Re:4 二人の距離
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「るな、今日はこの後空いてるの?イイお酒があるんだけど飲みに行かない?」
「最上さん、私とここで飲むお酒以上のものが本当にあるの?」
「全く…るなには敵わないなぁ…」
ー…バタン…
「おお、るなお疲れ様~この後は最上さんと?」
「行かないわよ、今日もしっかり働いたし帰って寝るわ~。」
「あんだけ粘られてたのによくスルー出来たなあ!!」
驚く店長の言葉に琴子は当然でしょ、と言って得意気に笑って見せた。
「幸せは売っても体は売らないわ、それが私の信条だもの。」
「…それでトップが走れれるんだからなぁ…頭が下がるよ。」
「まあね、じゃあお疲れ様~。」
中学高校とその美貌を武器に好き放題遊びまわり、さんざん家族に迷惑をかけた挙句に勘当された琴子。
東京に出てからは水商売一本でトップに上り詰め、その後自身の運命を大きく覆すこととなる探偵事務所の面々に出会う。
これは探偵事務所の皆に助けられ水商売はもうやらないと誓っていた琴子が、
窮地に陥ったその友人達を助ける為、再びきらびやかな夜の世界で奔走した、あの日のお話。
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ー…バタン…
「それじゃ佐奈、無理すんじゃないわよ?あと所長さんもね!!」
『はい…琴子さんも…お世話かけます。』
「危ねえことはしないでくれよ。」
事務所を出る琴子に佐奈と孝之助は少し申し訳無さそうに頭を下げた。
だがそんな二人に琴子はニコッと笑うと、隣に立っていたオタクの肩を勢い良くバシンと叩いた。
「私達で出来る事は心配しないで、絶対に成功させてみんなを助けましょ、期待してて?そうよねっ?」
「は…はい…痛いです琴子さん…。」
『…ありがとうございます…二人とも…!!』
琴子の言葉に瞳を潤ませた佐奈は、何度も何度も頭を下げて嬉しそうに笑った。
その姿にオタクと琴子も手を振りながらも背筋を伸ばし、気合を入れ直し事務所を後にしたのだった。
ー…ブロロロロ…
「琴子さんタクシー捕まえますか?」
「ああ…うん……」
「?」
事務所を出て大通りに出たオタクがタクシーを止めようと手を上げると、
琴子は言い出しにくそうに口ごもりながらオタクに声をかけた。
「ありがとね、協力してもらっちゃって。」
「・・・・どうしたんですか?怖い…あ、もしかしてこれドッキリとかいうオチですか!?カメラあったりして?」
「無いわよ!!いや、ただ協力してくれて感謝してるってだけよ、あーもう言わなきゃ良かった!!」
「琴子さん…。」
顔を赤くしながらふて腐れる琴子の姿にオタクはフッと笑うと、オタクもまた少し照れたように頭を掻きながら言った。
「南在探偵事務所の皆さんに救われたのは僕も同じです、寧ろ恩返しする機会を貰えて琴子さんには感謝しています…!!」
「……そうね…頑張らなくちゃ。」
「あ、今惚れました?惚れました?」
「地球上に二人になってもあんたなんかに惚れないわよバーカバーカ。」
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ー…ガチャ…
「…よし。」
オタクと別れ店でドレスに身を包んだ琴子は、フウと深呼吸をし久しぶりに触れたロッカーの扉を閉めた。
(…和泉ちゃん……虎ちゃん…きっと大丈夫よね‥?)
瀕死の重傷で捕まったと聞いた和泉、
そしてその和泉を救う為捕まった高虎と、一人で皆を取り戻そうと闘っていた佐奈。
孝之助が戻ったからきっと佐奈や和泉のことは心配いらないはずだ、きっと高虎も無事に帰ってくる。
不安に飲まれそうになるのを振り払うように琴子はそう自分に言い聞かせると、ブンブンと頭を横に振った。
「るな?早速待ってましたと言わんばかりにご指名の山だけど…出れる?」
「はい、もちろん!!」
「いやあにしてもここまでブランクを感じさせないとは驚くねえ…さすがと言ったところか、現トップの一華も形無しだよ。」
「一華?」
「ああ、るなが辞めた後に入った子だから知らないかな?結構すごい勢いで人気になった子でね、今じゃうちのナンバーワンだよ。ま、るなには到底敵わないですがね。」
「またまたー…そんな事言って売り上げきつい時引っ張って来ようって魂胆じゃないでしょうねー。」
「あ、バレた?」
「全くもー。」
「まあどんな心境の変化があったかは知らないがうちとしては本当に助かるよ、いってらっしゃいお姫様!!」
「ふふっ…はいはーい!!」
琴子はそう言って店長の男とふざけたように笑い合うと、先程までの不安な胸の内を強引にしまい込んだ。
そうして準備を整えた琴子は、二年ぶりに夜の世界への扉を再び開いたのであった…。
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