06.南在ゴーストバスターズ
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『…!?』
突然の幽霊の奇声にうずくまった佐奈が恐る恐る顔を上げると、
目の前にはヒナと和泉、そして九条が佐奈を守るように立ち塞がっていた。
『ヒナさん…和泉さん…それに九条さんまで…何で…!?』
「佐奈さん、大丈夫?」
『は…はい…!!』
「この御札、まだ効果あったみたいで良かった。」
佐奈が顔を上げると九条はホッとしたように笑い、今度は目の前の影に語りかけた。
「無理に消そうなんて思っていませんから…どうか静まって下さいませんか…?」
『く…九条さん…?』
九条の声に反応したかのように影がぼんやりと薄くなっていくと、部屋に充満していた重苦しい空気がだんだんと薄れていった。
『九条さん…幽霊見えるんですか…?その御札は…』
「うん、この御札はお守りに昔から持ってたやつ。孝之助さんからこの依頼聞いて手伝えるかなと思って来たんだけど…。」
「初めて聞いたぞ、そんな話。」
「…そんなのわざわざ教えたりしないよ。それともどこそこに幽霊がいる、とか教えて欲しかった?」
和泉が勢いよく首を横に振ると九条は笑い、また空を見つめながら会話を始めた。
「…幽霊相手に説き伏せるってか…?電波な詐欺師だな…。」
『一体何が…いるんでしょう…?バナナ好きなら…猿?』
「いや日本語喋ってたけど…?」
幽霊を相手に話をする九条を三人が黙って見つめていると、九条が佐奈に手を差し出した。
「佐奈さん、それ借して?」
『え…?あ、バナナ!!はい!!!!』
九条は佐奈からバナナを受け取ると、部屋の真ん中にバナナを置き、手を合わせた。
「昔はバナナ高級品で食べれなかったから、一度食べてみたかったんですって。」
「そうなんだよ、ありがとう!!」
『どういたしまして…ってえ・・・?』
『「で…でたああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」』(本日二度目。)
「…うるさい…。」
またもアパートに和泉と佐奈の絶叫が響き渡ると、
三人の目には今度はハッキリと着物を着た男性の姿が映し出されていた。
『んな…なななななな…?!』
「紀美ちゃん…やっと会えた…ずっと会いたかったよ…!!!」
『…へ?』
.................................................
『…神波八十郎(カンナミ ハチジュウロウ)さん…?』
「はい!!!!」
ひょろっとした着物姿の男はそう明るく返事をすると、幽霊とは思えない明るい笑顔で頭を下げた。
「やべえ…俺霊感ないのに超見えるんだけど。」
『私もです…。』
「…俺も。」
今までどれだけ目を凝らしても見えなかったはずの幽霊という存在が、
不思議なことにその男性の幽霊の姿だけ突如三人にも見えるようになってしまっていた。
「…で、何で脅かしたりしたんですか…?」
「僕もよく分からなくなってたんだ…ここに来る人はいつも無理やり僕を消そうとするから…それで…。」
八十郎はバツが悪そうに俯くと、くるっと佐奈の方に向き直した。
「でもやっと…やっと会えたね…紀美ちゃん…!!」
『…え?私…ですか…?』
ニコニコといとおしそうに自分を見つめる八十郎に、佐奈は戸惑いながら九条を見た。
「何か勘違いしてるみたいですね…私も徐霊なんて出来ませんし……。」
『は…はあ…。』
「しょうがない…いつも通りするしかないですね。」
『いつも通り…?』
「話し合い(という名の脅迫)。」
『…。』(ゴクリ…。)
それから九条は笑顔で幽霊八十郎の前に居直り、
いくつかの質問を重ね、八十郎の事を聞き出し始めたのだった…。