08.仲間
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ー…パパパパパパパ
ー…ドンドンッッ!!!!!!
「逃げてばっかじゃねぇか!!さっきの威勢はどうしたアハハハハ!!」
銃を撃ち続ける渋沢から逃げ続けていた和泉は、物陰に隠れてタイミングを伺っていた。
(…サブマシンガンにトカレフ…よくまあ物騒なモン持ち込んで来やがったなぁ…でも…)
ー…パパパパパ
(3…2………)
タイミングを計ってカウントした和泉は、そこからコンクリートブロックを組員に向かって数個投げつけた。
ー…ガンッツ ガンッ!!!!
「う…うわ…っ!!!」
突如飛んできたブロックに組員の姿勢が崩れ、銃弾が止んだ所を狙って和泉が後ろに回り込んだ。
「な…!!?」
「捕まえたぞ、コラ。」
ー…パパパパパパパ
後ろ手に組員の銃を持つ手を掴むと、そのままマシンガンを渋沢の足元に向けて乱射した。
「覚えとくんだなあ…サブマシンガンの弱点はどんだけ慣れた奴でも一度引き金を引くと弾の1/3は消費する…さて今で三回目……。」
ー…カランッ
「空だ。」
「…くっ…!!」
そうして和泉は男を盾にしたまま他の組員に近づくと、盾にした男ごと蹴り飛ばし、
倒れた組員二人から拳銃を二丁奪うと、一つは弾を取出し床にばら撒き、一つを懐に入れた。
「…はい三個目~。」
「…て…めえ…なめんなよクソガキがああああ!!!!!」
ー…ガッ!!!!!バキイッツ!!!!!
ー…ドスッツ!!!!!!
「つ…強え…!!!!!」
次々と襲いかかる組員を鮮やかともいえる手さばきで制圧した和泉は、静かに奥に立った渋沢に銃口を向けた。
「いいか…平和ボケした国で非武装の人間相手にたまに銃を使ってたお前らと違ってなあ…こちとら殺す気満々の奴ら相手に毎日死線くぐり抜けてきたんだよ…。」
「…。」
「俺が虎から飼い猫になろうと…お前達がドブネズミな以上、何も変わらねえんだよ!!!!!!」
「………調子に乗るなよ…。」
ー…バン…バンッ!!!!!
渋沢の放った弾丸を間一髪避けた和泉は、その勢いのまま渋沢に殴り掛かった。
だが次の瞬間、予想だにしなかったものが視界に飛び込み和泉は思わず動きを止めた。
「…こいつらがどうなってもいいのか?」
「佐奈…ヒナ…!?」
『和泉さん…すみません…!!』
「…。」
銃を突き付けらた佐奈とヒナ。
脅えきった表情の佐奈に、和泉は明らかに動揺を隠せなくなっていた。
「逃げろって言っただろーがよ……。」
『だって…和泉さんだけ置いてなんて逃げられません…!!!』
「………んな事言って人質とられちゃ…世話ねえよバカ佐奈…。」
目いっぱいに涙を浮かべながらも強い決意を持って言った佐奈の顔を見て、こんな状況にも関わらず和泉は少し嬉しそうに笑った。
「形勢逆転だなあ…若。」
「ああ…全くだ…。」
和泉はそう言いながらも必死に頭の中で突破口を探していた。
(人質が二人っていうのがマズったな…。)
佐奈を助けに向かえばヒナが殺される。
ヒナを助けに向かえば佐奈が殺される。
助けたと同時に反撃できる技術がある人間ならまだしも、ヒナと佐奈じゃ無理だろう。
今この状況で…二人を助けるには…?
「…どうすればいいか分かったかい?若…。」
そう言って笑った渋沢を睨みつけながら、和泉は持っていた銃をゆっくり自分の頭に向けた。
「俺が死ねば…二人が助かる。そういう事だな。」
「理解が早くて助かるよ、若。」
『和泉さん!?ダメですっ!!!!!』
必死に訴える佐奈をよそに、和泉はカチャリと拳銃の引き金に手をかけた。
その様子を見ていたヒナが、じっと和泉を見据えて口を開いた
「和泉…お前が生きて佐奈を助けろ。人質が一人ならお前は助け出せるはずだ。」
「…。」
「お前が死んでもこいつが俺達を生かす保証はない、なら俺を殺した方が早い。」
『ヒナさん何バカな事言ってるんですか!??和泉さんもやめて下さいっ!!!!!!』
二人の制止を聞いて和泉はニッと微笑んだ。
ヒナの提案は受け入れられない。
だがきっとこのまま粘れば渋沢は俺をせかすために躊躇なくどちらかを殺さず傷つけ続けるだろう。
渋沢の性格を知っていた和泉は覚悟を決めたように銃の引き金を引いた。
そして次の瞬間、
辺りには乾いた銃声が
虚しく響き渡ったのだった…。
ー…パンッ!!!!!!!!!!