【続サクラ花火 最終話】優しい手
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あれから親瑛と桜の捜索も虚しく、
侑が二人の前から姿を消してもう半月が経とうとしていた。
数百とある病院をしらみ潰しに当たったが病院に関係者が多い侑を病院から探し出すのは想像以上に困難で、
病院側に隠されてしまうともう手立てがないと言う状態が続いていた。
そして部屋で塞ぎ込むことが多くなった桜は、今日もまた一人部屋で過ごしていた。
『侑…さん…。』
どうしてあの時手を取らなかったんだろう。
もう二度と、あんな思いはしないようにって…
今度こそ絶対…手を離さないようにしようって思っていたのに。
私は結局、何も変わってない、最低だ。
自分の拳を血が滲むまで握りしめると、桜は意を決したように立ち上がり、走って家を飛び出した。
.......................
ー…ザワザワ…
『お願いします!!侑さんの居場所を…教えて下さい!!!!!』
「またあなたですか…もういい加減にして下さい、ご本人様に直接伺って下さい。これ以上になりますと警察に連絡させて頂く事になります。」
『…そんな…。』
看護師達から怪訝な目で見られようとも諦めようとしない桜の肩越しに、聞き覚えのある声が響いた。
「桜さん!!」
『俊輔…さん…。』
俊輔は頭を小さく下げると桜に手招きし、屋上の方へと足を進めた。
ー…ガチャ
『俊輔さん…?』
不思議そうに俊輔の背中を見つめる桜に、俊輔は真面目な顔で振り返った。
「侑さんに会って…どうするつもりッスか?」
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/148.jpg)
『え…?』
いつもの俊輔とは違う冷たい口調に桜はたじろぎながらも答えた。
『どうするって……だって侑さんあんな体で…一緒にいたいんです…。』
「一緒にいて、また優しくするんですか?」
『え…?』
「あなたのそのどっちつかずな優しさと態度が…侑さんを苦しめてたとは思わないんですか?」
俊輔の口から出る言葉に身動きが取れなくなった桜は、ただ黙って俯いた。
「侑さんの足は…もう動きません。」
『‥‥‥え‥?』
「侑さんは…あなたに迷惑をかけたくなかったんです。だから一人でいなくなったんです!!あなたに…幸せになって欲しくて…!!」
俊輔はそこまで言うと口をつぐみ、涙が溢れてしゃがみ込んだ桜に小さな紙切れを差し出した。
「侑さんのいる病院の住所です。」
『…!?』
「親瑛さんを捨ててでも侑さんを支えようと思わない限り、絶対に…会いに行かないで下さい。」
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/149.jpg)
俊輔はそう言って紙切れを桜に手渡しペコリと頭を下げると、
桜を残し、一人屋上を後にした。