【続サクラ花火 其ノ十四】守るための戦
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「あの旗…紀州藩だな…こりゃ今までのようにはいかねーぞ。」
「今までのようにはいかないって…どういう事ですか?」
解せない顔の兵達に、一は刀を構えながら続けた。
「今までの藩の隊は言ってみりゃ寄せ集めの隊。嫌々挙兵してるから崩すのも簡単だった。」
「なるほど…。」
「でも紀州は徳川御三家。倒幕に傾くつもりは更々ねぇだろーから必死に戦うだろうよ。」
一の言葉に息を飲む兵達を引き連れ、一は砲撃の音が止むと同時に場所を移動した。
.......................
―…ザッ…ザッ…
「ここは…!!」
半刻程山道を歩き道が開けると、一人の兵が嬉しそうに声を上げた。
「高砂隊長!!ここ、自分の住んでる村のすぐ近くです!!」
「そっか…田沼はこの辺の出身だったのか…。」
![image](http://id54.fm-p.jp/data/369/ruru04251117/pri/213.jpg)
「自分は普段はここで家族で百姓をしてますので…秋になったらこの辺も稲穂でいっぱいになってそれは綺麗な景色なんですよ!!」
田沼はそう言うと、嬉しそうに笑った。
「そっか…じゃあ尚更だ。俺達がこの村に近づけば村が戦場になる…こっから離れるぞ。」
―…ドドドド!!!!
「!!」
一がその場を離れようとしたその瞬間、一番聞こえて欲しくない方向から銃声が鳴り響いた。
「銃声…村の方からっ…!?」
「田沼っ!?待て!!!!」
村から聞こえた銃声に顔色を変えた田沼は、一の制止も聞かず村へと走り出した。
「あっ…の馬鹿!!いいか、お前らはここにいろ!!」
「高砂隊長!!」
一はそう言うと、銃声のする村へと向かった田沼の後を追った。
......................
―…ドドドド
「マサ!!千代!!無事かっ!?」
生々しく銃弾の跡が残る扉を開けると、そこには家の奥で怯えきった田沼の妻と娘がいた。
「お父ちゃん!!」
「あなた…!!」
「良かった…二人とも…早く!!こっちだ!!」
―…バタンッ!!
「!!」
安堵したのも束の間あっと言う間に村は幕府軍に包囲され、
ついに田沼の家にも幕府軍の兵が乗り込んで来た。
「いたぞ!!長州兵だ!!」
「…くっ!!」
田沼は乗り込んできた幕府軍の兵と決死の思いで刀を交えた。
だが元々農家の田沼に剣術の心得があるはずもなく、
まるで赤子の手をひねるように、田沼の刀は弾き飛ばされてしまった。
「死ねっ!!」
「お父ちゃんっっっ!!!!」
―…ザシュッッ!!!!!!!!