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番外編2


>>ユーリ視点

人混みに紛れつつも人目をひく鮮やかな朱毛のひよこ髪。
ずっと(と言っても一週間程度)会えなかった、一番心を占拠している人物のルーがそこにいた。
その姿にユーリは呆然とする。

…ついに幻まで見てんのか?末期すぎんだろ…

突然負のオーラが消えたユーリに気づいたレイブンは不審に思いながらその視線の先を追う。その原因を知るなり驚きつつも藁をも縋る気持ちで手を振る。
すると、ルーの方もユーリ達に気づいたようで、驚いた顔を見せたが、すぐにパッと笑顔を見せ、バタバタ近づいてくる。

「ユーリ!レイブンも!」

ルーもまさかこんな所で会えると思わなかったのだろう、ビックリしたと呟きながらもその表情はとても嬉しそうにニコニコ笑顔で、ユーリは思わず目が釘付けになる。

「ルーちゃんどうしてここに?」
「今受けてる長期クエストがひと段落してさ、今日はアイテムとかの買い出しも兼ねてこの街にきたんだ。買い出しもさっき終わったから今は自由時間」
「なるほどね。」
「ユーリ達は…ってどうしたんだ?」

呆然とした様子でじっとを見つめているとルーは首を傾げる。可愛い。

「いや〜今すごい危ないところだったから、本っっ当ルーちゃんに会えておっさん嬉しい!!ありがとう!!!」
「え?あ、う、うん?」

まるで救世主のように崇めてくるレイブンに押され気味なルーは戸惑いながら言葉を返すと、ユーリの方を見る。
目がパチリと合うと、ルーは少し頬を赤らめはにかみ笑顔を見せた。
ユーリはどくりと脈を打つ。体が自然に動き出そうとする。
だが次の瞬間、耳に聞こえてきた声にピクリと反応し、そちらの方を見ると自分に声を掛けてきた女子達がルーを見ながら仄かに顔を赤らめキャッキャとしていた。
二人はカッコいい系の青年に加えて、突然の可愛い系美少年の登場にテンションがあがっていたのだ。
知り合いよね、誘っちゃう?誘っちゃう?とこそこそと話している声が聞こえてくる。
流石のルーも二人の存在に気づいたようで、誰だろうと首を傾げながら女子達を見る。
それに対し先程の不快感をぶり返すどころか、ドロドロと腹の底から溢れ出る黒く不快な物が自分を包み込んでくるのを感じた。
ユーリは無言のままスッと立ち上がり、ルーの視界に女性達が入らないよう遮るようにして近づく。
するとルーはユーリを見るなり首を傾げた。

「どうしたんだ?もしかして具合悪いのか?」

無言で機嫌の悪そうなユーリに心配するルー。
その綺麗な目に自分だけが映っていることにユーリは渦巻いていた靄が晴れていくのを感じた。

「大丈夫だよ。それよりルー、今時間あるか?」
「?うん」
「ここの近くにパフェの上手い店あんだよ、いかねぇか?」
「!行く!」

パフェという単語にキラキラした笑顔になるルーに、自然と頬が緩む。
本当に癒される。
抱きしめたい。
このまま自分のものになったら…。
そんな邪なことを思いつつ、ひとまずは今だけでも独り占めしようと心に決めた。




>>ルー視点

それまできゃっきゃと声を上げていた女の子達が不自然に静かになったのを感じ、どうしたのかなと見れば二人は顔を真っ赤にして固まっていた。
その視線の先を追うと、優し気に微笑むユーリ。
その微笑みは思わず見惚れてしまうほど綺麗だった。

「ルー行くぞ」
「あ、う、うん」

ルーはユーリに促されるまま案内される方へと歩き出す。
ちらりと背後に視線を送ると、変わらずに頬を染めている女の子達の姿があった。
ユーリがモテるというのは聞いたことがあった。
もしかして彼女たちはユーリに好意があったのではないだろうか。
そう考えた途端ちくりと胸に痛みを感じる。

…?何だろう?

初めて感じる胸の痛み。
これが何の痛みなのか分からず首を傾げたが、前を歩くユーリに声を掛けら他愛もない会話をしていく内にその痛みはすっかりぬけていった。





そんな二人の様子を見ていたレイブンは意味深な笑みを浮かべていた。



fin

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