Re:2 和泉、フランスへ行く。
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ー…ピンポーン…ピンポーン…
「…出て来ねえな、そらまあそうか。」
「和泉…本当にここなの…?」
「いけすかん奴だけど、あいつの情報だけは確かなんだなぁ…。」
和泉はそうぶつくさ言いながら玄関の鍵をガチャガチャと動かした。
その手慣れた様子に三人は戸惑いながら和泉を見守っていると、和泉はよしと言って頷いた。
「三人は離れててくれ。この扉破って中に入るから、俺が合図したら中からエマを助けだしてくれ。」
「待って和泉私達も一緒に行くわ、その方が……!!」
「もしさ…」
「……え?」
「もしエマが自分の意志でここに立てこもってるとかなら、俺の独断ってことにしてくれ。それならなんの問題もねえし、そんで母さんたちはその後エマとナタンの気持ち…もっとちゃんと聞いてやってくれな。」
「…え…?」
「………イズミ…。」
和泉はそう言って頷くと、本日二枚目となる扉を破るため腰を落とし勢い良く拳を振り下ろした。
ー…バキイッッッ!!!!!!!!!!
「なっ…何だ…!?」
「エマ!!無事か!?」
「……!!」
和泉がドアを蹴破り中に入ると、そこには粘着テープで拘束されたエマの姿があった。
男は和泉の侵入に驚き慌てながらも、すぐさま傍らに置いてあったナイフを怯えるエマに突きつけた。
「彼女は僕のものなんだ、何しようと僕の勝手だ……消えろ…消えろ…!!」
「たっ…助けて…!!」
助けに現れた和泉の姿に一瞬安堵の表情を浮かべたエマだったが、首元に突きつけられたナイフに声も出ず、
ゆっくりと間合いを詰め始めた和泉を必死に助けを懇願した瞳で見つめた。
ー…コツ…コツ…
「エマを離せ。」
「くっ…来るなっ…!!」
男はそう言うと、もう片方の手に隠し持っていた銃を和泉に向けて発砲した。
飛び出した銃弾を避けた和泉だったが、その頬には銃弾がかすった傷が出来ており、一筋の血が流れた。
「…いってーな…人が下手に出てりゃ調子に乗りやがってこのロリコン野郎。」
「お…お前には関係ない…!!」
「関係ない…?俺はこいつの兄貴だ、関係ねえことがあるかボケがああああ!!」
「………!!!!!!」
「う…うわあああああああ!!!!」
ー…バキイイイイッッッ!!!!!!!!
その瞬間、和泉はナイフごと男を思いっきり殴り飛ばし、男はその場に気を失い倒れた。
和泉は後ろで目を丸くしていた三人にエマの救出を頼むと、男を動けないようにしっかりと拘束した。
「エマ!!エマ……!!!!」
「お母さんお父さん…ナタン…」
「良かった姉ちゃん…!!無事で良かった…!!」
「みんな…ひっく…ごめん…なさい……うわああああん…!!!!」
エマは飛び込んできた家族にしっかりと抱きしめられると、こらえていた涙を零して泣きじゃくった。
その光景を見た和泉は、一家の傍らで安堵したようにフッと笑った。
「エマ、警察呼ぶぞ、いいな?」
「………うん。」
和泉の言葉にエマはコクリと頷き、数分後、現場に到着した警察に男は連行されていった。
男は過去にも児童買春や薬物使用などの犯歴のある常習犯で、初めからそのつもりでエマに近づいたらしいという事が後で分かった。
「……あの、イズミ…。」
「ん?」
やっと男から開放され、未だ震えが止まらない様子のエマは、恐る恐る和泉のもとに近づいた。
無言で自分の服の裾を握るエマを見て和泉が首を傾げると、エマは聞き取れるか聞き取れないかのか細い声で和泉に言った。
「あの…ひどい態度とってごめんなさい…。」
「んなこと気にすんな、それより無事で良かった!!」
「ありがとう…お…お兄ちゃん……。」
「なははは!!それは何か照れるな!!和泉でいーよ。」
そう言ってあっけらかんと明るく笑う和泉に、エマも頬をゆるめ笑顔を見せた。
かくしてエマを無事奪還できた和泉達一同は、安堵の表情で家に戻ることとなった。
そうしてそこで和泉は初めて、
二人が自分に向けていた必要以上の嫌悪の理由を知ることとなったのだった…。