Re:3 孝之助の恋愛事情
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ー…数日後。
「「誰かに見られてる気がする?」」
『……はい…。』
あれから数日、佐奈は誰かからつけられているような気配を感じ続けており、
寝不足で疲れた目をこすりながら、佐奈は皆に事の次第を相談した。
「何で早く言わねえんだよ!!危ねえだろうが!!」
「全くだ。何もされてないのか?」
『はい…初めは私の勘違いかもって思ってたので言いづらくて…。』
「何か心当たりはあるの?」
『いえ…それが今のところ全く…。』
ー…ガラッ…
「はよー…どしたのみんな…?」
「孝之助さん、おはようございます。それが…佐奈さんが誰かからつけられているらしいんです。」
「……え!?うわー…まじかやっぱお前もか…」
「『…へ?』」
孝之助の言葉に皆が驚いた顔を見せると、孝之助はハアアと深くため息をついて椅子に腰を落とした。
『お前も…ってなんでですか!?孝之助さんもなんですか?』
「おっさんと佐奈どっちもって何だ?また佐橋絡みか!?」
「いや…そんな大層なもんじゃないよ…。」
「……まさか…」
「九条っち、思い出した?」
「はい。椿さん…ですか?」
九条から告げられた名前に皆がまた驚きの表情を浮かべると、
九条と孝之助は困ったような顔で、お互いに顔を見合わせた。
「昔のこと過ぎて忘れていました…私も昔そういえばつけられたことがあったんでした。」
『"誠子さんが"…ってことですか?』
「ええ、でしょうねぇ。」
「椿は昔っから粘着質でストーカー気質なとこがあってな…まあそれが弁護士時代には役に立ってたわけだが…」
「私が孝之助さんと付き合ってると思った椿さんはその後私につきまとうようになりました、まあすぐに撒いてやりましたけどもね。」
『じゃあ今回も…それで…?』
「あいつが一人でやるには無理だろうから実際つけてんのはあいつが雇った探偵っぽいけどな…ったくもう別れて何年経ったと思ってんだよ…ごめんな佐奈、巻き込んじゃったな。」
『いえ…私は大丈夫ですが…』
申し訳なさそうに孝之助は佐奈の頭をポンポンと叩くと、またがっくりとソファにうなだれた。
孝之助もまた佐奈と同じく眠れていないようで、クマの濃くなった目をこすっていた。
「前は私と孝之助さんが二人で出掛けるのを確認するとぱったり追跡が終わったんですよね、ですから付き合ってるんだという確証が欲しいんじゃないでしょうか?それで付き合ってないならまだチャンスがあると踏んでいるからとか。」
「うはあ…疑り深いってもんじゃねえなー…」
「そうだったっけか…?はああもう何なんだよあいつマジで…佐奈ごめんけどちょっとだけ付き合ってもらっていいか?そうだこの次の依頼調査と同時進行でやれば効率いいな。」
『……。』
「佐奈?」
『えっ?あ…は、はい!!』
自分と孝之助をつけているという椿の真意が本当に皆の言うようなものなのか、佐奈はどうしても腑に落ちなかった。
椿の話をする面々をどこか上の空で見ていた佐奈は、よく話も聞かずに、孝之助に言われるがまま弾かれるように返事をしたのだった…。
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ー…ガヤガヤ…
『ま…待って下さい孝之助さんっ…!!』
「ほら急いだ急いだ!!見失っちまうぞ!!」
あれから佐奈と孝之助は私服に着替え、対象を追いかけながら街の雑踏のど真ん中にいた。
『こ…孝之助さんこれってえっと…何の調査なんでしたっけ…?』
「ったくお前何も話聞いてなかっただろー!!歩きながら話してやるからほら行くぞ、荷物かせ!!」
『あ…はいっ…!!』
孝之助はそう言って佐奈から荷物を受け取ると、何くわぬ顔で荷物を抱え佐奈に歩幅を合わせた。
今日一日は佐奈はヒナとではなく孝之助とともに、浮気調査を兼ねたデート(に見せかけたもの)に出かけていた。
「…で、対象はあのグレーのパーカー着た須藤賢一29歳だ。浮気対象と今日落ち合うと思うから証拠抑え、いいな。」
『はい!!』
「それとま、つきまといを止めさせる為に今日は恋人同士のふりでな!!ほい。」
『………。』
「何やってんだ、早く!!」
『…は…はい…!!』
佐奈は少し顔を赤らめながら頷くと、自然に孝之助が差し出した手を取った。
その瞬間、佐奈の脳裏に浮かんだのは椿の言葉だった。
"南在くんああ見えて凄くモテるんだから、男だらけの職場で働いてるからわからないでしょうけど…"
(ずっとお父さんみたいにしか見てなかったけど…そうだよなあ…優しいし気も利くし、そう言われてみるとモテないわけ無いよなあ。)
「にしてもそもそも俺らはカップルに見えんのかね?俺お父様とか店員に言われたら立ち直れねえんだけど。」
『あはは、それは流石にないですよ~あっても若い子に貢いでるおじさんくらいには…』
「来月佐奈減給ね!!減給!!」
『へええっ!?冗談ですよ冗談!!!!』
手をつなぎわいわいと楽しそうに話す佐奈と孝之助だったが、
そんな二人を黙って事務所の面々が見送ったわけもなく、手付きの仕事をほっぽり出して三人は例にもれずこの場に駆けつけていた。
「早く仕事に戻りなさーい、二人共。」
「……俺は昨日死ぬ気で今日の分終わらせましたので。」
「お…俺だって…ゴニョゴニョ…てかてめえもだろこの腹黒男!!」
「私は孝之助さんから直々に椿さんの探偵を見つける等の役目を仰せつかっているんです、一緒にしないで下さい。」
ぶつくさ文句を言いながらも二重尾行のような形を取った三人は、草陰からこっそり二人を見守っていた。
そんな中、気が気じゃないのを必死に隠すように平静を保ったヒナに、九条が少し笑いながら言った。
「よく許したね、ヒナ。フリとはいえ自分の彼女が他の男とデートするのなんで気分がいいもんじゃないでしょうに。」
「……孝之助さんの一大事ですから。」
「孝之助さん意外にモテるよ?佐奈さん好きになっちゃったりして、アハハ。」
「知ってます…し、孝之助さんだったら…仕方ないとも思えます………。」
「あはは、ごめんごめん冗談だよ、孝之助さんがそんなことするわけな…」
「………。」
「あれ…ヒナ本気で落ち込んでる?おーい、ヒナ?ごめんね、嘘だよあんな親子みたいなカップルあり得ないからね?おーい。」
「……………………。」
「ププッ…おい…メガネが本気でへこんでんぞ腹黒。」