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風の噂でロリコンなんて言われたら、たまったもんじゃない


「氷竜さんってロリコンなの?」

…雷が落ちた…気がした。
(ちなみに我の弱点属性である)


〜〜〜〜〜〜

『ちょ、なん、』

氷竜は 狼狽えている !

「この前聞いたの。そんな噂があるって」

そんな様子を気にすることもなく、
少女、アミティは言葉を続ける。


いかん。我が子孫の嫁(予定)にそんな話が伝わってしまったら…
先祖代々語り継がれてしまう?!
どうにかして誤解を解かなくては…!

いやそれよりも早急に情報元を聞き出して口封じしなくては!!

『誰情報だそれ?!』
「ラミアさん」
『ごっふぁ!!!』

ラミア…だと…?!


〜〜〜〜〜〜

『あら氷竜。いらっしゃい。
え?アミティに変なこと教えるなって?
私を攻撃するの?
そんな…困っちゃうわぁ…

私、氷弱点だからきっとすごいケガしちゃうわぁ…
そうなったらアミティに心配かけちゃうわぁ…
泣かれちゃうかもしれないわぁ…

…そしたら、きっと、


あの少年も黙っていないわよ』



本当に困るのは…どっちかしらね?


〜〜〜〜〜〜

『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙アカーーーン!!!』
「あかーん?」

アイツラミアしたたか過ぎんだよ!!
属性で勝ってるのに何故我が怯えなければならんのだ?!
言いたいことも言えないこんな世の中なのか!くそったれ!!


「氷竜さん」
『ハッ!いや、違うぞ!!我は決してロリータコンプレックスなどでは!!』
「?ロリコンじゃないの?」

つうこんの いちげき !!

『…ぐはぁっ』
「え?氷竜さん?
どうしたの?!なんで血を吐きながら泣いてるの?!」
『ち、違う…違うのだ…我は、』

我はロリコンではない…っ
そう、例え…


心配そうに上目遣いするのが可愛くても、
必死に回復しようとする小さな手が可愛くても、
とにかくなんか無性にかわいくて頭ぐりぐりしたくなっても!

我はロリコンではない!!!
きっと!!多分!!!

…多分。


……たぶん…


………自分で言ってて、言い聞かせてる感半端ない気がする…
早くも自分に自信が無くなってきた。

「…ぶっ …くっくっくっ…」

…笑われてる気すらしてきた…
氷嵐の支配者の威厳は今何処いまいずこ



『…って、オイ。』
「くくく…っ、ちょっとまって、腹が…っ」
『竜が傷ついてるのに腹抱えて笑うなーー!!!』

何てやつだ!
竜の不幸がそんなに面白いか!
ここに我の味方はいないのか?!

「はー可笑しかったー…」
『酷い…そんなに大爆笑しなくても…グスン』

我が子孫すら味方じゃないとは…
いや、こいつは…シグは、我に対して大体無関心というかそっけないというか、そんなだけどな…
子孫ってことは秘密だし…

「じゃあ爆笑したついでに。
くっそ面白かったからフォローしてやるけど、お前ちょっと勘違いしてるぞ?」
『む…?』

勘違い?とな。

「アミティは、言葉の意味を理解して言ってない。
お前が正式名称で言ったから混乱したんだよ」
「ろ、りーた?こん?…なんだっけ?」


…あ。


『なーんだ!そういうことか!』

バキュン!!!


…あれ、なんか頬がチリっと…

「…で、ロリコンなのか?」
『え?…待て、何故銃を向けている?
え?それもしかして高威力雷属性弾チャージサンダー…』

「返答次第では当てちゃうかもなぁ…?
この辺に」
ゴリィ…
『くっクビ!
ゼロ距離はヤメテ?!!』
「大丈夫大丈夫【氷嵐の支配者】って強いんでしょ?
僕如きの1発くらいどうってことないって…ねぇ?」
『目が笑ってない!!
いや今のお前のソレ食らったら
我も結構なダメージ受けちゃうから?!』

これ本当!ホントのやつ!!
待ってくれ何故こうなった?!
イヤだこんな不名誉な感じで銃痕残るとか
死にはしないとしても本気でちょっと

『タスケテー!!』




「こら!
シグ、氷竜さんいじめちゃダメ!」


天 使 か よ


「ぁ、アミティ…?」
「…ううん、あたしが分かってないからいけなかったんだよね…
ごめんね氷竜さん。」


女 神 か よ


「シグも…怒ってごめんね…?
分からないことは、ちゃんと訊く方がいいよね?
えっと…


ロリコン?って、なあに?」



。。。



ま さ か の 天 然 ? !


え、それこいつに訊いちゃう?!
少女は明らかに幼児体型ブラニー族だし、
それ考えるとこいつはロリコン筆頭だぞ?!

