19.佐々の彼氏検定
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ー…バタバタバタ
「待て!!お前!!!!」
「……。」
銀行に到着した和泉は、後ろから聞こえた聞き覚えのある声にうんざりしながら振り返った。
「し…っっつこいなてめえは!!てか銀行に竹刀持って入ってくんな!!銀行強盗か!!」
「こんなもんで人は死なん!!それより俺はお前が本当に姉ちゃんの男にふさわしいか知らんといかん!!」
「姉ちゃんって…佐奈のことなんだろ?それだったらお前の勘違い…」
「か弱い少年を気絶させたお前の素行は落第点!!次は姉ちゃんの事をどれだけ知ってるかクイズ!!これにも答えられんようなら俺はお前を絶っっ対に認めん!!!!!!第一問!!」
「おいおい竹刀持って突然殴りかかって来たやつのどこがか弱い少年だよ!?いいから人の話を聞けえええええ!!!!!!」
全く人の話を聞かない佐々にうんざりきた和泉は呆れたように頭を抱え、
一方佐々はそんなことお構いなしに銀行のロビーで和泉に佐奈の事どれだけ知ってるかクイズを繰り出し始めた。
「では姉ちゃんの誕生日は?」
「…知らん。」
「姉ちゃんの好きな食べ物は?」
「知らん。」
「姉ちゃんが中学校の時好きだったアイドルグループは?」
ー…ガシッ!!!!グググググ…
「…そ・ん・な・も・ん・知るかぁぁ!!!!!!てめえまじでいい加減黙らねえと金輪際口きけねえようにしてやるからなあぁあ…!!!!」
「知識、素行共に落第点だな。全く姉ちゃんも何でこんな奴選んだんか俺にはさっぱり分からん。」
ー…ガシャーン!!!!!!!
「きゃあああああ!!!!!!!」
「…!?」
「死にたくなけりゃ静かにしろ!!全員携帯を出せ!!こいつが見えねえか!!」
ロビーで言い争っている二人が物騒な声と物音に顔を上げると、なにやらあたりには数名の怪しげな目出し帽を被った男達が点在していた。
明らかにそれは"銀行強盗"というもので、犯人の一人はまだ幼い幼児に銃を突きつけ銀行には金を、居合わせた客には携帯を出すように叫んでいた。
「あ~あ…ホントの銀行強盗来ちまったじゃねーかクソガキ…二時からのドラマ再放送間に合わなかったらだだじゃおかねーからな…。」
「あ…あんたアホか?こんな時に何を気にして…それよりあいつらあんな小さい子を人質にとって…許せん……!!」
「おいそこ!!何こそこそ喋ってやがる!!早く持ってる携帯を出しやがれ!!」
銀行強盗の犯人達は和泉と佐々に近づくと、持っている携帯を出すように促した。
だが佐々は素直に携帯を取り出すと同時に、思いもよらぬことを犯人達に提案した。
「俺が代わりに人質になる、やけんその子は離してやってくれ。」
「…はあ?」
「…小っちゃい子にそんなトラウマ植え付けるもんやない、俺は抵抗せんけん早く母親に返してやれ!!!!」
「お前…。」
弱くて勝てる算段なんて無いくせに、己の犠牲も厭わず正義感で突っ走る。
その姿はまったく誰かさんを見ているようそのままで、和泉はフッと笑った。
「……佐奈そっくりだな。」
「ああ?てめえ何ふざけたこと言って…」
ー…バキイッッッ!!!!!!!!!
和泉はそう呟くと、次の瞬間目の前の男に渾身の一撃を食らわせ男は遥か彼方へ飛ばされた。
何が起こったのか皆が理解をする間もなく和泉はすばやく子供を人質にとっている男に蹴り掛かり、
突然のことに全く対応できなかった犯人から銃と子供を奪い取ると、子供をそばで泣きじゃくっていた母親に手渡した。
「たくちゃん!!!!!!あ…ありがとうございます…!!ありがとうございます!!!!」
「礼ならあそこの竹刀持った"か弱い少年"に言ってやってよ。」
和泉はそう言ってニッと笑うと、倒れた男に銃を突きつけ残り三人の犯人に詰め寄った。
ー…ザッ…ザッ…
「お前ら運悪すぎ。強盗すんなら今度から二時以降にしろよな、俺絶対いねえからさ。」
「ひっ…ま…まて謝る…許し…!!」
ー…ドカッ!!!!!!!バキャッ!!!!ベキイッ!!!バキッ!!!!!!
「謝るくらいなら最初からやるなバカ野郎。あと頼むね、銀行員さん。」
「……!!!!」
颯爽と男達を倒し人質を助けた和泉は名前を告げる事もなく颯爽とその場を後にした。
本当は記事にされて名前を公にされるのが嫌だったからなのだが、その姿は佐々にとってとてもかっこいいものに見えていた。
ー…パタパタパタ…
「……和泉のアニキ!!なんか俺生意気なこと言ってて本当すんませんっした!!俺これからは…一生アニキに付いて行きます!!!!」
「うっせ、もう二度と付いてくんな!!あ、二時まであと三分しかねえ!!!」
「姉ちゃんのこと共々、どうぞ宜しくお願いしますっ!!!!」
「ったく俺だって出来るなら宜しくされたいっつーの、じゃあお前から佐奈に俺と付き合えって言ってよ。」
「…へ?どゆ事っすか??」
「…てめえはいい加減間違いに気付け!!!!」
なんだか懐かれてしまった佐奈弟を引き連れ和泉は事務所戻り、
そこで初めて佐々は自分の勘違いに気づくのであった…。