真顔になるなりルークの方に向き直す。

「わかってる、あいつは俺が守る」

ユーリの返答を受けたルークはフンと言い捨てながらすぐに顔を背け、そのまますたすたとルーの方に向かう。
ルークの存在に気付いたルーは笑顔でルークに話しかける。
その時のルークの表情は先ほどとは打って変わって優しげな笑みを浮かべていた。



ある程度皆と挨拶を終えたルーは荷物を持つと仲間達の方を見やり、そしてとびきりの笑顔で告げた。

「いってきます!」
「いってらっしゃい!」









続く



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