06.南在ゴーストバスターズ
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ー…ピーチチチ……
「牛鍋が食いたいいいい!???」
「はい!!最後に…!!」
ニコニコと笑う八十郎に、和泉が呆れたように言った。
「おいおい、前ページで大人しく成仏してろよハチ…読者混乱するわ。」
『結構しつこいですね、ハチさん。』
「87年もここで粘ってて既にしつこいのに。」
「調子に乗るんじゃありませんよ貧乏幽霊。」
「みんなひどいよ~っ!!!いいじゃん!!!紀美ちゃんが牛鍋牛鍋言ってたの思い出して食べたくなっちゃったんだもん!!」
ギャーギャー言い合う八十郎達を見て、孝之助は呆れたように笑うと、
懐から携帯を取出し近くのすき焼店に電話を入れた。
「まったくしょうがねえな~あ、今空いてます?じゃあ……"六名"で、予約お願いします。」
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「「いっただっきまーす!!」」
店に着いた六人は高そうな霜降り牛のすきやきを囲むと、皆お腹がすいていたようで一斉にすき焼きにがっついた。
「うっま!!さっすがおっさんいい店知ってるわ!!だてに歳くってねえな~!!」
「…和泉だけ自腹ね。」
「な…何でだよ!?褒めただけじゃん!!!!」
「…これが現代の牛鍋かぁ~!!美味しそう!!お供えして、お供え!!」
『ふふ…はいどうぞ、ハチさん。』
器にすき焼きをよそって佐奈が手を合わせると、八十郎は嬉しそうにすき焼きを頬張って笑った。
「いや~美味しい!!それにしてもやっぱり佐奈ちゃん、紀美ちゃんにそっくりだ…優しくて可愛い。」
『んなっ…!!ハ…ハチさんそんな褒めても何もでませんよ!!』
「…佐奈は劣化版だろ?」
「…和泉、女の子に何てこと言うの。それを言うなら廉価版でしょ?」
『…二人とも嫌いです…。ヒナさん二人で全部食べちゃいましょう!!!』
「了解。」
「おいおいお前ら恥ずかしいからやめてよ…ここファミレスじゃないんだからさ~…。」
喧嘩をしながらも和気あいあいと家族のような五人。
そんな五人を見ながら、八十郎は一人満足そうな顔で笑った。
(みんな…本当にありがとう…。)
『もう~!!ハチさんあの二人どう思いま……』
『ハチさん…?』
その日、87年の歳月を経て
一途で優しい幽霊は天国へと旅立っていった。
そしてその数週間後、
幽霊騒動の収まったアパートは、取り壊しが決定したのだった…。
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『私、結局何も出来ませんでした…。』
佐奈はもう取り壊されたアパートの跡地を眺め呟いた。
「そんな事無いよ、新聞だって見つけたじゃない。」
『それは…ヒナさんも手伝ってくれたからで…。』
佐奈の隣で同じくアパートの跡地を眺めていた九条は、あの日の事を思い出しながら佐奈に言った。
「初めて会った時の八十郎さんは、祓われすぎて自我も保てないほど荒んでた。でもそれを取り戻せたのは、佐奈さんがいたからだよ。」
『…え?』
「佐奈さんがいなかったら、きっと八十郎さんは紀美子さんには会えないままだった。十分役に立ったじゃない。」
『…そ…そうなんですかね…?少しでもお役に立てたのなら…嬉しいですが…。』
そう言うと佐奈は少し嬉しそうにはにかみ、お供え物のバナナを置いて手を合わせた。
「あ、でも最初のきっかけはよく考えればバナナでしたね!!じゃあバナナと佐奈さんのおかげ、ってことで!」
『……それって私の役立ち度はバナナレベルって事ですか…?九条さん?』
「…さあ、事務所戻りましょうかね…。」
【06.】南在ゴーストバスターズ -END-
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