06.南在ゴーストバスターズ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ー…ザッ
『こ…ここですかね…?』
大家に会って話を聞いた三人は、教えられた住所に建っていたアパートの前で車を止めた。
アパートは大正時代に建設された集合住宅の一つで、その外観はどこかノスタルジックな雰囲気さえ漂うものだった。
だが、それは何も知らなかったらの話。
今の佐奈には、いかにも幽霊が出ますと言わんばかりの雰囲気に思えて仕方がなかった。
『あの一番奥の部屋…何か作戦をたてた方がいいんですかね…?』
「作戦てなんだよ、俺霊感ねーし触れないなら対処出来ねーぞ。」
『う~ん…そうですよね~…。』
「……佐奈何それ。」
そう言うと、ヒナは佐奈が重たそうに持っている紙袋に視線を落とした。
『あ、一応幽霊に効きそうなお塩と御供え物のバナナと林檎と化け猫だった時用にお魚とまたたびと…』
「お前はここで料理でも作る気か。」
『じ…数珠とお線香だって持ってきましたよ!!』
「墓参り…?」
『…二人ともそんなこと言うなら貸しませんからね!!』
和泉とヒナに冗談半分につっこまれ、佐奈はふてくされながら紙袋を抱きかかえた。
結局作戦会議は当然何のアイデアも出ず、
三人はひとまず家に入ってみるという事で依頼された部屋へと足を進める事にした。
ー…ギシ…ギシ…
(う……近づくとますます不気味……。)
歩く度に嫌な音を立てる階段。佐奈と和泉は先頭のヒナにぴったりくっついて歩いていた。
『ゆ…床抜けそう…そして腰も抜けそうです…。』
「ははは!!佐奈お前ビビリすぎだろ!!」
『和泉さんだってヒナさんの後ろに隠れてるじゃないですか!!』
(それに比べてヒナさん…頼もしい…!!かっこいい……!!!!!)
「服伸びる…。」
そうして三人がやっとの思いで辿り着いた一番奥の部屋は昼だというのに薄暗く、玄関の扉には数種類の御札が貼られていた。
「おいおい…早速御札って…マジかよ。」
『やっぱ止めません?だってこれきっとダメなやつですって!!』
「…。」
おどろおどろしい雰囲気に佐奈と和泉が圧倒されていると、ヒナが躊躇うことなく部屋のドアを開けた。
あまりの恐怖に扉から距離をとった佐奈と和泉は、扉の前で何の反応も示さないヒナに恐る恐る尋ねた。
「…どうだ?何かいるか?」
「別に…普通の部屋…。」
『………?』
そう言ってヒナが部屋の内部を一回り見て回ったが、特に何が起きるともない普通の和室だった。
その様子を見た佐奈と和泉は、少し安心したかのようにヒナに続いて部屋に入った。
だが、その時だった。
「ふざけんなよ~ったく脅かしやがっ…て?」
『え…?ええ…!??』
ー…ガタガタガタガタガタガタガタ…ア…アア
「……?」
部屋中に大きく聞こえ始めた足音のような音と、かすかに聞こえる声のような音。
突如起こり始めた怪奇現象に和泉と佐奈が立ちすくんでいると、
玄関のドアが勢いよく閉まり、三人の眼前には黒い靄のような影が立ちふさがっていた。
「『でっ…たああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!』」
佐奈と和泉はアパート中に響いたであろう大声で叫び、ヒナにがっちりと抱き着いた。
眼前の影は次第に大きな塊となり、まるで人間のようにひとりでに動き始めた。
『あ…あ…これ……!????』
「おわああああああ何だこれーーーーー!!!!」
「…二人とも重い…。」
ー…ア…ア…オマエラモ…アアアアアアアア
『ぎいゃあああああああああああ!????』
今度ははっきりと聞こえた声と、次第に近づく影。
信じられない現象に完全にパニックになった佐奈は、紙袋の中から偶然手にしたバナナを取り出した。
『こ…これで…お静まり下さいいいいい!!!!私…食べても美味しくありませんから…!!!』
ー…ピタ…
『…へ?』
ー…バナナ…
((くいついた!!!!!!!?????))
佐奈がバナナを差し出した瞬間。
近づいてきていた影がピタッと止まり、全員の耳にはっきりとバナナにくいついた幽霊の声が聞こえた。
「バ…バナナにくいついたぞ…こいつ…。」
「佐奈…欲しそうだしあげたら…?」
『あ…は…はいっ!!』
ヒナに促され、佐奈は持っていたバナナを恐る恐る影の前に差し出した。
すると、またもはっきりと幽霊の声が聞こえ、佐奈は思わず影の方に顔を上げた。
ー…キミ…チャ………
『…へ?』
ー…グワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!
『き…きゃああああああああああ!!!!!!』