第31話
突如空気を斬る音がしたかと思えば、アルンプルトの顔すれすれに槍が飛んでくる。
そしてそれは近くにいたピオニーの横を通過した。
「「!?」」
ピオニーはばっと飛んできた方を見ると、そこにはジェイドがいて胡散臭い笑みを浮かべていた。
「すみません、手が滑りました」
「おまっ!!俺に当たったらどうするつもりだ!!」
「そうですね、大変な事故になりますね」
「事故で済むか!」
一方的な言い争いが始まった二人を見て、ルーはぽかんとしているとどこからともなく奇声のような声が聞こえてくる。
「?なに…」
「ご主人様―――――――――――――――っ!!!!!」
「!?」
猛烈なスピードでルーに向かって飛んでくるのはここにいるはずのないミュウの姿。
驚くルーにミュウは勢いを止めずにその顔に抱き着く。
「ご主人様大丈夫ですの!?ケガしてないですの!?ミュウ心配してたんですの!!ご主人様~~~~~~っ!!!!」
「みゅ、ミュウ…」
耳の近くで騒がれ、ぎゅうぎゅうと顔に抱き着いてくるミュウにルーは正直うるせぇしうぜぇと思った。
だが、それもすぐに疑問に変わる。
「え、つーかなんでここに…」
「ルー!」
「!イオン!」
声のする方を見れば、イオンとシンクがこちらに駆け込んでくる。
2人は所々服が汚れていたり、破れているところもあったが、重度なダメージは受けていないように見えた。
「お二人ともご無事でしたか!」
「うん、イオン達も無事でよかっ…あれ、アッシュは…?」
一緒にいると思っていたアッシュの姿がない。
そこでルーはハッとする。
「!ルークとガイは!?」
「…残念ながら、僕達もまだ…」
イオンが途中まで言いかけた時、突然外から悲鳴が聞こえてくる。
ルー達はそちらの方にすぐさま目を向けると、そこには目を疑う光景が広がっていた。
賊によって破壊された国の外壁の外から魔物が侵入してきており、兵士たちを次々に襲いかかっていた。
夜ということもあり、魔物達はその数を増やし、また凶暴性を高めていて苦戦を強いられてるようで、一部の魔物は街の方へと向かい始める。
「いかん、すぐに兵を向かわせろ!」
「はっ!」
ピオニーがすぐさま指示を出し、フリングス達は部屋を駆け出していく。
ルーとユーリは自分たちもと後を追おうと振り返ると、真剣な表情を浮かべ佇むイオンが目に入り足を止める。
「イオン…?」
「…」
混沌とした空気が広がる中、その様子を見ていたイオンはすっと前に出るなり、杖を両手で前に構える。
そして目を閉じ神経を集中させ始めた。
一体どうしたのだろうと、ルーがイオンに声を掛けようとしたとき、背後で何かが光り始め、バッとそちらの方を見るとミュウが身に着けているソーサラーリングが発光していた。
「!?ソーサラーリングが…」
「合図ですね」
困惑しているルーに答えるようにジェイドが呟く。
合図…?
一体何の…と考えていると、どこからともなくノイズが聞こえてくる。
『待たせたな』
「!!」
この声はとルーとユーリは目を見開く。そしてその声の聞こえてくる方を見るとそれは発光しているソーサラーリングで。
「この声って、ローレライ!?」
『その声はルークか、無事そうだな』
「え、な、なんで…ローレライが?」
音素の気配もなく声だけが聞こえてくるこの異様な状況に、ルーは目を瞬かせていると、ミュウはぴょんぴょん飛びながら主張する。
「みゅみゅ!!実はここにローレライさんがずっといたんですの!!」
「はあ!?」
「詳しいは話はあとです。ローレライ、準備は出来ましたか」
『ああ。導師イオン…時は満ちた』
ローレライの言葉に反応するようにイオンの立つ地面に譜陣が展開される発光し始めた。
目が開けられないほどの強いもの光と共に譜陣を中心に突風が吹き荒れ、ルー達は咄嗟に身構える。
「これはあん時のっ!」
ユーリはこの光と突風を思い出す、これはローレライが自分たちの前に現れた時と同じ。
「っイオン!!!」
ルーは閃光が続く中、必死に呼びかける。
「…今度はしくじりません。」
イオンはゆっくりと目を開く。
「…今度こそ、この力を、あなたのために!」
言い切ると同時に、突如巨大な譜陣が城の上空に浮かび上がる。
「はああああああ!!!!!」
巨大な譜陣は反応するように地面に向かって光柱を作る。
更に強い風が起こり、吹き飛ばされそうになるルーをユーリはすぐに引き寄せると床に伏せさせ、庇うように抱きしめる。
しばらく続いていた光と風だったが、徐々にそれは落ち着き始める。
すると、ルーはハッと何かに気づく。
この感覚は…!
