眠る膝上、覚めぬ想い
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17-恋バナ
別日の昼下がり。
校舎裏の自販機前で、真希と釘崎はばったり五条に遭遇した。
缶ジュースを片手に、
いつもの軽薄な笑みはなく、どこか遠くを見るようなぼんやりした表情。
(……珍し)
真希は一瞬だけ眉を上げ、すぐに自販機を指差す。
「奢るなら、話聞いてやらんこともないけど?」
釘崎も察したように頷き、
二人は自販機横のベンチの向かいに、どさっと腰を下ろした。
「お、怖」
五条は肩をすくめつつも、どこか素直だった。
「じゃあ、聞いてもらっちゃおうかな~
長~くなるけど」
そう言って立ち上がり、自販機の前へ。
がちゃん、と音を立てて落ちてきた缶を二本。
それぞれを真希と釘崎に放る。
「はいどーぞ」
釘崎が缶を受け取り、プルタブに指を掛けながらにやっと笑う。
「で?
いよいよ失恋した感じ?」
「ひどくない?」
五条はベンチに腰掛け、空を仰ぐ。
「いやさ~
僕がこんなにアピールしてるのに、靡かないどころか凪なんだよね~」
語尾は軽いのに、声がやけに素だ。
「どうしたもんかな~って」
真希は缶を開け、一口飲んでから言う。
「本気なんだな」
間を置いて、続ける。
「……美鈴は自覚ないから、本気でやっかいだぞ」
五条は小さくうなずく。
「そうなんだよね~」
視線はまだ上。
「僕のこと好きなんだろうな~って思う瞬間はあるんだけどさ」
釘崎が口を挟む。
「あるんだ」
「あるよ。ちゃんと」
即答だった。
「でもさ、次の瞬間には全員に同じ温度で優しいんだもん」
むすっと唇を尖らせる。
「特別扱いされてる気がして、
でも勘違いかもしれなくて」
珍しく、言葉が少し曖昧だった。
釘崎は少し考えてから、肩をすくめる。
「でもさ」
真希と五条を見る。
「そういうところが好きなんでしょ?」
「そう」
五条は一拍も置かずに答えた。
「そこが一番好き」
真希は呆れたように鼻で笑う。
「重症だな」
「でしょ?」
五条は苦笑する。
「嫌われるのは怖くないけど、
今の距離が壊れるのは、ちょっと嫌でさ」
その言葉に、釘崎が一瞬だけ真顔になる。
「……先生さ」
「ん?」
「ちゃんと好きなんじゃん」
五条は少しだけ目を伏せる。
「うん。ちゃんと」
風が吹いて、缶がかすかに鳴る。
真希はベンチに肘をつき、淡々と言った。
「じゃあ答えは一つだ」
「なに?」
「逃げんな」
五条は目を瞬かせ、次にふっと笑った。
「さすが真希ちゃん。手厳しい」
「当たり前だろ。
中途半端が一番、美鈴を傷つける」
その言葉に、五条はしばらく黙ったまま、空を見ていた。
「……だよね」
缶を一口飲んで、ぽつりと。
「じゃあ、もう少しだけ――
ちゃんと、踏み込んでみるか」
釘崎がにやっと笑う。
「やっとその気?」
「うん」
五条は立ち上がり、いつもの調子を取り戻す。
「奢った甲斐あった?」
真希は立ち上がりながら言う。
「次は結果報告な」
「はーい」
五条は手を振った。
その背中を見送りながら、釘崎がぽつり。
「……あれ、ほんとに本命だね」
真希は短く答える。
「今さら気づくな」
別日の昼下がり。
校舎裏の自販機前で、真希と釘崎はばったり五条に遭遇した。
缶ジュースを片手に、
いつもの軽薄な笑みはなく、どこか遠くを見るようなぼんやりした表情。
(……珍し)
真希は一瞬だけ眉を上げ、すぐに自販機を指差す。
「奢るなら、話聞いてやらんこともないけど?」
釘崎も察したように頷き、
二人は自販機横のベンチの向かいに、どさっと腰を下ろした。
「お、怖」
五条は肩をすくめつつも、どこか素直だった。
「じゃあ、聞いてもらっちゃおうかな~
長~くなるけど」
そう言って立ち上がり、自販機の前へ。
がちゃん、と音を立てて落ちてきた缶を二本。
それぞれを真希と釘崎に放る。
「はいどーぞ」
釘崎が缶を受け取り、プルタブに指を掛けながらにやっと笑う。
「で?
いよいよ失恋した感じ?」
「ひどくない?」
五条はベンチに腰掛け、空を仰ぐ。
「いやさ~
僕がこんなにアピールしてるのに、靡かないどころか凪なんだよね~」
語尾は軽いのに、声がやけに素だ。
「どうしたもんかな~って」
真希は缶を開け、一口飲んでから言う。
「本気なんだな」
間を置いて、続ける。
「……美鈴は自覚ないから、本気でやっかいだぞ」
五条は小さくうなずく。
「そうなんだよね~」
視線はまだ上。
「僕のこと好きなんだろうな~って思う瞬間はあるんだけどさ」
釘崎が口を挟む。
「あるんだ」
「あるよ。ちゃんと」
即答だった。
「でもさ、次の瞬間には全員に同じ温度で優しいんだもん」
むすっと唇を尖らせる。
「特別扱いされてる気がして、
でも勘違いかもしれなくて」
珍しく、言葉が少し曖昧だった。
釘崎は少し考えてから、肩をすくめる。
「でもさ」
真希と五条を見る。
「そういうところが好きなんでしょ?」
「そう」
五条は一拍も置かずに答えた。
「そこが一番好き」
真希は呆れたように鼻で笑う。
「重症だな」
「でしょ?」
五条は苦笑する。
「嫌われるのは怖くないけど、
今の距離が壊れるのは、ちょっと嫌でさ」
その言葉に、釘崎が一瞬だけ真顔になる。
「……先生さ」
「ん?」
「ちゃんと好きなんじゃん」
五条は少しだけ目を伏せる。
「うん。ちゃんと」
風が吹いて、缶がかすかに鳴る。
真希はベンチに肘をつき、淡々と言った。
「じゃあ答えは一つだ」
「なに?」
「逃げんな」
五条は目を瞬かせ、次にふっと笑った。
「さすが真希ちゃん。手厳しい」
「当たり前だろ。
中途半端が一番、美鈴を傷つける」
その言葉に、五条はしばらく黙ったまま、空を見ていた。
「……だよね」
缶を一口飲んで、ぽつりと。
「じゃあ、もう少しだけ――
ちゃんと、踏み込んでみるか」
釘崎がにやっと笑う。
「やっとその気?」
「うん」
五条は立ち上がり、いつもの調子を取り戻す。
「奢った甲斐あった?」
真希は立ち上がりながら言う。
「次は結果報告な」
「はーい」
五条は手を振った。
その背中を見送りながら、釘崎がぽつり。
「……あれ、ほんとに本命だね」
真希は短く答える。
「今さら気づくな」