「……………えと、…………………」


ちょっとこれは可哀想!
可哀想、なん、だが、


「……おい…そこでプルプルしてる奴…」
『ププッ…わ、我のことは、気にせず…
プククッ…どうぞ、教えて、やって…
ブクククク…ッ!』

「…やっぱぶち込む!!!」


もう一度銃に雷属性が宿るが、遅い!
ガンのチャージは発動まで時間がかかるものだからな!
その前にトンズラこけば余裕なのだ!!


『サラダバー!』


我、野菜は食べないけどな!




〜〜〜〜〜〜



「…ちっちゃい女の子が好きな人のこと?」

氷竜がこの厄介な話を
投げるだけブン投げて逃げて行った後。
僕はアミティに【ロリコン】の意味を
教えるという苦行を強いられていた。

「…うん…」

どうしてこうなった。
アミティに嫌われたら本気で生きていけない。
姉様、先立つ不幸をお許しください…

「…シグ?」

だがその前に氷竜、
お前は絶対に許さない。絶対にだ。
どうせ死ぬなら奴に一矢報いてから…


「しーぐー!!」
「ぅぇ?……いひゃい」
「なんで考え込んでるのー?」

…頬を両手で引っ張られた。
いやだってさ、こんなこと言ったら、

「…アミティに嫌われるかと思って…」
「あたしがブラ二ー族だから?」


ブラ二ー族は、本当に小さい。
16歳になるアミティでも、普通の人間の
5歳くらいしか身長がない。
僕はセリアン族だから身長は普通にある。
同い年だけど、僕らの身長差は正に大人と子供。


「…ちょっと、嬉しい…」
「…ぇ、」

「あたしね、…お姉ちゃんみたいになりたかったの」

姉様みたいに?


「えとね、ほら、お姉ちゃんって美人さんでしょ?」

確かに姉様は、身内の贔屓を差し引いても美人だ。
“アルルーナ”という魔物の血族らしいけど…

“アルルーナ”には、
『美しさでヒトを惑わす力』がある…

と、姉様本人に聞いた事がある。
まぁ、今回それは置いておくとして。


「お姉ちゃんみたいだったら、
シグと2人で並んでもおかしくないのかなぁ…って。」
「でも、ちっちゃくても好きでいて貰えるなら、」

「そのままのあたしで、魅力があるなら、」


「あたしは、ブラニー族でちっちゃくて良かった!」





「……って、思っ、た…の…」

なんだこれ。


可 愛 す ぎ か


「…顔真っ赤」
「ぅ!シグだって顔赤いもん!お互いさまだもん!」

あーだめだ。なんかもう全部可愛い。
ほわほわする。すごい幸せだ。
もうロリコンでもいいや…


「あ!あとおっきかったらお兄ちゃんに
抱っこしてもらえない!!
やっぱりあたしちっちゃくてよかった!!」


今、無性に兄貴を殴りたくなった。



〜〜〜〜〜〜



『あら氷竜。いらっしゃい。
え?アミティに変なこと教えるなって?
私を殴りに来たの?』

『あ、違うの。そう。
で、変なことって何だったかしら??』

『ロリコン?
ああ、聞いたわよ。風の噂で。
誰が言ってたかなんて忘れたわ。』

『ただの噂でしょ?
本気で信じちゃいないわよ。
ねぇ、でもね?

ヒトの世界にはこんな面白い言葉があるのよ?』



『【火のないところに煙は立たない】…ってね』






言いたいことも言えないこんな世の中!!!それ思いっきり疑われてますよね?!ポイズンフレイムは止めてお願いします!!



ー end ー





この先はオマケ。ちょいシリアス。


赤竜の素材は、

最強の刀になります。


氷竜の素材は、

最強の銃と、
ショーグン(シグの職業)の
最強防具になります。






ー 余談 ー


『はー…酷い目にあった…』

『本当に毒は勘弁して下さいマジで…』

『……』



『…初めて、武器を向けられたな…』



『…あの左手が、然るべき後に…』

『我の、力を、振るうのか』

『…あの、』



赤竜殿の血族の証あかいうでが、

氷竜われの、力を、



『…』



…あいつは…赤竜殿を恨んでいる。

わかりやすく“竜”の姿が出でいるのが左腕あかいうでだから、

あいつは、自分が赤竜殿の子孫であることを、分かっている。そして…


そのせいで、迫害を受けたことも。



…あいつは…氷竜われのことは、気づいていない。

あいつの“青”は、我の色なのに…しかし、


『気づかれていないから、嫌われていないのは、明白だろう…』



…どこで混ざったのかは分からない。


あいつの両親がそれぞれの力を持っていたのか、
それともとっくの昔に混ざっていて
あいつにたまたま強い力が現れたのか、


『…我も、臆病になったものだな…』


我の『チカラ』は、あいつを守るだけだと思っていた。

しかしあいつは…


新たな力サブクラス】に、【銃】を選んだ


『…言えない、言いたくない…しかし、』


…もしあいつが、違う力を選んでいたなら…


『あいつの力の、一部になりたい…』



こんなにも、惹かれることも無かったのだろうか。


ー end ー



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