眠る膝上、覚めぬ想い
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02-膝上にて
談話室へ向かう途中。
「美鈴〜」
背後から、間延びした声がかかる。
振り返ると、サングラスを指で押し上げた五条が立っていた。
「どうしたんですか、先生」
「んー、ちょっと話したいことあってさ。
談話室行こ」
特別急ぐ様子もない口調。
美鈴は少し首を傾げつつも、素直にその後をついていく。
談話室は静かだった。
夕方の光が窓から差し込み、床に長い影を落としている。
ソファに腰を下ろした五条は、珍しくサングラスを外した。
「最近さぁ……」
そう切り出したかと思えば、言葉が途切れる。
「……?」
覗き込む美鈴に、五条は目を細めて深く息を吐いた。
「……眠い」
「え」
「昨日徹夜。
補助監督に仕事押し付けられてさ」
どこか子供じみた愚痴。
そのまま背もたれに体を預ける。
美鈴は少し考えてから、隣に座り直した。
「……じゃあ」
自分の太ももを、軽くぽんぽんと叩く。
「ここ、どうぞ」
五条は一瞬きょとんとした顔をしてから、
「……いいの?」
「はい。どうぞ」
遠慮という概念が欠落している男は、素直に横になる。
「……はぁ……」
そのまま、安心しきった寝息。
――その時。
ガラッ。
「五条先生いる? 補助監督が探して――」
入ってきた真希、パンダ、狗巻が、同時に固まった。
ソファ。
美鈴の膝。
そこに頭を預け、無防備に眠る最強の呪術師。
数秒の沈黙。
パンダ
「……え?」
真希
「……は?」
狗巻
「……?」
美鈴は三人に気づくと、穏やかに会釈する。
「あ、今寝てます」
真希
「いや見れば分かるわ!!」
美鈴は一瞬だけ瞬きをしてから、困ったように笑う。
「……先生」
もう一度、少し強めに肩を揺らす。
「五条先生。起きてください」
「……んー……」
「生徒、見てますよ」
その言葉で、ようやく五条が目を開けた。
「……あ」
状況を把握するまで、数秒。
真希とパンダと狗巻の視線が、刺さる。
五条
「……あー」
一拍置いて。
「おはよ」
真希
「起きて第一声それかよ!!!」
真希
「……で?」
腕を組んだまま、じっと五条を見る。
「説明、いる?」
五条は美鈴のお腹に腕を回したまま、全く離れる気がない。
「んー?」
眠そうに瞬きをしてから、あっさり言った。
「美鈴が落ち着くから」
一切の悪びれなし。
パンダ
「おい~悟。それ理由として成立してないだろ」
狗巻
「……しゃけ」
真希
「“落ち着く”って何だよ。
教師が生徒に抱きついて寝る理由じゃないだろ」
「えー?」
五条は不思議そうに首を傾げる。
「逆に聞くけどさ、
美鈴が傍にいると、頭回るし疲れ抜けるし、
変にイライラしないんだよね」
美鈴はその会話を聞きながら、特に表情を変えない。
「先生、補助監督さんが探してましたよ」
淡々と事実だけを告げる。
「あー、後で行く」
そう言って、腕に力を込める。
真希
「……離れる気、ゼロじゃねぇか」
パンダ
「それ“癒し”とかじゃなくてさ」
真希が言葉を引き取る。
「完全に“自分の場所”扱いしてるだろ」
一瞬。
五条の動きが止まった。
サングラス越しに、美鈴をちらっと見る。
「……ん?」
美鈴は穏やかなまま。
「先生、姿勢辛くないですか?」
「全然」
即答すると五条は小さく笑う。
「他に取られる気、ないし」
その言葉にも、美鈴は特別な反応を見せない。
ただ、五条の髪にそっと指を通し、いつも通りの声で言った。
「先生、補助監督さん、待たせちゃいますよ」
五条
「……もう五分」
真希
「お前なぁ……」
呆れた声を背に、
談話室には妙に穏やかな空気だけが残っていた。
