Re:3 孝之助の恋愛事情
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ー…カシャ…カシャ…
「よし、写真はこれでいいだろ。」
『うまく撮れました?』
対象の後をつけ証拠を押さえた二人は一旦自分達の仕事が終わったことに安堵し、
見られていることを意識しながらも少し気をゆるめたようにベンチに身を委ねた。
「にしても…尾行してるのを気付かれないように尾行されるってのも難儀なもんだなあ。」
『かなりレアな体験ですよね…。』
「にしてもヒナがよく許してくれたな、後で何かうまいもん奢ってやらねえとなあ、佐奈にも。」
『あはは、いいですよ~私もヒナさんも…これくらいじゃお返しにならないくらい孝之助さんにはお世話になってるって思ってますから。』
「……ははっ…そりゃありがとな!!」
孝之助はそう言うと、少し照れたように笑い鼻の頭をかいた。
あたりも薄暗くなった川沿いのベンチで二人はぼんやり夜景を眺めていたが、周りには次第に恋人達の姿が目立つようになってきた。
「何か…気恥ずかしいもんだな。」
『…そ…そうですね…。』
「これはデートに見えてんのかな俺らは…こんなおっさんじゃなあ…あはは!!」
『………。』
相変わらず自分を卑下して笑う孝之助に佐奈は困ったように笑うと、孝之助の顔をじっと覗き込んだ。
『孝之助さんは確かに私より20も上ですけど…私から見ても男の人として素敵だと思いますよ。だからこうして椿さんも、今も忘れられないわけですし…』
「………。」
『…孝之助さん?』
「……佐奈、大人をからかって遊ぶんじゃありません。」
『からかってませんって!!だいたい私ももう大人ですし。孝之助さんこそ私を子供扱いしないで下さい!!』
「……佐奈…そっか、それもそうだな。」
ムキになって子供ではないと言い返す佐奈に孝之助はフッと笑うと、
ふざけたように佐奈の手を取り、驚く佐奈をグッと自分の方に引き寄せた。
「んじゃ、大人扱いしようか。」
『……・・・!?』
いつも聞く少しふざけた声とは違う、低く落ち着いた孝之助の声がふいに佐奈の耳元で響いた。
突然の出来事に佐奈は顔を真っ赤にして固まっていたが、孝之助はすぐにケロッといつもの調子で言った。
「なーんて……これあっちの探偵から見たらキスしてるように見えたよな?シャッターチャンスだったけど撮れたかな?」
『か…からかわないでくださいっつ!!そーいうことしてると自業自得って言ってですねえぇえ…!!』
「アハハ怒るな怒るな!!佐奈は子供だなぁやっぱ!!」
ー…ミシッ…バキッ…
「……・・・。」
「……・・・。」
「はい、落ち着いてねーヒナー和泉ーどうどうどう。」
草陰からのおどろおどろしい殺気に気付かぬまま、人の気も知らずに楽しそうに夜景を楽しむ孝之助と佐奈。
九条は今にも飛びかかりそうな二人の襟口を抑えながら、はああと深くため息をついたのだった…。
..................................................................
ー…コツコツ…
「じゃあここでいいか?」
『はいっ!!わざわざ送って頂いてありがとうございました!!』
デート(仮)を終えてマンションの前まで佐奈を送り届けた孝之助は、預かっていた佐奈の荷物を手渡した。
そんな孝之助に佐奈は少し言い出しそうに口を開くと、今まで思っていたことを孝之助に告げた。
『孝之助さん…あの…余計なお世話かもしれませんが椿さんに本当のこと、きちんと話した方がいいんじゃないですか…?』
「…椿にか?はは…うーん、そうだなぁ…」
『だって…椿さんも嘘で断られてるって知るより、本当のこと言って断られた方がいいって思うんです…私だったら…その方が諦めきれると思うから…。』
佐奈がしどろもどろになりながらも伝えた本音に孝之助は少し驚きながらも、ニコッと笑って佐奈の頭をポンと叩いた。
「それもそうだな…分かった、考えとくよ。」
『はいっ…!!』
「じゃあまた明日な!!ん。」
『ん?何ですか?』
「え、お別れのチューとかねえの?」
『ありませんっっ!!!!』
ケタケタと笑う孝之助に佐奈はまた顔を赤くしてそう言うと、せかせかとマンションに入っていった。
孝之助はそんな佐奈の姿を、ちゃんと佐奈が部屋に入るまで見届け最後まで笑って手を振っていた。
(こういうとこなんだろうなあ…孝之助さんのモテるとこって…。)
佐奈がそんなことを考えながら部屋に入り一息つくと、突如部屋にインターホンの音が鳴り響いた。
孝之助が何か忘れて戻ったのかと思い慌てて玄関を開けた佐奈だったが、扉を開けた先にいたのは予想外の人物だった。
『はいはーい…………へ?』
「………どうも。」
『ヒ…ヒナさん…!?』
突然佐奈の部屋を訪れたヒナは、バツが悪そうに立ちすくんだまま顔を俯けていた。
佐奈がそんなヒナの顔を伺うようにのぞき込むと、ヒナは佐奈の頬をギュッと摘んだ。
『い…いたいれす…ひなひゃん…』
「変な顔。」
『へ…!?』
「うそ。」
ヒナはそう言ってキスをし佐奈を後ろから引き寄せ抱き締めると、いじけたように佐奈の頭に自分の顎をのせた。
『ヒナさん…?』
「孝之助さんのこと、いいなって思った…?」
『へ…?み…見てたんですか!?』
「質問に答えてない。」
『お…思ってませんよ!!ヒナさん…もしかしてヤキモチ焼いてます?』
「…………やいてない。」
『またまたあ。』
「………。」
『あいたたたたたたたすみませんはい、やいてませんね!そ…それよりヒナさん家に入りましょ!ね?』
「…うん。」
ー…ガサ…
「……。」