第二十四話 二番目の人間
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杉松山(スギ ショウザン)は尊皇武力革命の思想を持っていた思想家で
幾度もその過激すぎる思想と発言から投獄されるような男だった。
だが人の才を見出だし、その才を伸ばすことが上手く、教え子からは絶大な信頼を得ていた。
ー…ギイ
「杉先生、好き嫌いハッキリしてるから嫌われないように頑張ってね、一。」
「俺が人に嫌われないようにへつらえると思ってんのか?」
「…無理だよね、まあいいやとにかく入って。杉先生!!連れてきました。」
「やあ総助、いらっしゃい。」
私塾の奥には色の白い線の細い男性が立っていた。
男性は一の姿を見つけると、ニッと嬉しそうに笑った。
「…あなたが高砂一ですか。私は杉松山。宜しくお願いしますね。」
![image](http://id54.fm-p.jp/data/369/ruru04251117/pri/358.jpg)
「どうも。」
総助の心配をよそに、杉は私塾に来た一を一目見て気に入ったようだった。
そして私塾で郡を抜いた才能だった総助のライバルにするのに匹敵だと、この時既に見抜いていた。
(面白そうな子がまた増えましたね…。)
それから一と総助は杉の元、対外思想や剣術を叩き込まれた。
それは藩校で習うものとは全く違う、日本の将来を見据えた教えばかりで一はみるみるうちにのめり込んでいった。
そして一と総助は切磋琢磨するうちに、二人は杉の私塾の双璧と呼ばれるまでになったのだった。
「一、総助、ちょっといいですか?」
「はい。なんでしょう?一!!早く来てっ!!」
「はいはいはいはい…。」
.......................
「私はこれから京へ向かいます。」
「京へ…?何をしに…?」
「幕府の要人達が私の話を聞いてくれる機会を持ってくれたんです。話せばきっと私の思想を理解してくれるはずです…!!」
突然の報告をにこやかに笑いながら話す杉をよそに、一と総助は慌てた様子で杉を止めた。
「先生…お言葉ですがそれは…!!!」
「騙されてるんじゃねぇか?殺されるぞ。」
「はは…そうですか…でも…やってみなくては分からないでしょう?時代を変えるには三つの段階の人間が必要なんです。」
「三つ…?」
「一人目は改革思想を広める者。そしてそれは大抵の場合は奇人として扱われる。」
「……。」
「そして二人目はその改革思想に基づき改革を実行する者。そして三人目は改革された新しい制度を形作る者。」
杉は二人の頭に手を置いてニッコリと笑って言った。
![image](http://id54.fm-p.jp/data/369/ruru04251117/pri/359.jpg)
「私は一つ目の人間として役目を果たします。
貴方達は二つ目の人間として役目を果たし、そして三つ目の人間にそれを託す事。いいですね?」
「先生…。」
二人が頷くと、杉は笑って席を立った。
「それでは私は行くとしますか…。私は貴方達のような優秀な者達に託せて幸せだ。最後に総助…」
「はい…!!」
「私の妹を嫁に貰う話…考えてくれましたか?」
「先生…それは結構です。」
「…総助意外と面食いだからな、諦めろ先生。」
「二人とも…ぶっ殺しますよ…。」
そして三人は笑い合うと、
杉は荷を背負い、単身京へと旅だったのであった。