【続サクラ花火 最終話】優しい手
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それから侑の身体は日に日に目に見えて回復していった。
だが、切ることだけを免れた動かぬ足は、重しのように何時までも侑の自由を奪っていた。
「…っ!!」
「才原さん、ゆっくりでいいですから、焦らずリハビリを進めていきましょうね。」
「…はい…でも……。」
「…今日はこのへんにしましょう。そんなに根詰めては続きません…後は体を休めてください。」
「ー…。」
身体の体力が戻れば戻る程嫌という程に思い知らされる現実。
あってないような片足と一生付き合っていくのは、中々すんなりと受け入れられるものではなかった。
ー…ガンッ!!
「…くそっ…!!」
リハビリを終えた侑は、思うように動かない体の歯がゆさに、握りしめた拳を壁に打ち付けた。
そしてまた拳に力を込めると、おもむろに立ち上がった。
「…このまま…動け…!!」
ー…グラッ…ガシャーン!!!!!!
片足で立っている感覚とはまた違った、自分の意志とは無関係にある足。
落ち着けても落ち着けても不安で震える手。
そして、倒れたら一人で起き上がることも出来ない自分。
侑は自分の情けなさに心底嫌気がさしていた。
「もう…動いてくれよ…頼むよ…!!!!」
『侑…さん…。』
ー…バッ!!!!!
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/154.jpg)
「桜…さん…何で…。」
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/164.jpg)
目の前に突然現れた桜に驚きを隠せない侑に、桜は思わず駆け寄り侑の肩を支えた。
だが侑はハッと我に返りその手を払いのけた。
「放っておいて下さいって…言いましたよね…。」
『…はい。』
動揺を隠せない侑の声とは対照的に、落ち着いた声で桜は答えると、また侑の体を支えた。
「だから…!!」
『嫌です。』
「!!」
『もう一人で行かせたりなんてしません、絶対に!!』
「…!?」
『…だいたい侑さんはいつもいつも総助さんの時からそうです頼って下さい甘えて下さいっていっつも言ってたくせに自分は一度だって私には頼ってくれたことなんてなかったじゃないですか!!!!!!いっつもいっつもいーっつも一人でしょい込んで迷惑かけたくないとか自分が犠牲になればいいとかって言って一人で結論出して誰にも相談もしてくれなくて残された私達がどれだけ寂しくて虚しいか全っっ然分かってないんですーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/155.jpg)
「・・・・す…すみません・・・。」
桜の勢いに圧倒され侑が言葉を失っていると、桜は侑を抱きしめた。
『私じゃ…侑さんのお役には立てませんか?ずっと傍にいては…いけませんか…?』
「…!!」
溢れ出そうになった涙をこらえて侑は絞り出したように口を開いた。
「だって…桜さんが好きなのは…」
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/156.jpg)
桜は侑を引き寄せ、言葉を遮るように口づけた。
侑の瞳からは涙が伝い、桜は侑を抱きしめ、頭を撫でた。
『もう…一人で頑張らないで下さい。一緒にいれば…きっと何でも乗り越えられますから‥!!!』
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/157.jpg)
「……!!」
『…お慕いしています…侑さん…。』
「…………はい…………!!」
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/158.jpg)
もう二度と、この優しい人が
短い人生で幕を下ろしたりしないよう
あんな悲しい笑顔で終わらないよう
今度こそ、この手は離さない。
絶対に…。