【続サクラ花火 其ノ八】今太閤
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次の日、小忠太は緊張の面持ちで杉の私塾に訪れた。
「今日から一緒に講義に参加することになった谷小忠太君だ。皆宜しく頼みますね。」
「よ…宜しくお願いしますッス…!!!」
―…ザワ…ザワ
「アイツ庭掃除やってたやつじゃん…。」
「貧乏人の馬鹿に何が分かるって言うんだよ。」
…―ガタッ
少年の言葉に頭に血が上った一と総助は、ゆっくりと立ち上がった。
「お~ま~え~らぁぁぁ~…」
「いちいちいちいち馬鹿だの貧乏人だの…」
「今急武備を修め、艦略具はり略足らば…」
「!?」
![image](http://id54.fm-p.jp/data/369/ruru04251117/pri/118.jpg)
少年らに詰め寄る一と総助を前に、小忠太が静かに口を開いた。
「則ち宜しく蝦夷を開拓して諸侯を封建し、間に乗じて加摸察加・都加を奪ひ、琉球に諭し、朝覲会同すること内諸侯と比しからめ朝鮮を責めて質を納れ貢を奉じ、古の盛時の如くにし、北は満州の地を割き、南は台湾、呂宋諸島を収め、進取の勢を漸示すべし…」
「小忠太…。」
小忠太が言い連ねたのは、杉がいつも皆に聞かせていた対外思想について記した幽囚録の一文であった。
「彼はいつも熱心に聞いていたんですよ。皆の中にこの文を一字一句間違えずに言える人がいますか?」
杉の言葉に少年達は静まり返った。
「皆さんも彼のように熱意を持って勉学に励むよう。いいですね?」
「…やるじゃねーか小忠太。」
「はは…庭でメモとるわけにはいかないんで必死に暗記してただけッスよ…。」
そう言って小忠太が笑うと、一もニッと笑った。
.......................
「俺…日本のトップになりたいッス…!!」
「ほーそりゃまた大層な出世だなぁ。」
「足軽から日本のトップって…豊臣秀吉みたいだね。」
総助がそう言うと、小忠太は興奮気味に言った。
「俺…憧れなんスよ豊太閤様!!!太閤記も必死の思いで手に入れて熟読済みッス!!!!」
「ミーハーだなぁ~お前。俺は織田信長の方がいいなぁ。」
「「あー…っぽい。」」
(鳴かぬなら殴ってしまえホトトギス…て感じだし…。)
「なんだよ。」
「いや…別に…。」
「総助さんは明智光秀って感じじゃないッスか?」
「それじゃ俺三日天下じゃん!!」
![image](http://id54.fm-p.jp/data/369/ruru04251117/pri/123.jpg)
「それじゃ俺総助に殺されるじゃねーか!!」
「………ぷっ…あははははは!!!」
![image](http://id54.fm-p.jp/data/369/ruru04251117/pri/120.jpg)
「はい、お喋りはそこまで。講義始めますよ~。」
「はーいっ。」
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