第二十六話 告白
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
―…ゴホッ…ゴホ…
「これで良かったんだよな…?杉先生………?」
一は咳き込みながらおぼつかない足取りで布団に倒れこんだ。
「ああ…情けねぇなぁ…。」
体も思うように動かず、
未来は人に託すしかない。
そして一番大切な人に想いを伝えることさえ、一は出来ないままだった。
「総助…お前は桜に伝えたんだろう…?俺は…駄目だなぁ……。」
![image](http://id54.fm-p.jp/data/369/ruru04251117/pri/377.jpg)
総助は俺の代わりに死んだんだ。
そんな総助が愛してた女に、俺は気持ちを伝えてもいいんだろうか。
それに桜も…俺の想いを聞いた所で、結局は一人になっちまうんだ……。
これから先、ずっと傍にいてやれないのに気持ちを伝えたいなんて…俺の我が儘じゃねぇのか?
そんな答えのでない問いが一の頭の中をループし続け、一は完全に身動きがとれなくなってしまっていた。
だが時間は無情にも過ぎ去り、一の残り少ない命もまた、すり減り続けていた。
「らしくないね、一。やりたいようにやりなよ。でも次は…渡さないからね?」
「…―!?」
その瞬間、耳に聞こえた懐かしい声に一は飛び起きた。
「総…助…?総助なのか!?おい!!どこだよ!?」
一は辺りを見回しながら必死で問いかけた。
だが、そこに総助の姿はなく、返事が返って来ることもなかった。
「総助…。」
姿は見えなかったが、あれは間違いなく総助の声だった。
そしてその言葉を思い出して、一は少し笑って言った
「幽霊になっても…お前は俺のライバルに違いねぇ…か……。」
空耳かもしれない。
ましてや自分の思い込みだったのかもしれない。
でもあれは…間違いなく総助の声だった。
それは人生の大半を総助と過ごしてきた、一だからこそ分かることだった。
そしてその一言は、一の心にひっかかっていた重い枷を外していった。
「今も次も…渡しゃしねえぞ…総助!!!」
俺は桜が好きだ。
あの笑顔も、髪も声も、誰にも渡したくない。
こんな想い……伝えられないまま死ねるか!!!!!!
そして一は拳をギュッと握りしめ、襖に手をかけた。