04.寝癖と女心
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ー…パタン…
ヒナと佐奈が玄関の近くで様子を伺っていると、対象者の女の子と男はホテルのロビーで部屋を選びパネルのボタンを押した。
「隣の部屋に入る、部屋確認して。」
『は…はいっ!!』
佐奈は二人が押したパネルの部屋を遠目から確認し、ホテルの案内図と照らし合わせた。
そして二人の姿が見えなくなると、ヒナと佐奈はロビーのパネルの前に向かった。
『さっきの部屋が306…隣は…305だけ…305清掃中で空いてないです…。』
ホテルの部屋の空き状況は部屋の写真に点いた空室満室のランプで判断するようになっており、対象者の隣の305は清掃中のランプが点灯していた。
『どうしますか…?出直します?』
「…。」
ヒナと佐奈がパネルの前で立ちすくんでいると、廊下の奥から清掃員と思われるおばさんが現れた。
「あの、305号室空きませんか?」
『ヒっ…ヒナさん!?』
おもむろに尋ねたヒナに、清掃員のおばさんは少しニヤニヤした笑顔で答えた。
「305?ああ、あの手錠やら檻やらついてる部屋だね。もうすぐ空くけど他の部屋なら今すぐ入れるよ?」
「いや、その部屋がいいんです、早くしてください。」
(ヒ~ナ~さあああああああああああああああん!!!!!)
ためらいもなくSM部屋がいいと答えたヒナに、佐奈は一人恥ずかしさに顔から火が出そうだった。
「あはは!!まあお兄さんちょっと我慢して、すぐ空けてあげるから。」
「そんな待てませんから本当に急いで下さい。」
(もうホント黙って下さいヒナさんんんんんん!!!!!!!!!!!!)
ヒナが仕事の為に必死になっているのは分かっているが、傍から見ればただのSМプレイがどうしてもヤリたいだけのカップルだった。
ヒナが言う言葉が笑えるほど裏目に出ており、佐奈は恥ずかしさに顔をおさえた。
「何…?」
『真っ当な女子の反応です…。』
.............................................
ー…バタン
305室に入るとヒナはすぐさま鞄から盗聴する為の機材を取出し壁に張り付け、パソコンを立ち上げた。
『それは…?』
「集音機、隣の会話を聞く。佐奈は孝之助さんに電話して。」
そう言うと、ヒナは耳にイヤホンを付け隣の声に耳を傾け、佐奈は孝之助に電話を繋げた。
『孝之助さん、ヒナさんに代わります。』
「…おうヒナ、どうだ?」
「孝之助さん、やっぱり対象と一緒にいた男は例のブローカーです。ホテルに今入っていますが出てくるまで調査続行した方がいいですか?」
「そうだな、証拠映像が撮れればもっといいんだが…カメラ侵入できないか?」
「ここの防犯カメラ、ネット繋がってないんで無理です。音声なら録音続けられますが。」
「んじゃあ悪いがそのまま続行してくれ、頼んだぞ。あ、佐奈に代わってくれ。」
ヒナは分かりましたと返すと、佐奈に携帯を手渡した。
「はい、橘です。」
『突然ホテル入ることになって悪かったな、まあ一番安全そうなヒナ選んでやったから安心しろ!!じゃあ頑張れよ!!』
「…えっ!?こ…孝之助さん!???」
ー…プツッ…ツー…ツー…
唐突に切られた電話を腑に落ちない様子でしまう佐奈は、恐る恐るヒナに尋ねた。
『こ…これからどうするんですか…?』
「このまま対象がホテル出るまでここで調査続行。」
『へ…?それってここに泊まる・・・って事ですか!?』
「対象が泊まれば。」
『………!!!!!』(ゴクリ…。)
言葉を失う佐奈の目線の先には数々のSMプレイで使うのであろう拘束具が置かれていた。
それを見ながら佐奈の頭の中では先程の孝之助の言葉が頭の中をぐるぐる回っていた。
”"一番安全そうなヒナ"選んでやったから”
「…そんなに不安なら"これ"で俺繋いでおけば。」
『そ…そんな事思ってませんから!!』
(そうよ仕事!!仕事だもん、何もあるわけないよ!!!!)
佐奈は赤くなる自分の顔をぺしっと叩き気合いを入れると、一人気を引き締め直した。