06.南在ゴーストバスターズ
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あれから事務所に戻った四人は、早速"西園寺紀美子"の調査に取り掛かっていた。
『…とは言ったものの…87年前ってどうやって調べるんですか?』
「ん~…とりあえずこの辺りに住んでるお年寄りに聞き込みかなあ…結構なお金持ちなら知ってる人も多いでしょうし…。」
「しらみつぶしに聞き込みやるしかないですね。」
「よっしゃ、俺早速行ってみるわ。」
『よーし!!私もハチさんの為に頑張ります!!』
事務所に帰ってくるなり皆が真剣な顔で調査を始めた様子を見て、孝之助は何事かと一人驚いていた。
「…何なのお前らそのヤル気…?割のいい依頼でも入ったの…?」
『はい!!幽霊から入りました!!じゃあ聞き込み行って来まーす!!』
「俺も行ってきます。」
「孝之助さん、外出しますね。」
「…はああ?!ちょ…おい佐奈!!ヒナ!!九条っちまで!?ちょ…何だよ………俺にも教えてよー…。」
状況に付いていけていない孝之助を事務所に残し、四人はそれぞれ聞き込み調査へと向かったのだった。
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ー…バサバサバサ
『戻りましたー今日も収穫無しでしたー…疲れた…。』
「俺もだ~…爺さんたちの記憶マジであやふやすぎだわ。」
思ったように収穫が無いまま数日。
四人は早くも調査の壁にぶち当たっていた。
「戦争が間に起こってるってのが厄介なんですよねー…西園寺家ももう今は断絶してるみたいですし…。」
『それに気になるのはハチさんのあの言葉…ですよね。』
「うん…。」
それは調査に行き詰った四人がもう一度詳しく話を聞く為アパートに向かった時の事だった。
「一度だけ外に出たことがある‥?」
「…はい。」
八十郎はそう答えると、少し困ったように笑いながら続けた。
「ここに来た翌日…紀美ちゃんが来てないか外に様子を見に行ったんだ。でも、そしたら表に人だかりが出来てて、大きな事故があったらしいんだ…。」
「事故…?」
「かなりの血痕が道路にあって、人が…死んだらしいんだ……。」
八十郎はそこまで言うと、明らかに動揺した様子で黙り込んだ。
八十郎の言わんとすることは四人にもすぐ伝わり、佐奈はぎゅっと唇を噛み締めた。
「でも…もしかしたらその日僕が外に出ていた間に紀美ちゃんは来てて…僕と入れ違いになったのかもしれないじゃない…?そう思うようになると…もうこの部屋から出られなくなっちゃって……。」
「そう…でしたか。」
「…てかハチはここで死んだのか?」
「多分ずっと一人でここにいて、お腹も減ってたのできっと餓死したんじゃないでしょうか…気が付いたら幽霊で、境目をよく覚えてないんです。バカですよね~…!!」
そう言って自嘲気味に笑う八十郎に、和泉はハアと溜め息をついた。
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ー…ギシ…
『…その時の事故で紀美子さんが亡くなったと考えるのが自然ですよね…。』
「…うん、八十郎さんも信じたくないんだろうけど…入れ違いになってたって、生きているなら紀美子さんもまたアパートに来たはずだし。」
「でもその証拠っていうのが難しいんだよなあ~…。」
「「う~ん…。」」
三人は頭を抱えながら机に突っ伏した。
当時の住民記録は戦争の時に焼失してしまっている。
それに加え住民の記憶もあやふやとあっては、確かな証拠を見つける事すら難しかった。
「どうですか。」
「ヒナ…そっちは何か見つかった?」
部屋から出てきたヒナは九条の問いに首を横に振ると、ソファに腰を下ろし新聞を広げた。
『あ、ヒナさん後で新聞見せてください~!!』
「……今日のかに座はやる気満々で頑張る気になっても、いきなり出鼻をくじかれそう。ラッキーアイテムは鍋…」
『…えっ…何で私が新聞の占い見るって分かったんですか…!?しかもその内容…。』
佐奈が顔を赤らめると、ヒナは少し楽しそうな表情を浮かべ、また新聞に目を落とした。
『……あああっ!!!!!』
「何だよ!!びっくりすんだろうが!!」
突然大声を上げ立ち上がった佐奈は、何かを思いついたように笑った。
『新聞…新聞ですよ!!当時のその地域の新聞を調べれば、もしかしたらその事故の被害者の名前が載ってるかも…!!』
「そうか…枚数あるものだから残ってる可能性も高い。」
「よし、じゃあヒナと佐奈さんは国立図書館に行って、聞き込みと二手に分かれよう。」
『はいっ!!!』
皆は頷き合うと、すぐさま調査に向かった。
蜘蛛の糸を掴むような調査のわずかに見えた光明、
みなはそれをたよりに既にこの世にいない依頼人の為に、足を進めたのだった…。