短編集

野薔薇視点

くっそ。またやられた。

「ミニデビルカード!」

目の前のゲームモニターでは、
今まさに私の金が巻き上げられている。

そう、今は1年同期での桃太郎電鉄で争っている。

メンバーは、私に虎杖に伏黒、そして○○。

1位は○○だ。

1位の理由?
そんなもん分かり切ってる。

○○に好意を寄せてる伏黒が、ゲーム開始から○○に来る全ての攻撃を防いでいるからだ。

お邪魔カード系を○○に使うと、次のターンで伏黒が同様のカードでやり返してきて、○○にボンビーが付けば伏黒がわざと近くに寄って自分に付けさせる。

(ったく、アプローチ遠回しすぎでしょ。
じれったいわね。)

私は心の中で悪態をついた。

ゲームが終わって一段落。
私は虎杖のフードを掴むと立ち上がる「あ~あ!負けたらむしゃくしゃしてきちゃった!虎杖にコンビニでアイスでも買わせよ!」

「えぇ!?俺なの!?」
虎杖が素っ頓狂な声を上げるが、私はお構いなしでフードを引きずる。

(これは貸しよ、伏黒。
上手くやんなさいよ。)

そう心の中で呟くと、伏黒を見て目配せをした。

「おい、釘崎!」

抗議の声を背に、私は虎杖を引きずって廊下に出た。

扉が閉まる。

――これで、二人きり。

「なあ釘崎~……」

虎杖が歩きながら、小声で聞いてくる。

「俺、なんか悪いことした?」

「してないわよ」

即答。

「むしろ善行。
あんたは今、尊い恋の踏み台になってるの」

「え?」

「気にしなくていい」

私はニヤリと笑う。

「どうせあの二人、
静かになると余計意識し始めるから」

脳裏に浮かぶのは、
さっきまで画面越しに○○を守ってた伏黒の背中。

(ほんっと分かりやすい)

「ねえ虎杖」

アイスケースの前で立ち止まる。

「もし伏黒が○○と付き合ったら、どうする?」

「えっ!?
……うーん」

虎杖は少し考えて、笑った。

「あいつなら大事にしそうだし、応援するかな」

(……ま、あんたもいい男よ)

私はため息混じりに微笑んだ。

「じゃ、今日は奢りね」

「結局それ!?」

その頃、部屋ではきっと
他愛もない会話が始まって、
距離は確実に縮まってる。

(はいはい、両想い確定)

私はアイスを2つ多くカゴに入れた。

(お祝い用にね)



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