Re:4 二人の距離
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ー…ガッ…!!!!

「……へ?」
「な…なんだ!!?」
最上が琴子の腕を掴んだのと同時に、最上の腕を掴んでいたのは最上の背後にいたはずの男だった。
男は手に力を込め琴子の腕を掴んでいた手を離させると、一人は最上の手を掴み、一人は琴子を守るように琴子の前に立ちふさがった。
「お前達…一体誰だ!?手を離せ!!」
(誰だ…って…この人達最上の手下じゃなかったの……!?)
状況の読めない最上に、男の一人は低くドスの効いた声で最上を脅すように言った。
「"ある方"からの命で我々はこの御方を守っています、これ以上の手出しは…ご遠慮願えますよう。」

「……なっ…刺青…!?」
「……。」
風で顕になった男の顔の半分は、龍の刺青で覆われていた。それに全てを悟った最上は琴子から離れ、歯向かうこと無くすごすごとその場から退散して行った。
琴子はそんな最上を見ながらホッと安堵したように胸を撫で下ろすと、自分を庇ってくれた二人に頭を下げた。
「どこのどなたか存じませんが助かりました…ありがとうございます…!!」
「いえ、私達は命令に従ったまでですので。お気になされませんよう。」
「命令…?命令って誰の…?」
その言葉に琴子は首を傾げながらも、男の極道と思われる風貌と龍の刺青、
そしてそれに似つかわしくない丁寧な物腰に、ある既視感を抱いていた。
「もしかしてあなた達…冴嶋組の人達……?」
「はい、冴嶋組組長の補佐をしております獅子尾と申します。こっちは…」
「そのまた部下の下っ端、亀名っすね!!」
獅子尾の隣の亀名という男は明るい口調で自己紹介すると、ニッコリと笑顔を見せた。
「で、此度の命はとある方からの…」
「…虎ちゃんでしょ?」
「!」
琴子の言葉に獅子尾と亀名は少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに物腰柔らかにニコリと笑い頷いた。
「はい、南在弁護士経由で琴子様の事を聞いた組長から、琴子様に危険が及ぶようであれば護衛をと指示を受けていました。琴子様の仕事に支障をきたすなと事でしたので、お伝えせず秘密裏に行動させて頂いておりました。」
「何それ……前からやってる仕事なんだから危険なんてないに決まってるのに…虎ちゃんたら律儀というか、心配症というか……」
「組長は命の恩人である琴子様が、自分達の為に古傷をえぐるような職場に戻られたと聞いてひどく気にされていました。」
「ま、多少おせっかいに思うかもだけど、なんせあの組長のことだからさ!!」
「あの…虎ちゃんは…今はどこに…?」
「お伝えしても今は面会は叶いません、残念ですが……」
「………。」
そう言って頭を下げる獅子尾を前に、琴子は気付かれないように目から溢れそうになるものをぐっと飲み込んだ。
予想外の高虎の心使いに胸を打たれながらも、琴子は二人に平静を装い笑顔を見せた。
「ありがとう…何だかんだ言ってさっきも助けてもらわなくちゃ危なかったし、感謝してる。でもこれ以上は気を使ってくれなくても私が気をつけるから大丈夫!!虎ちゃんにもそう伝えて?」
「ですが……。」
「あんまり無理しない方がいいんじゃないっすか?」
「はら、ヤクザ付きのホステスなんてお客つかないでしょ?それに今度から帰りはタクシー使うから大丈夫よ!本当に気にしないで?」
「…………分かりました。ですがもし何かありましたらこちらにおかけ下さい、すぐに伺いますので。」
「…分かった!!」
琴子の勢いに言いくるめられた獅子尾はバツが悪そうに携帯番号の書かれた紙を渡すと、深々と頭を下げた。
そして琴子の前から去ろうとした獅子尾達に、琴子は大きな声で言葉をかけた。
「忙しいのに二人共本当にありがとう!!虎ちゃんにもそう伝えて!!」
「はいはーい!!がってん承知っす!!」
「じゃあまたね、獅子ちゃん亀ちゃん!!…って何か動物園みたいになっちゃったわね…。」

「「!」」

そう言って戸惑う琴子に、亀名はアハハと声を上げて笑い、穏やかな表情で二人はその場から去って行った。
「…なんかいい人そうっすね、美人なのに高飛車じゃなくて。さすが虎さんが目をかけてるだけのことはある!!」
「組長には若の大切なご友人と聞いたぞ。それに爪を伸ばしてる女は嫌いだ、風紀を乱す上に家事が出来ないに決まっている。」
「えっ若の!?くわばらくわばら…てか風紀を乱すとか顔面に刺青入れまくってる人に言われたくないと思うっすけど…。」
ー…ブロロロロ…
二人を笑顔で見送った琴子は、二人の姿が見えなくなるとすぐにタクシーを捕まえ急いで車内に乗り込んだ。
車内から見える夜景を眺めていた琴子は、獅子尾からもらった番号の書かれた紙をぎゅっと握りしめていた。
(………虎ちゃんのバカ、私の心配なんてしてないで自分の心配しなさいよ……。)
運転手に気付かれないように顔を俯けた琴子の手と肩は、
誰にも気づかれない程に、小さく震えていた。
ー…プルルルルルル……
「あ、もしもし一華ちゃん?どうなってんだい!!話が違うじゃないか!!るなとヤれるって言うから俺はこうして高いホテルまで予約してたのに全く…!!」
「あ、最上さん?あれえ…ダメだったんですか~?おっかしいなあ~…?」
息巻いて怒る最上の声を、電話口からめんどくさそうに離すと、一華は気にも留めていないように白々しい演技を返した。
「それどころか変な男達が出て来て…あれは間違いなく極道もんだったぞ!!」
「…ヤクザ…るなさんの彼氏がヤクザだったの…?」
「彼氏かは知らんがるなも驚いてたし違うとは思うんだが…って一華どうなってるんだ!!」
「……。」
最上のその言葉に一華はニヤッと笑うと、最上に電話越しに小さな声で言った。
「私に考えがあります、次はこんな作戦で…如何でしょう?」

ー…ガサッ…
「………。」
「…。」
