Re:5 魚と最後の夏休み
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『本っっ当に……ごめんなさい…!!』
「……もういいですって、別に。」
『まさか魚が苦手とは露知らず…誠に申し訳なく…』
事務所に戻るやいなや九条に平謝りを繰り返していた佐奈。
そんな佐奈を前に九条は少しバツが悪そうに髪をかきあげると、佐奈の頭にポンと手を置いた。
「勘違いしたのは私ですし、言ってなかった私が悪いのでもう気にしないで下さい。」
『九条さん…』
「それに佐奈さんの言う通り…交流も、してみるものだとも思えましたから。」
『それは……小春さんと…?それとも魚と…?』
「さあ、どっちでしょう。」
そう言ってクスクスと相変わらず食えない笑顔を見せる九条に、
頭を上げた佐奈は、不思議そうに九条に尋ねた。
『それにしても…何で九条さんは魚を見るのが苦手なんですか?食べるのは平気なのに。』
「……。」
『すっ…すみません出過ぎたことをお聞きしました忘れて下さい…。』
興味本位でした質問を佐奈が慌てて取り下げていると、九条は顔をしかめながらポツリと言った。
「…落ちたんです、小さい頃に。」
『落ちた?』
「鯉が数百匹はいる、神社の池に。」

『…………プッ…。』
「今笑いましたね、この口が笑いましたね。」
『ちっ…違…ククククク……』
「落として沈めてやりましょうか、鯉の群がる池に。」

必死に肩を震わせて笑いをこらえる佐奈の頬を、九条はこれでもかと言わんばかりにギリギリと引っ張った。
そんな九条からやっとの思いで抜け出した佐奈は、頬をさすりながら机の上に置いてあったあるものに目を向けた。
『…あれ、この水族館の券また和泉さんが持ってきたんですか?』
「ああ…それは…。」
『これも捨てておいた方がいいですか?』
水族館のチケットをひらひらとさせながら言う佐奈に、九条は少し穏やかな顔を見せて言った。
「いや…それは置いておいて下さい。」

『?』
「…あそこの大水槽にでも落ちれば、佐奈さんも私の気持ちが少しは理解できるでしょう?」
『く…九条さん!?冗談ですよね!?ね!??』
「さあ、どうでしょう。」
その後、コウノスケフィッシュ(仮)は強い顎の力を持つ、外来種の珍しい魚であったことが判明した。
あれ以上普通の水槽で飼い続けていればエサをやる際に手を食いちぎられる可能性もあったと聞き、九条が背筋を凍らせたのは言うまでもなかった。
こうして訪れた楽しい夏の終わり。
ただそれとは裏腹に、佐奈の心はもうすぐ訪れるヒナの不在を前に、
一人、ただただ不安と寂しさを募らせていたのだった…。
【Re5: 】魚と最後の夏休み -END-
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