Re:4 二人の距離
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ー…ガサガサッ…
「と…虎ちゃん!!」
「……琴子…さん…。」
孝之助が気を利かせて去ってくれたのに気づいた琴子は、この機を逃すまいと思い切って高虎の前に姿を現した。
緊張で手が震えてしまっていた琴子とは対照的に高虎はいつも通りの穏やかな顔を見せると、いつもの通り礼儀正しく頭を下げた。
「今日は来てくださっていたんですね、組長も喜びます。」
「……。」
「…琴子さん…?」
声をかけても俯いたままの琴子に高虎が心配そうに声をかけると、琴子は弾かれたように喋り始めた。
「…虎ちゃん、あのね、私着物の着付け自分で出来るようになったのよ。」
「へ…?」
「それとね、銃だって刀だって使い方教えてもらえば勉強するし、刺青だって入れろというなら…」
「ちょ…ちょっとちょっと!!ど…どうしたんですか…!?」
「虎ちゃんのいない世界に私一人で置いてくなんて、勝手に決めないでよ……!!虎ちゃんのことは私がずっとそばで支えたい!!あんまり役に立たないかもしれないけど…泣きたい時くらいはさ…無理しないで私の前で泣いてよ…!!」
「琴子…さん……」
怒涛の琴子の言葉に初めこそ戸惑っていた高虎だったが、
真剣な琴子の瞳と震えるほどに握られたその手に、高虎は全てを悟ったようにそれらすべてを優しくぎゅっと抱き締めた。
「着物じゃなくてもいいです、好きな服を着て下さい。銃や刀なんて持たなくていいです、俺が絶対に…守りますから。」
「虎ちゃん…」
「若ほど強いとはいきませんが…それでも本当に…俺でいいんですか…?」
「………うん…!!」
琴子が泣きながらそう頷くと、高虎も琴子の肩に顔をうずめ、小さな消え入りそうな声で"ありがとうございます"と呟いた。
これから一敬の抜けた穴を埋めるという重圧を感じていなかったといえば嘘になる。
高虎はずっと張り詰めていた糸が切れたように、琴子に身を委ねた。
「…だいたい琴子さんさっきの刺青やら銃やらって何なんですか…」
「え!?だから極妻のDVD借りて事前に勉強したんじゃない…!!」
「ははは!!やっぱり。ありませんからね、あれ映画ですからね?」
「ええ!?男のけじめは女が!!じゃないの!?ちょっと早く言いなさいよ!!」
「あはは!!」
「では将来の姐さん、先代に紹介したいので…挨拶しに行ってもいいですか?」
「…もちろん!!任せなさい!!」
そう言うと二人は穏やかに笑い合い、一敬の祭壇へ向かった。
今まで二人の間にあった微妙な距離は、今はもう、どこにも感じられなかった…。
【Re:4】二人の距離 -END-
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