眠る膝上、覚めぬ想い
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12-日常風景
任務は拍子抜けするほどあっさり終わった。
呪霊の等級も低く、連携を取るまでもない。
昼過ぎには高専へ戻り、報告のため教員室へ向かう。
――その途中。
少し騒がしい声が、廊下まで聞こえてきた。
「え~、それ僕じゃなきゃダメ?
伊地知くんさぁ、今日めっちゃ疲れてるんだけど」
嫌そうな、やる気のない声。
聞き覚えがありすぎる。
教員室を覗くと、案の定。
五条悟が机に肘をつき、伊地知を前に駄々をこねていた。
「……」
伏黒は一瞬で理解する。
(あ、これ長いやつだ)
「美鈴先輩。後からにしましょ。今は面倒です」
小声でそう言って、引き戸に手を掛けた――その時。
「?」
隣にいたはずの美鈴が、すっと伏黒の横を離れた。
ふわりとした足取りで教員室に入り、
何の躊躇もなく五条のすぐ横に立つ。
「伊地知さん。どんな内容ですか?」
伊地知が一瞬驚いた顔をしてから、慌てて資料を差し出す。
「え、あ、はい。ええとですね……」
淡々と説明が始まる。
五条はというと、さっきまでの不満顔がどこかへ消えていた。
美鈴は静かに話を聞き、数回頷く。
「なるほど……」
一通り聞き終えると、穏やかに微笑んだ。
「五条先生。そんなに難しくなさそうなので、
私が行ってきますよ」
その瞬間。
「え~?」
五条が大袈裟に声を上げた。
「美鈴に行かせるわけなくない?」
即答だった。
椅子を蹴って立ち上がり、伸びをしながら言う。
「分かった分かった。僕が行く。すぐ片付けてくるから」
伊地知がほっとした顔をする前に、五条は美鈴を見る。
「ていうかさ」
軽い口調で。
「美鈴、この後何もないの?」
「特には」
「じゃあさ」
にこっと笑って。
「戻ったら夕飯奢るから一緒に食べようよ」
教員室の空気が、一瞬止まった。
美鈴は少しだけ考えてから、困ったように笑う。
「……しょうがないですね」
そう言って、軽く手を振る。
「じゃあ、支度しておきます」
「うん。後でね」
五条は満足そうに頷くと、
本当にスキップする勢いで教員室を出て行った。
その背中を見送ってから。
「本当にありがとうございます……!」
伊地知が盛大に頭を下げ、美鈴にも深く礼を言う。
そして慌てて五条の後を追い、教員室はようやく静かになった。
伏黒は、無言のままその一連を見ていたが――
小さく息を吐いた。
「……本当に」
美鈴の方を見る。
「五条先生に甘いですよね」
呆れを隠さない声。
美鈴はきょとんとしてから、少し首を傾げた。
「そうかな?」
その返答に、伏黒は思う。
(……この人、本気で分かってない)
五条悟が、どれだけ特別扱いをしているか。
どれだけ分かりやすく独占しているか。
それを――
この人だけが、自然体で受け入れている。
伏黒は視線を逸らした。
(……先生の方が重症だな)
そう結論づけるしかなかった。
任務は拍子抜けするほどあっさり終わった。
呪霊の等級も低く、連携を取るまでもない。
昼過ぎには高専へ戻り、報告のため教員室へ向かう。
――その途中。
少し騒がしい声が、廊下まで聞こえてきた。
「え~、それ僕じゃなきゃダメ?
伊地知くんさぁ、今日めっちゃ疲れてるんだけど」
嫌そうな、やる気のない声。
聞き覚えがありすぎる。
教員室を覗くと、案の定。
五条悟が机に肘をつき、伊地知を前に駄々をこねていた。
「……」
伏黒は一瞬で理解する。
(あ、これ長いやつだ)
「美鈴先輩。後からにしましょ。今は面倒です」
小声でそう言って、引き戸に手を掛けた――その時。
「?」
隣にいたはずの美鈴が、すっと伏黒の横を離れた。
ふわりとした足取りで教員室に入り、
何の躊躇もなく五条のすぐ横に立つ。
「伊地知さん。どんな内容ですか?」
伊地知が一瞬驚いた顔をしてから、慌てて資料を差し出す。
「え、あ、はい。ええとですね……」
淡々と説明が始まる。
五条はというと、さっきまでの不満顔がどこかへ消えていた。
美鈴は静かに話を聞き、数回頷く。
「なるほど……」
一通り聞き終えると、穏やかに微笑んだ。
「五条先生。そんなに難しくなさそうなので、
私が行ってきますよ」
その瞬間。
「え~?」
五条が大袈裟に声を上げた。
「美鈴に行かせるわけなくない?」
即答だった。
椅子を蹴って立ち上がり、伸びをしながら言う。
「分かった分かった。僕が行く。すぐ片付けてくるから」
伊地知がほっとした顔をする前に、五条は美鈴を見る。
「ていうかさ」
軽い口調で。
「美鈴、この後何もないの?」
「特には」
「じゃあさ」
にこっと笑って。
「戻ったら夕飯奢るから一緒に食べようよ」
教員室の空気が、一瞬止まった。
美鈴は少しだけ考えてから、困ったように笑う。
「……しょうがないですね」
そう言って、軽く手を振る。
「じゃあ、支度しておきます」
「うん。後でね」
五条は満足そうに頷くと、
本当にスキップする勢いで教員室を出て行った。
その背中を見送ってから。
「本当にありがとうございます……!」
伊地知が盛大に頭を下げ、美鈴にも深く礼を言う。
そして慌てて五条の後を追い、教員室はようやく静かになった。
伏黒は、無言のままその一連を見ていたが――
小さく息を吐いた。
「……本当に」
美鈴の方を見る。
「五条先生に甘いですよね」
呆れを隠さない声。
美鈴はきょとんとしてから、少し首を傾げた。
「そうかな?」
その返答に、伏黒は思う。
(……この人、本気で分かってない)
五条悟が、どれだけ特別扱いをしているか。
どれだけ分かりやすく独占しているか。
それを――
この人だけが、自然体で受け入れている。
伏黒は視線を逸らした。
(……先生の方が重症だな)
そう結論づけるしかなかった。
