06.南在ゴーストバスターズ
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ー…パチパチパチパチパチ
あるうららかな午後、
九条のみが仕事に向かい、事務所に残った3人が暇を潰すように各々のんびりと過ごしていた頃
孝之助は鬼気迫る表現で電卓をはじき続けていた。
ー…バチッ!!!!!!
「無理!!」
「『へ?』」
はじいていた電卓を勢いよく置き突っ伏した孝之助は、突如目の色を変えて立ち上がった。
その様子はただならぬ気配を感じさせ、呑気にクッキーをつまんでいた佐奈も思わず孝之助を見上げた。
「重大発表です…南在探偵事務所はかつてない恐慌に見舞われている模様です。」
『…と、申しますと…?』
「今月の売上少なすぎてこのままじゃ来月給料出せないや☆」
「『…えええええええええええええええ!!!!????』」
「困る!!来月は新作の欲しいゲームが山程ある!!」
『わ…私は生活に困ります!!!』
「…。」
突然の事実に驚く三人に、孝之助はふてくされたようにむくれた。
「あのね~、俺が一番困ってるっつーの。というかだいたいそんな中貴重な依頼人をキレさせて依頼取れなかったバカは誰かねえええ和泉君!!!!!」
「んなはははははははは!!」
「笑って誤魔化すんじゃねえ!!!」
ゲームをしながら爆笑する和泉を小突くと、孝之助はデスクに戻り三人の前に一つの依頼書と思われる書類を並べた。
「今月マトモな報酬が期待できるのは今九条っちが受けてる依頼だけだ。それで暇な君らに仕事を取ってきてあげました。」
『何だ…仕事あるんじゃないんですか!!』
ホッと安堵した様子で依頼書を手に取った佐奈は、依頼内容を見て思わず言葉を失い青ざめた。
『こ…これは…うちの管轄ですかね…?』
「佐奈ちゃん、仕事選り好みしてる場合じゃないって…お分かり?」
「で、何なんだよその仕事って…」
和泉が引きつる笑顔の佐奈から依頼書を取り上げると、孝之助はニコッと笑って答えた。
「築87年のアパートのお化け退治、頑張ってね☆」
「はあああああああああ!????」
「…。」
不満の声を上げる和泉と涙目で固まる佐奈の隣で、ヒナはいつもと変わらず無表情で依頼書に目を通していた。
パラパラと依頼書を読み終え特に怖がる様子もないヒナに、佐奈は脅えた様子で尋ねた。
『ヒナさん…怖くないんですか…?』
「…別に。」
「ヒナ自身幽霊みてぇだもんな。」
「…。」
ー…ググググ
「あああああすみません俺が悪うございましたPSP二等分にしないでええええ!!!!」
わたわたと騒ぐ二人をよそに、佐奈はもう一度依頼書の一部始終に目を通し、改めてゴクリと唾を飲み込んだ。
依頼内容は大正時代に建てられたアパートの一室に出ると言われるお化け問題の解決。
依頼人はそこの大家で、何度も霊媒師、坊主、神主と来てもらったが状況が悪化する一方だということだった。
『化け猫のような叫び声や人影がひとりでに夜な夜な動く事例…!???』
「…うさんくせー。」
幸いにもこれまでその類のものに遭遇したことも見えたことも無い佐奈は、怖がりながらも半信半疑な様子で孝之助に尋ねた。
『でも解決なんて…そもそもどうやればいいんですか…?』
「そうそう、金ねえからってそんなの無理に決まってんじゃねえか!!」
ブツブツと文句を言う面々に、孝之助はこの上ないドヤ顔で解決策を提案した。
「何かほら、映画のゴーストバスターズみたいに掃除機で吸い取ればいいんじゃね?」
「…。」
「…。」
『…。』
(このクソジジイ…。)
全員の脳内が一致し孝之助を一瞥すると、三人はしぶしぶ準備を始めた。
そして依頼書に記載された、例の"幽霊アパート"へと向かったのだった…。
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