03.スクリプトキディ
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「お、目覚めたか少年。」
「あ…僕…。」
目をさました少年を佐奈が支え起こすと、孝之助が目の前のソファーに腰を下ろした。
「どうしたってんだ。高校生が金握りしめて探偵事務所とは、穏やかじゃないなぁ。」
孝之助はそう言うと、緊張する少年を落ち着かせるように笑った。
「助けて…欲しいんだ…。」
「…助ける?」
「どおーせいじめられてんだろ~お前。」
『い…和泉さんんんんん!!私も十中八九そうだろーなー…とか思ってましたけどそんなデリケートな問題ハッキリ言ったらダメですって!!』
「…二人ともうるさいわ!!」
孝之助に怒られる和泉と佐奈を見ながら、少年は少しバツが悪そうに俯いた。
「そうです…いじめられてます。でもそれは僕が…僕が我慢すればいいんです…。」
「…先生とか親には相談してないのか?」
「言っても無駄だった…相手は校長の孫なんだ。いつも結局うやむやになって……。」
「…。」
「それでも…どんなに殴られたって、僕には信じられる大切な人が…彼女が…いたんです。」
「いじめられてる割には彼女いるなんて余裕あんじゃねーか。」
「彼女は他校の子で…僕がいじめられてるのは知らない。でも、それでも良かった…一緒にいてくれれば…なのに…!!」
「…?」
「あいつらは僕になりすまして彼女の悪口を掲示板に書きまくって写真も…どこで盗られたのか…勝手に載せられてた…僕だけならまだしも…彼女にまでこんな…!!!!」
そう言って目に涙を浮かべて唇を噛み締める少年を、じっと見つめながら孝之助は言った。
「なるほどね。で、君はどうして欲しくてここに来たんだ?」
「…?」
「復讐?彼女との和解?写真の出所を調べて欲しい?いじめの解決?それとも愚痴りに来ただけか?」
「僕は…彼女を傷付けたあいつらが許せなくて…もちろんいじめが解決するならそうしたいけど…でもきっとそんなの無理で…」
ー…バンッ!!!!!!!!!
「!?」
『こ…孝之助さん…?』
突如机を叩いて立ち上がった孝之助の物凄い剣幕と威圧感に、少年と佐奈は思わず身を縮めた。
「…でもでもでもでもうるせえわ!!!どうしてそこまでされて全部だって言えねえんだ!!!!!!」
「…!!」
孝之助の言葉を聞いた少年の瞳からはポロポロと大粒の涙がこぼれた。
「そうだ…全部…あいつらに奪われたもの…全部…取り戻したい…!!!」
「…よし、任せとけ。」
孝之助は少年が握りしめていたお札を取り上げ少年のポケットにねじ込んだ。
「この一万三千円は全部が成功してからだ。大事に持っとくんだぞ。」
「はい…!!!!」
『孝之助さん…!!』
「…ちょっと孝之助さん、成功報酬が一万三千円ってうちは慈善事業のボランティア団体じゃないんですよ。」
「分かってるよ。でもこんな未来ある若者を放っておけないだろ‥まあ来月の和泉の給料ちょっとばかし削れば問題無し!!」
「は!?ちょっと待って何で俺!?」
「ちょっとどころじゃダメですよ、全額カットじゃないと採算とれません。」
「ちょちょちょちょ何でだよ!!おい!!」
「そういえば少年、名前聞いてなかったな。」
「…近藤…武蔵です…。」
「………名前だけは妙に強そうだな。」
「…す…すみません。」
「いや、謝るなよ。」
「すみませ…あ…。」
「…。」
こうして私たちはこの気弱な高校生”近藤武蔵”君のいじめを解決するため
調査をすることとなったのであった…。