眠る膝上、覚めぬ想い
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19-自覚した感情
伏黒視点
——それは、尊敬じゃない
夕方の校舎は、妙に静かだった。
授業終わり、皆それぞれに散っていく。
虎杖は釘崎と口喧嘩しながら去って、
真希先輩は武器庫へ向かった。
俺は一人、廊下を歩いていた。
——正確には、一人になるつもりだった。
曲がり角の先。
聞き覚えのある声が、自然と足を止めさせる。
「美鈴、こっち」
五条先生の声。
反射的に、影に身を寄せた。
盗み聞きするつもりはなかった。
ただ——身体が、勝手に止まった。
少し離れた先で、
美鈴先輩が立っている。
いつもの、穏やかな表情。
任務中よりも、少しだけ柔らかい顔。
五条先生は近い。
……近すぎる。
肩が触れそうな距離。
「今日、頑張ってたね」
「ありがとうございます」
美鈴先輩は素直にそう返して、
少しだけ、照れたように笑った。
その笑顔を見た瞬間、
胸の奥が、ぎゅっと縮んだ。
(……なんだ、これ)
不快感。違和感。焦り。
全部、違う。
「無理しすぎないでよ?」
五条先生が、軽く頭に手を置く。
あまりにも自然な仕草。
美鈴先輩は、驚きもしない。
拒みもしない。
(……やめろ)
頭の中で、声がした。
誰に向けたものか分からない。
五条先生か。
美鈴先輩か。
それとも、自分か。
「大丈夫です。先生がいるから」
その一言で。
——理解した。
胸の奥で、何かが確実に沈んだ。
(あぁ……)
これは、尊敬じゃない。
術師としての敬意でも、
先輩への憧れでもない。
(俺は)
五条悟が、
鷲尾美鈴の隣にいるのが、
——嫌だ。
理由なんて、後付けだ。
立場とか、年齢とか、教師とか。
そんなの、どうでもいい。
ただ単純に。
俺が立てない場所に、
あの人がいるのが。
俺だけが入れない距離に、
あの人がいるのが。
——悔しい。
「……は」
小さく息が漏れた。
自覚した瞬間、
逃げ道はなかった。
(……嫉妬してるのか)
認めたくない。
でも、否定できない。
影の中で拳を握る。
(厄介だな……)
美鈴先輩は、何も知らない。
たぶんこれからも、気づかない。
五条先生は——
気づいてるかもしれない。
それが、余計に腹立たしかった。
角の向こうで、
二人が歩き出す気配がする。
俺は一歩、後ろへ下がった。
(このまま見てるだけでいいのか…?)
そう思ってしまった時点で、
もう戻れないところまで来ていた。
伏黒視点
——それは、尊敬じゃない
夕方の校舎は、妙に静かだった。
授業終わり、皆それぞれに散っていく。
虎杖は釘崎と口喧嘩しながら去って、
真希先輩は武器庫へ向かった。
俺は一人、廊下を歩いていた。
——正確には、一人になるつもりだった。
曲がり角の先。
聞き覚えのある声が、自然と足を止めさせる。
「美鈴、こっち」
五条先生の声。
反射的に、影に身を寄せた。
盗み聞きするつもりはなかった。
ただ——身体が、勝手に止まった。
少し離れた先で、
美鈴先輩が立っている。
いつもの、穏やかな表情。
任務中よりも、少しだけ柔らかい顔。
五条先生は近い。
……近すぎる。
肩が触れそうな距離。
「今日、頑張ってたね」
「ありがとうございます」
美鈴先輩は素直にそう返して、
少しだけ、照れたように笑った。
その笑顔を見た瞬間、
胸の奥が、ぎゅっと縮んだ。
(……なんだ、これ)
不快感。違和感。焦り。
全部、違う。
「無理しすぎないでよ?」
五条先生が、軽く頭に手を置く。
あまりにも自然な仕草。
美鈴先輩は、驚きもしない。
拒みもしない。
(……やめろ)
頭の中で、声がした。
誰に向けたものか分からない。
五条先生か。
美鈴先輩か。
それとも、自分か。
「大丈夫です。先生がいるから」
その一言で。
——理解した。
胸の奥で、何かが確実に沈んだ。
(あぁ……)
これは、尊敬じゃない。
術師としての敬意でも、
先輩への憧れでもない。
(俺は)
五条悟が、
鷲尾美鈴の隣にいるのが、
——嫌だ。
理由なんて、後付けだ。
立場とか、年齢とか、教師とか。
そんなの、どうでもいい。
ただ単純に。
俺が立てない場所に、
あの人がいるのが。
俺だけが入れない距離に、
あの人がいるのが。
——悔しい。
「……は」
小さく息が漏れた。
自覚した瞬間、
逃げ道はなかった。
(……嫉妬してるのか)
認めたくない。
でも、否定できない。
影の中で拳を握る。
(厄介だな……)
美鈴先輩は、何も知らない。
たぶんこれからも、気づかない。
五条先生は——
気づいてるかもしれない。
それが、余計に腹立たしかった。
角の向こうで、
二人が歩き出す気配がする。
俺は一歩、後ろへ下がった。
(このまま見てるだけでいいのか…?)
そう思ってしまった時点で、
もう戻れないところまで来ていた。