――その距離の近さが、
どれほど特別なものか、彼女だけが気づいていなかった。
談話室へ向かう途中。
「美鈴〜」
背後から、間延びした声がかかる。
振り返ると、サングラスを指で押し上げた五条が立っていた。
「どうしたんですか、先生」
「んー、ちょっと話したいことあってさ。
談話室行こ」
特別急ぐ様子もない口調。
美鈴は少し首を傾げつつも、素直にその後をついていく。
談話室は静かだった。
夕方の光が窓から差し込み、床に長い影を落としている。
ソファに腰を下ろした五条は、珍しくサングラスを外した。
「最近さぁ……」
そう切り出したかと思えば、言葉が途切れる。
「……?」
覗き込む美鈴に、五条は目を細めて深く息を吐いた。
「……眠い」
「え」
「昨日徹夜。
補助監督に仕事押し付けられてさ」
どこか子供じみた愚痴。
そのまま背もたれに体を預ける。
美鈴は少し考えてから、隣に座り直した。
「……じゃあ」
自分の太ももを、軽くぽんぽんと叩く。
「ここ、どうぞ」
五条は一瞬きょとんとした顔をしてから、
「……いいの?」
「はい。どうぞ」
遠慮という概念が欠落している男は、素直に横になる。
「……はぁ……」
そのまま、安心しきった寝息。
――その時。
ガラッ。
「五条先生いる? 補助監督が探して――」
入ってきた真希、パンダ、狗巻が、同時に固まった。
ソファ。
美鈴の膝。
そこに頭を預け、無防備に眠る最強の呪術師。
数秒の沈黙。
パンダ
「……え?」
真希
「……は?」
狗巻
「……?」
美鈴は三人に気づくと、穏やかに会釈する。
「あ、今寝てます」
真希
「いや見れば分かるわ!!」
美鈴は一瞬だけ瞬きをしてから、困ったように笑う。
「……先生」
もう一度、少し強めに肩を揺らす。
「五条先生。起きてください」
「……んー……」
「生徒、見てますよ」
その言葉で、ようやく五条が目を開けた。
「……あ」
状況を把握するまで、数秒。
真希とパンダと狗巻の視線が、刺さる。
五条
「……あー」
一拍置いて。
「おはよ」
真希
「起きて第一声それかよ!!!」
真希
「……で?」
腕を組んだまま、じっと五条を見る。
「説明、いる?」
五条は美鈴のお腹に腕を回したまま、全く離れる気がない。
「んー?」
眠そうに瞬きをしてから、あっさり言った。
「美鈴が落ち着くから」
一切の悪びれなし。
パンダ
「おい~悟。それ理由として成立してないだろ」
狗巻
「……しゃけ」
真希
「“落ち着く”って何だよ。
教師が生徒に抱きついて寝る理由じゃないだろ」
「えー?」
五条は不思議そうに首を傾げる。
「逆に聞くけどさ、
美鈴が傍にいると、頭回るし疲れ抜けるし、
変にイライラしないんだよね」
美鈴はその会話を聞きながら、特に表情を変えない。
「先生、補助監督さんが探してましたよ」
淡々と事実だけを告げる。
「あー、後で行く」
そう言って、腕に力を込める。
真希
「……離れる気、ゼロじゃねぇか」
パンダ
「それ“癒し”とかじゃなくてさ」
真希が言葉を引き取る。
「完全に“自分の場所”扱いしてるだろ」
一瞬。
五条の動きが止まった。
サングラス越しに、美鈴をちらっと見る。
「……ん?」
美鈴は穏やかなまま。
「先生、姿勢辛くないですか?」
「全然」
即答すると五条は小さく笑う。
「他に取られる気、ないし」
その言葉にも、美鈴は特別な反応を見せない。
ただ、五条の髪にそっと指を通し、いつも通りの声で言った。
「先生、補助監督さん、待たせちゃいますよ」
五条
「……もう五分」
真希
「お前なぁ……」
呆れた声を背に、
談話室には妙に穏やかな空気だけが残っていた。
――その距離の近さが、
どれほど特別なものか、彼女だけが気づいていなかった。
