08.仲間
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ー…カチャ
「そんな事しなくても連れてってやるよ、兄ちゃん。」
ドスの効いた声と共に突如現れた男達は、拳銃をまっすぐヒナと佐奈に向けていた。
『ヒ…ヒナさん……。』
「冴嶋組か。」
ヒナの言葉にニッと笑った男は、拳銃を更に近づけヒナのこめかみに当てた。
「南在探偵事務所の朝比奈了だな……おっとパソコンから離れて手を上げて貰おうか、なかなか厄介な奴だと聞いてるんでなぁ。」
「…。」
ヒナは男に言われるがままゆっくりパソコンから手を離しすと、じっと男を睨みつけながら手を上にあげた。
「携帯、パソコン置いて付いて来い。早くしろ。」
『……!!!!』
「…。」
ヒナと佐奈は言われるがまま携帯などを車内に置き、
銃を突き付けられたまま男達に車へと押し込まれていった。
.....................
ー…ダダダダダダダダダダダダ!!!!!
「あああああクソ重てええええええ!!!!!」
一方和泉は冴嶋組の攻撃を間一髪避け、腰を抜かしてしまっていた対象親子を抱えたまま全速力で走って逃げていた。
「あ…あなたは一体…!?」
「そんな事聞いてる余裕があんなら自力で走りやがれこの借金滞納者!!!!!!」
「いたぞ!!!!」
「…チッ!!!!!」
人気のない倉庫街の一角に逃げ込んだ和泉だったが、先回りしていた冴嶋組の下っ端に行く手を阻まれてしまった。
「流石だよ若…一筋縄じゃいかねえか。」
「…ハア…ハア…渋沢…黒幕はてめえか……。」
和泉が睨みつけた先には、渋沢と呼ばれる冴嶋組幹部の男が立っていた。
男は和泉が冴嶋組にいる当時から組長の座を狙っており、幾度となく和泉と衝突していた男だった。
「まさかこんなにも手を焼かされる羽目になるとは…、やっぱりフランスに発つ前のガキのうちに殺しておくべきだったな…。」
「………。」
「お前が戻ったあの日、お前を殺そうとした俺の部下はほとんどお前にやられて捕まって…先月やっと釈放されたのよ…。」
「ハッ…面白いぐらい歯が立たなかったくせに懲りてねえとはなぁ。」
そう言って馬鹿にしたように笑う和泉に、渋沢と組員は各々殺気だった目で手に持った物騒な武器を和泉に向けた。
「あの時はまさか兎が虎になって帰ってきたとは思ってなかったんでな…。だが今回はきっちり虎を狩るつもりで来てやったんだが…」
「…?」
「お前もあの時のような殺気まみれの目はしなくなったなあ…」
「"動物園"で南在に飼い殺されて虎が猫になったかぁ?あははははは!!!!」
「…渋沢…。」
ー…ジャキ
その場に集まった渋沢派の組員が和泉と親子に銃を向けると、和泉は脅える親子の前に立ちふさがった。
「お前が殺したいのは俺でこいつらは関係ねぇだろ…。」
「若……その男は俺んとこへの借金が5000万円に膨らんでてね…もう保険金で払って貰おうと思ってんだよ、そのガキを受取人にしてな。」
「…そういうことか。」
「わ…私が借りたのは500万だけだ…!!そんなに膨らむなんて…!!!」
「あのねえ…ヤミ金に手ぇ出したあんたが悪いんだよ?バカな奴の命なんて保険金にする以外無いの。」
渋沢はそう言うと、ニヤニヤと笑いながら間合いを詰めた。
「南在探偵事務所にも感謝してんだよ、まんまと探し出してくれて…。」
「じゃあこれで依頼完了だな、成功報酬がっぽり取ってやるから覚悟しとけよ。」
和泉の言葉に渋沢と周囲の組員は高笑いを返すと、見下すような目で和泉を睨みつけた。
「アハハハハッ!!!!お前もここで死ぬんだよ、勿論成功報酬なんて受け取れずな。ガキと親父は足だけ撃ち抜いて生け捕りにしろ、殺すなよ。」
「…ひっ!!!!」
渋沢がじわじわと射程圏内に間合いを詰める中、和泉は対象親子に話しかけた。
「おいおっさん、俺を雇え。」
「…はい?」
「冴嶋組との抗争は所長に止められててな…でも依頼となりゃ話は別だ、依頼はこいつらから助ける…でどうだ?安くしとくぜ。」
「それが可能なら…助けてください!!…でも…あなたは一体…?」
男の言葉にニッと笑った和泉はゆっくりと立ち上がり、渋沢と組員をジッと見据えたまま余裕の表情で答えた。
「南在探偵事務所、冴嶋和泉だ。」
「…探偵…?」
「…殺れ!!!!!!」
渋沢の一言で、静まり返っていた倉庫街に一斉に銃弾の音が響き渡った。
対象親子を銃の射程距離の届かないところまで投げ飛ばすと、和泉は銃弾の雨の中へと飛び込んで行った。