19.佐々の彼氏検定
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ー…ザアッ…
『はあ…そうは言ったもののなあ……。』
佐々を見送り一日の仕事を終えた佐奈は、一人事務所の屋上でため息を付きながら携帯とにらめっこしていた。
(ヒナさんはああ言ってたけど無理矢理挨拶に連れて行くことになっちゃったなあ……
佐々は前の電話で気付いたみたいだけどお母さん達は私の彼氏が本当に前科があるって気付いてないって言ってた…。)
『先に言っておいたほうがいいのかな…でもそんな先入観をわざわざ持たせるのもどうかと思うし…。』
思い悩む佐奈の頭の中には九条の一件の時に母親から言われた一言が何度も頭の中をぐるぐる回っていた。
"だいたい前科がある人なんて駄目に決まっとるでしょ!!!!前科があるって時点ですでに性根が腐っとるのよ"
『…。』
ヒナさんは私の自慢の彼氏だ、かっこよくて優しくて頭も良くて仕事もできる。
ヒナさんを紹介するのが前科があるからって怖いわけではない、
怖いのは、自分の母親がそんな言葉を彼に投げかけるかもしれないということだ。
ヒナさんはこれまで体も心も沢山沢山傷ついてきた。私はもう彼の顔が曇るのを見たくない。
『だからって前科を隠し通すなんて…ヒナさんを否定してるみたいで嫌だよ…。』
ー…ガチャ
「あれ、佐奈さん?」
「あ…九条さん…。」
佐奈がぐしゃぐしゃと頭を抱えていると、煙草を吸いに来たらしい九条が現れた。
何かに悩んでいるらしい佐奈を見てピンときた九条は佐奈の隣へ歩み寄りニコッと笑った。
「ヒナもね、頑張っていますよ。」
『え…?』
「ヒナが前に私に聞いたことがあるんです、どうやって喋れば相手にいい印象を持ってもらえるのかって…。」
『…?』
「"相手"っていうのはきっと…佐奈さんのご両親のことでしょう。」
『……!!』
予想だにしなかった九条から告げられたヒナの行動、
それはずっと前からヒナが自分の両親に挨拶をしようと思ってくれていたことの表れでもあった。
「あの無愛想で他人に無頓着なヒナからそんな言葉が出る日が来るとは思いませんでしたよ。ヒナも佐奈さんのご両親に少しでも歩み寄ろうとしている、それで十分じゃないですか。」
『はい…っ!!!!』
祭り囃子が佐奈の故郷に響き渡るまであと一ヶ月。
不安な胸の内を押し殺して、佐奈はヒナを信じることと決めたのであった…。
【19】佐々の彼氏検定 -END-
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