第二十三話 最期の決断
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「総助!!おい!!しっかりしろ!!!!!!!!!!」
「い………ち……?」
「…総助…!!」
一の問いかけにかろうじて返事をした総助を肩に担ぐと、一はどうにか炎に包まれたその場を離れた。
……ゴホッ…ゴホッ…
総助を炎の無い場所まで連れて行くと、一は咳き込み倒れ込んだ。
病に冒された一の身体も、一連の戦いでとうにボロボロだったのだ。
「ゴホッ…ゴホ…悪ぃ……」
一が苦しそうに咳き込むと、総助は一に向かって言葉を絞り出した。
「一………無理…しちゃ……だめだって…。」
「…うるせぇよ………こんな時まで…人の心配してんじゃねぇよ…!!!!」
そう言うと、一は溢れそうになる涙を飲み込み目を伏せた。
そうして一がもう一度息を整えて総助を担ごうとすると、背後から聞き覚えのある声が響いた。
『高砂さん!!!!総助さん!!!!!』
「桜…小忠太……。」
炎と敵兵を決死の思いでかいくぐった二人は、横たわる総助の元に急いで駆け寄った。
総助はもう起き上がる気力も無いようで二人の声に少しだけ顔を二人に向けた。
『総助さん!!総助さんっ…!!!!』
「総助さんっ…!!」
もうほとんど目も見えていない総助は
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/175.jpg)
声のする方にゆっくり手を伸ばし、桜の頬に触れた。
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/174.jpg)
『総…助さ…』
「なかない…で…」
『…!!』
桜は溢れ落ちる涙を抑えられぬまま、総助の手を握った。
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/176.jpg)
総助の手は傷だらけで血にまみれていたが
いつもとなんら変わらない、温かくて優しい手だった。
「お前のお陰で……長州…いや……日本は救われたぞ……後はまかせろ…総助………!!!!」
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/177.jpg)
一の言葉を聞いた総助は、安堵したように笑った。
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/178.jpg)
そしてそれはいつも憎まれ口ばかり叩いている一が
総助にかけた、最初で最後の
称賛の言葉となったのであった…。
『総助さんっ!?総助さんっっ!!!!!!』
「総助さんっ…!!」
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/179.jpg)
"どうか…みんな幸せに…"
最後まで人の幸せを願い
国の平和を願った男に神が与えたのは
26年という
短すぎる生涯だった…。
短すぎる生涯だった…。