19.佐々の彼氏検定
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「デート?」
『はいっ…!!』
外回りでの仕事を終え、久しぶりにヒナと二人の時間を公園のベンチで過ごしていた佐奈は、
少し顔を赤らめながらヒナにある提案をしていた。
『こうして仕事で一緒になれるのも嬉しいですけど、一緒にどこか出掛けてデートしてみたいなぁと...思いまして...。』
「うん。デートってどこに行って何すればいいの?」
『デ…デートですか!?えっと…夜景の綺麗な所とか買い物とか…はたまた旅行とかもいいですよね...!!』
自分の行きたい所を楽しそうに話す佐奈を見ながら、ヒナは嬉しそうに笑った。
「いいよ、佐奈の行きたい所全部行こう。」
『ほ…本当ですか! ?』
「うん。」
ヒナはそう言うと佐奈の手をギュッと握り、佐奈も嬉しそうにヒナの手を握り返した。
『ヒナさんはどこか行きたい所無いんですか?』
「行きたい所…あんまりそんなこと考えた事無い…。」
『でも私…本当はヒナさんといられればどこだって幸せなんですけどね…!!』
「佐奈…」
そう言ってはにかみながら自分を見上げる佐奈の可愛さに、ヒナはどうにも我慢ならずに佐奈を抱きしめ耳にキスをした。
突然のことに佐奈は周りを気にして恥ずかしがりながらも力が抜けてヒナに寄り掛かった。
「可愛い。」
『もう…!!耳弱いの知ってて面白がってるでしょう~~~!!!!』
「襲いたいのを我慢してるんだからむしろ褒めて欲しい。」
『ま…まっ昼間から何言ってるんですか!!』
仲良く人気のない公園でじゃれあう二人。
ヒナは照れる佐奈を愛おしそうに抱くと、思いついたように言った。
「あ、行きたい所思いついた。」
『え?どこですか?』
「佐奈の育った所が見てみたい。」
『わ…私の故郷ですか?すごい田舎なんで行っても楽しくないと思いますよ~!!』
「佐奈がどんなものを見て生きてきたのか、佐奈のことちゃんと知りたい。」
『ヒナさん……。』
ヒナはコミュニケーションが上手いとはいえない分、発する言葉は素直でストレートだった。
思いもよらなかったヒナの言葉と思いに、佐奈は嬉しそうに頷いた。
『じゃあ…今度里帰り一緒にしましょう?家族にもヒナさんのこと…大切な人だって紹介したいですし…!!』
「……うん。」
................................................
ー…ギシッ…
「ん…?」
「あ、お気づきになりましたか?」
「ここは……あ痛っ!!」
事務所で気を失っていた少年は、ズキズキと痛む頭をおさえながら体を起こした。
そんな少年に水を差し出すと、九条は不思議そうに尋ねた。
「うちのバカがどうもすみません。ところで…私達はあなたとよく似た同僚を知っているんですが、もしかしてあなたは…」
「…橘佐々(ササ)、ここで働いてる橘佐奈の弟です。」
「やっぱりそうでしたか。」
佐々は出された水をバツが悪そうに受け取ると、一気にそれを流し込んだ。
「さて、どうして佐奈の弟くんがいきなりあんなことしたんだい?」
「母さんから聞いていてもたってもいられなくなったんです…姉ちゃんに彼氏ができたって聞いて…。」
「ほう。」
「母ちゃん達は信じてなかったけど彼氏が前科持ちだとか何とか聞いて…父ちゃん達に会わせる前に俺が姉ちゃんに見合う男なのか確かめようと思ったんです…!!」
「「…。」」
(なるほど、それで一番人相悪くて前科ありそうな和泉を彼氏と思って襲ったわけね。)
こみ上げる笑いをこらえながら孝之助と九条が納得すると、佐々はそんなこととは露知らずまわりをキョロキョロと見回した。
「姉ちゃんは……おらんのですか?」
「はい、今外回りに出ていますよ。もうすぐ戻ってくると思いますが。」
「…じゃあ…あの男は?」
「和泉はさっき銀行に用事を頼んだので向かっていると思いますが…?」
ー…バッ…!!!!
「佐々くん?」
九条の言葉を聞くと、佐々は慌てたように傍らに置いてあった竹刀を手に取りガバリと立ち上った。
「俺は姉ちゃんの男と話を付けに来たんだ、姉ちゃんが帰ってくる前にもう一度あいつと話してくる!!」
「あの、君それは勘違いでだね~…」
「ではご迷惑お掛け致しました、失礼します!!」
ー…バタバタバタ…
「行っちゃいましたねえ。」
「…話聞いちゃいねえな、佐奈を上回る猪突猛進型だ。」
「まあそのうち分かって帰ってくるでしょ。」
「それもそだな。」
どういうわけか佐奈の彼氏を和泉だと思い込んでいる佐々。
佐々は街で銀行に向かう和泉の背中を見つけると、全速力でその後を追ったのだった。