Re:1 最恐の新入社員
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ー…プルルルル…
「おらそこの新入社員!!お前もうちに入ったなら突っ立ってねえで手伝え!!」
「…。」
「…ってシカトかよ!!!!」
そう言って和泉が進一郎に声をかけると、少しの間を置いて進一郎は和泉の方を振り返った。
「それは無理な相談だ、なぜならたった今天下り先が決まり私はここを辞職することにしたからだ。」
「はあああああ?!てめえふざけろ徹夜回避したいだけだろ!!」
「ふざけてなどいない、南在家の人間に似合いの大企業役員の椅子だ。問題は無い。」
キョトンと呆気にとられる皆の視線を尻目に、進一郎は取り出した退職願を孝之助に差し出した。
「知りたかったことは理解した、世話になったな。」
「はあ…一体何を調べてたんだか、怖えよ。」
「お前とこいつらに対する見識を若干改めることにした、とだけ言っておこう。」
「……?」
「…せいぜい俺のような人生を送らないようにするんだな、孝之助。」
「……!!」
進一郎は小さな声でそう言って踵を返すと、自分の荷物をまとめて颯爽と出口に向かった。
そんな進一郎を追いかけるように佐奈は駆け寄ると、勢い良くペコリと頭を下げた。
『進一郎さんまた…遊びに来て下さいね!!』
「……なぜだ。」
『それは…たった数日でしたけど、南在探偵事務所の"後輩"だったからです!!』
「………。」
そう言ってニコニコと笑顔を向ける佐奈に、進一郎は根負けしたようで少し頬をゆるめフッと笑うと、
考えておこうと一言だけ返して事務所を後にした。
『……。』
「おーい佐奈!!さっさとこの資料まとめろ!!お前んとこでつっかえてんぞこれ!!」
『げっ!!はいっっ!!』
...............................................................
ー…ブロロロ…
(この歳であんな小娘に"後輩"と呼ばれる日が来るとはな…)
事務所を後にした進一郎は、お抱えの運転手が走らせる車の中でこの数日のことを思い返していた。
本来なら自分が踏み入れるはずのない場所、時間ではあったが、不思議と嫌な気はしなかった。
(確かにあの小娘は未熟ではあるがいい人材だな、まあ…もう二度と会うことも無いだろうが…)
ー……キキイイイイッツ!!!!
「……どうした。」
「も…申し訳ございません…!!急に猫が飛び出しまして…お怪我はございませんか!?」
「猫……?」
運転手の言葉に進一郎はふと何かを思い出したように車から下りてフロントに回ると、そこには小さな白い猫がビクビクと震えていた。
不安げな運転手をよそに進一郎はハアとため息をつくと、怯えた様子の子猫に近づいた。
「……ココア…?」
「…ニャア…!!」
「…………。」
「な…南在様…?」
「叙々苑の焼肉弁当を5つ、すぐに手配するように伝えろ。」
「…へ?は…はい、只今…!!」
ー…ピンポーン…
『はいはーい、少々お待ちくださーい!!』
【Re:1】最恐の新入社員 -END-
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