眠る膝上、覚めぬ想い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
16-いつから?
授業終わりの廊下。
生徒が三々五々に散っていく中で、
真希は少し先で立ち止まる二人の姿を見つけた。
――五条悟と、鷲尾美鈴。
距離が近い。
というより、いつも通り近い。
真希が足を止めた、その時。
「美鈴、このあと時間ある?」
軽い、いつもの声。
「はい。大丈夫ですよ」
美鈴は振り返って、にこりと笑う。
「じゃあ談話室でお待ちしてますね。
先生が好きなお茶、準備しておきます」
その一言で、五条の表情が一段明るくなる。
「え、最高。
じゃあ五分後に談話室で」
上機嫌にそう言い残し、五条はその場を離れていった。
――残ったのは、美鈴と、
そして少し離れた場所で立ち尽くす真希。
(……教師と生徒だぞ、一応)
そう思いながらも、今さら驚くほどでもない。
その背後から、足音が二つ。
「……また、あの二人ですか」
低い声でそう言ったのは伏黒だった。
隣では釘崎が腕を組み、ため息混じりに頷く。
「ね。もう隠す気ゼロじゃない?」
真希は振り返らずに答える。
「今に始まった話じゃねぇよ」
「でも」
伏黒が視線を二人のいた方向に向けたまま、続ける。
「そもそも、いつからあんな感じだったんですか?」
真希は少し考える素振りをしてから、肩をすくめた。
「さあな」
短く、率直に。
「気が付いたら、あんな距離感だった」
釘崎が眉をひそめる。
「一年の頃から?」
「そう」
真希は淡々と続ける。
「一年の時から、美鈴には頼ったり甘えたりしてたし。
任務の相談とか、雑談とか、やたら声掛けてた」
「……それが今は?」
伏黒が聞く。
「年々、悪化してる」
即答だった。
「今じゃ呼び出し回数も多いし、
周りの目も気にしてねぇ」
釘崎が思わず口を開く。
「それ、先生側アウトじゃない?」
「普通ならな」
真希は視線を前に戻す。
「でも相手が美鈴だと、
誰も“やめろ”って言えなくなる」
伏黒は、わずかに眉を寄せた。
「……先輩、無自覚ですよね」
「だろうな」
真希は苦笑する。
「自分がどれだけ特別扱いされてるか、
まるで分かってねぇ」
釘崎は腕を組んだまま、ぽつりと。
「五条先生も、もうちょっと隠せばいいのに」
「無理だろ」
真希は即答した。
「あれは隠す気がねぇ」
三人の視線の先では、
美鈴がゆっくりと談話室の方へ歩いていく。
穏やかな足取り。
いつもと何も変わらない背中。
(――だから余計にタチが悪いんだよ)
真希は心の中でそう呟いた。
五条悟が本気で手を伸ばしていることも、
それを当たり前のように受け入れている美鈴も。
この距離感が、
もう“特別”であることを――
周りだけが、はっきり理解していた。
授業終わりの廊下。
生徒が三々五々に散っていく中で、
真希は少し先で立ち止まる二人の姿を見つけた。
――五条悟と、鷲尾美鈴。
距離が近い。
というより、いつも通り近い。
真希が足を止めた、その時。
「美鈴、このあと時間ある?」
軽い、いつもの声。
「はい。大丈夫ですよ」
美鈴は振り返って、にこりと笑う。
「じゃあ談話室でお待ちしてますね。
先生が好きなお茶、準備しておきます」
その一言で、五条の表情が一段明るくなる。
「え、最高。
じゃあ五分後に談話室で」
上機嫌にそう言い残し、五条はその場を離れていった。
――残ったのは、美鈴と、
そして少し離れた場所で立ち尽くす真希。
(……教師と生徒だぞ、一応)
そう思いながらも、今さら驚くほどでもない。
その背後から、足音が二つ。
「……また、あの二人ですか」
低い声でそう言ったのは伏黒だった。
隣では釘崎が腕を組み、ため息混じりに頷く。
「ね。もう隠す気ゼロじゃない?」
真希は振り返らずに答える。
「今に始まった話じゃねぇよ」
「でも」
伏黒が視線を二人のいた方向に向けたまま、続ける。
「そもそも、いつからあんな感じだったんですか?」
真希は少し考える素振りをしてから、肩をすくめた。
「さあな」
短く、率直に。
「気が付いたら、あんな距離感だった」
釘崎が眉をひそめる。
「一年の頃から?」
「そう」
真希は淡々と続ける。
「一年の時から、美鈴には頼ったり甘えたりしてたし。
任務の相談とか、雑談とか、やたら声掛けてた」
「……それが今は?」
伏黒が聞く。
「年々、悪化してる」
即答だった。
「今じゃ呼び出し回数も多いし、
周りの目も気にしてねぇ」
釘崎が思わず口を開く。
「それ、先生側アウトじゃない?」
「普通ならな」
真希は視線を前に戻す。
「でも相手が美鈴だと、
誰も“やめろ”って言えなくなる」
伏黒は、わずかに眉を寄せた。
「……先輩、無自覚ですよね」
「だろうな」
真希は苦笑する。
「自分がどれだけ特別扱いされてるか、
まるで分かってねぇ」
釘崎は腕を組んだまま、ぽつりと。
「五条先生も、もうちょっと隠せばいいのに」
「無理だろ」
真希は即答した。
「あれは隠す気がねぇ」
三人の視線の先では、
美鈴がゆっくりと談話室の方へ歩いていく。
穏やかな足取り。
いつもと何も変わらない背中。
(――だから余計にタチが悪いんだよ)
真希は心の中でそう呟いた。
五条悟が本気で手を伸ばしていることも、
それを当たり前のように受け入れている美鈴も。
この距離感が、
もう“特別”であることを――
周りだけが、はっきり理解していた。
