眠る膝上、覚めぬ想い
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04-近づいた距離
補助監督の部屋は、いつも通り静かだった。
書類の山と、少し疲れた空気。
ドアをノックすると、中から慌てた声がする。
「は、はい!どうぞ!」
引き戸を開けると、伊地知が書類を抱えたまま顔を上げた。
「あ、美鈴さん。それに伏黒くんも……」
二人が揃っているのを確認してから、伊地知は軽く咳払いをする。
「ええと、今回の任務について説明しますね」
机の上に地図と資料を広げる。
「都内某所の廃ビルで、呪力反応が継続的に観測されています。
確認したところ、一級相当の呪霊が一体」
伏黒の表情が、わずかに引き締まる。
「……今回は美鈴さんが同行するため、この編成になりました」
美鈴は特に驚く様子もなく、静かに頷いた。
「それからもう一点」
伊地知は伏黒に視線を向け、少し言葉を選ぶ。
「今回ペアになった理由ですが……
伏黒くんにとって、美鈴さんとの共闘は大きな経験値になると判断されました」
伏黒は一瞬だけ目を伏せる。
「……俺が、まだ足りないからですか」
その言葉に、伊地知は慌てて首を振る。
「い、いえ!そういう意味ではなくてですね……」
美鈴が、自然なタイミングで口を挟んだ。
「伏黒くんに実戦経験を積ませたいってことだよ」
伏黒が顔を上げる。
「一年生にしては十分すぎるほど優秀だし。
だから、次の段階を見たいんじゃないかな」
声音は穏やかで、評価も淡々としている。
持ち上げるわけでも、慰めるわけでもない。
伏黒は少し考えてから、短く答えた。
「……分かりました」
伊地知はほっとしたように息をつく。
「作戦としては、美鈴さんが前衛、伏黒くんが中距離支援。
必要に応じてフォーメーションは柔軟に変更してください」
「了解しました」
「分かりました」
二人の返事が重なる。
伊地知は最後に念を押すように言った。
「一級相当です。油断はしないでくださいね」
美鈴は軽く微笑む。
「大丈夫。ちゃんと帰ってきます」
伏黒も頷いた。
「足を引っ張らないようにします」
部屋を出ると、廊下の空気が少し軽く感じられた。
「……一級、か」
伏黒が小さく呟く。
「怖い?」
美鈴が横を見て尋ねる。
「いえ」
即答だった。
「ただ……学んだことは全て自分の糧にしたいと思ってます」
その言葉に、美鈴はほんの少しだけ目を細める。
「いい心がけ」
そう言って、歩き出す。
「じゃあ明日は、現場でね」
「……はい」
その背中を見ながら、伏黒は思う。
(この人と組めるなら――)
明日の任務は、
自分にとって“試される場”になる。
そう、確信していた。
補助監督の部屋は、いつも通り静かだった。
書類の山と、少し疲れた空気。
ドアをノックすると、中から慌てた声がする。
「は、はい!どうぞ!」
引き戸を開けると、伊地知が書類を抱えたまま顔を上げた。
「あ、美鈴さん。それに伏黒くんも……」
二人が揃っているのを確認してから、伊地知は軽く咳払いをする。
「ええと、今回の任務について説明しますね」
机の上に地図と資料を広げる。
「都内某所の廃ビルで、呪力反応が継続的に観測されています。
確認したところ、一級相当の呪霊が一体」
伏黒の表情が、わずかに引き締まる。
「……今回は美鈴さんが同行するため、この編成になりました」
美鈴は特に驚く様子もなく、静かに頷いた。
「それからもう一点」
伊地知は伏黒に視線を向け、少し言葉を選ぶ。
「今回ペアになった理由ですが……
伏黒くんにとって、美鈴さんとの共闘は大きな経験値になると判断されました」
伏黒は一瞬だけ目を伏せる。
「……俺が、まだ足りないからですか」
その言葉に、伊地知は慌てて首を振る。
「い、いえ!そういう意味ではなくてですね……」
美鈴が、自然なタイミングで口を挟んだ。
「伏黒くんに実戦経験を積ませたいってことだよ」
伏黒が顔を上げる。
「一年生にしては十分すぎるほど優秀だし。
だから、次の段階を見たいんじゃないかな」
声音は穏やかで、評価も淡々としている。
持ち上げるわけでも、慰めるわけでもない。
伏黒は少し考えてから、短く答えた。
「……分かりました」
伊地知はほっとしたように息をつく。
「作戦としては、美鈴さんが前衛、伏黒くんが中距離支援。
必要に応じてフォーメーションは柔軟に変更してください」
「了解しました」
「分かりました」
二人の返事が重なる。
伊地知は最後に念を押すように言った。
「一級相当です。油断はしないでくださいね」
美鈴は軽く微笑む。
「大丈夫。ちゃんと帰ってきます」
伏黒も頷いた。
「足を引っ張らないようにします」
部屋を出ると、廊下の空気が少し軽く感じられた。
「……一級、か」
伏黒が小さく呟く。
「怖い?」
美鈴が横を見て尋ねる。
「いえ」
即答だった。
「ただ……学んだことは全て自分の糧にしたいと思ってます」
その言葉に、美鈴はほんの少しだけ目を細める。
「いい心がけ」
そう言って、歩き出す。
「じゃあ明日は、現場でね」
「……はい」
その背中を見ながら、伏黒は思う。
(この人と組めるなら――)
明日の任務は、
自分にとって“試される場”になる。
そう、確信していた。