その頃。
重傷を負うルークを背に庇うように賊と交戦していたアッシュは突如起こった光柱が消え、いったい何がと目を覆っていた腕を下し、周囲を見渡すとそこには目を疑う光景が広がっていた。
アッシュの異変に気付いたルークもぐったりとした様子でそちらの方を見るなり、目を見開く。
「…お、前は…っ」
ルークが掠れた声で呟かれた、その視線の先にあったのは、黒いマントに白いコートを見に纏う、一度だけその姿をみたことがあった人。
オールドラントのアッシュだった。
続く
そしてそれは近くにいたピオニーの横を通過した。
「「!?」」
ピオニーはばっと飛んできた方を見ると、そこにはジェイドがいて胡散臭い笑みを浮かべていた。
「すみません、手が滑りました」
「おまっ!!俺に当たったらどうするつもりだ!!」
「そうですね、大変な事故になりますね」
「事故で済むか!」
一方的な言い争いが始まった二人を見て、ルーはぽかんとしているとどこからともなく奇声のような声が聞こえてくる。
「?なに…」
「ご主人様―――――――――――――――っ!!!!!」
「!?」
猛烈なスピードでルーに向かって飛んでくるのはここにいるはずのないミュウの姿。
驚くルーにミュウは勢いを止めずにその顔に抱き着く。
「ご主人様大丈夫ですの!?ケガしてないですの!?ミュウ心配してたんですの!!ご主人様~~~~~~っ!!!!」
「みゅ、ミュウ…」
耳の近くで騒がれ、ぎゅうぎゅうと顔に抱き着いてくるミュウにルーは正直うるせぇしうぜぇと思った。
だが、それもすぐに疑問に変わる。
「え、つーかなんでここに…」
「ルー!」
「!イオン!」
声のする方を見れば、イオンとシンクがこちらに駆け込んでくる。
2人は所々服が汚れていたり、破れているところもあったが、重度なダメージは受けていないように見えた。
「お二人ともご無事でしたか!」
「うん、イオン達も無事でよかっ…あれ、アッシュは…?」
一緒にいると思っていたアッシュの姿がない。
そこでルーはハッとする。
「!ルークとガイは!?」
「…残念ながら、僕達もまだ…」
イオンが途中まで言いかけた時、突然外から悲鳴が聞こえてくる。
ルー達はそちらの方にすぐさま目を向けると、そこには目を疑う光景が広がっていた。
賊によって破壊された国の外壁の外から魔物が侵入してきており、兵士たちを次々に襲いかかっていた。
夜ということもあり、魔物達はその数を増やし、また凶暴性を高めていて苦戦を強いられてるようで、一部の魔物は街の方へと向かい始める。
「いかん、すぐに兵を向かわせろ!」
「はっ!」
ピオニーがすぐさま指示を出し、フリングス達は部屋を駆け出していく。
ルーとユーリは自分たちもと後を追おうと振り返ると、真剣な表情を浮かべ佇むイオンが目に入り足を止める。
「イオン…?」
「…」
混沌とした空気が広がる中、その様子を見ていたイオンはすっと前に出るなり、杖を両手で前に構える。
そして目を閉じ神経を集中させ始めた。
一体どうしたのだろうと、ルーがイオンに声を掛けようとしたとき、背後で何かが光り始め、バッとそちらの方を見るとミュウが身に着けているソーサラーリングが発光していた。
「!?ソーサラーリングが…」
「合図ですね」
困惑しているルーに答えるようにジェイドが呟く。
合図…?
一体何の…と考えていると、どこからともなくノイズが聞こえてくる。
『待たせたな』
「!!」
この声はとルーとユーリは目を見開く。そしてその声の聞こえてくる方を見るとそれは発光しているソーサラーリングで。
「この声って、ローレライ!?」
『その声はルークか、無事そうだな』
「え、な、なんで…ローレライが?」
音素の気配もなく声だけが聞こえてくるこの異様な状況に、ルーは目を瞬かせていると、ミュウはぴょんぴょん飛びながら主張する。
「みゅみゅ!!実はここにローレライさんがずっといたんですの!!」
「はあ!?」
「詳しいは話はあとです。ローレライ、準備は出来ましたか」
『ああ。導師イオン…時は満ちた』
ローレライの言葉に反応するようにイオンの立つ地面に譜陣が展開される発光し始めた。
目が開けられないほどの強いもの光と共に譜陣を中心に突風が吹き荒れ、ルー達は咄嗟に身構える。
「これはあん時のっ!」
ユーリはこの光と突風を思い出す、これはローレライが自分たちの前に現れた時と同じ。
「っイオン!!!」
ルーは閃光が続く中、必死に呼びかける。
「…今度はしくじりません。」
イオンはゆっくりと目を開く。
「…今度こそ、この力を、あなたのために!」
言い切ると同時に、突如巨大な譜陣が城の上空に浮かび上がる。
「はああああああ!!!!!」
巨大な譜陣は反応するように地面に向かって光柱を作る。
更に強い風が起こり、吹き飛ばされそうになるルーをユーリはすぐに引き寄せると床に伏せさせ、庇うように抱きしめる。
しばらく続いていた光と風だったが、徐々にそれは落ち着き始める。
すると、ルーはハッと何かに気づく。
この感覚は…!
その頃。
重傷を負うルークを背に庇うように賊と交戦していたアッシュは突如起こった光柱が消え、いったい何がと目を覆っていた腕を下し、周囲を見渡すとそこには目を疑う光景が広がっていた。
アッシュの異変に気付いたルークもぐったりとした様子でそちらの方を見るなり、目を見開く。
「…お、前は…っ」
ルークが掠れた声で呟かれた、その視線の先にあったのは、黒いマントに白いコートを見に纏う、一度だけその姿をみたことがあった人。
オールドラントのアッシュだった。
続く