【続サクラ花火 最終話】優しい手
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『ひっく…ひっく…。』
「落ち着いたか?桜。」
桜を連れて家に戻った親瑛は、真っ赤な目の桜に温かいお茶を渡した。
「侑の事は…心配すんな、あいつだっていい大人だ、居場所もすぐ見つけ出してやる。だから今日はもう休め。」
『…。』
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/146.jpg)
親瑛の言葉に頷くともしない桜を見て、親瑛はそっと部屋の襖を閉めた。
そして、桜に見せた顔とはうって変わって険しい顔で空を見上げ、バタバタと家を出た。
(侑…。)
親瑛には侑を信じると共に、どうしてもぬぐいきれない不安があった。
それは総助の頃から変わらない、思い詰めるとロクなことをしない性格と、自己犠牲の強い考え方だった。
(春就の時だって、俺の代わりに戦に行った時だってそうだ…いっつもいっつも…!!)
侑がいなくなった理由もだいたい想像できる。
障害を持って同情されたくなかったとか、迷惑かけれないから自分は身を引くとかそんな事だろう。
勝負もせずに逃げやがったのも納得いかねえがそれより…
「見つけ出すまで…それ以上思いつめるんじゃねえぞ…!!!!!」
![image](http://id42.fm-p.jp/data/242/ruruyuno/pri/147.jpg)
そうポツリと呟くと、親瑛は懐から取り出した携帯で電話をかけ始めた。
....................
ー…プルルルルルルル…カチャ
「はい、親瑛さん?」
「お前だろ、手引きしたのは。」
間髪入れずに響いたドスのきいた声に、俊輔は思わず自嘲気味に笑って答えた。
「今回ばかりは本当に何も知らないッスよ。」
「あいつの足の事を知ってるのは俺とお前と病院だけだ、お前以外に誰がいる。」
「じゃあ病院の人じゃないんスか?あそこの人はみんな侑さんの同僚でしょ。」
「…てこでも喋らねぇつもりか。」
「喋らないも何も、何にも知りませんから。」
淡々と早口で答える俊輔に、親瑛はハアとため息をついた。
「俊輔、お前は昔から嘘つこうとすると妙に早口になるんだよ。覚えとけ。」
ー…ブツッ…
おもむろに切れた電話の画面を見ながら、俊輔は大きく息を吐いた。
「適わないッスねぇ…やっぱ。」
呆れたような、でもどこか嬉しそうな顔でそう呟くと、俊輔はボスンとベットに倒れ込んだ。
かたや俊輔との電話を切った親瑛は、またどこかへ電話をかけながら夜の町を駆けずり回り、
桜の待つ寺へと戻った頃には日付が変わってしまっていた。