Re:1 最恐の新入社員
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「素晴らしい、これからも精進なさい。」
そう言って父と母は完璧な数字の並んだ通知表を返した。
いつも決まりきった言葉、決まりきった笑顔、そしてこれもまた決まりきった、それに続く苦い顔。
「またあなたは…」
「……。」
「こいつはもうどうやったって向上しないと思います、何をとっても俺に勝つどころか差を離されるばかりの落ちこぼれだ。」
「…はは…。」
両親のあきれ果てたような顔に隣に座る落ちこぼれは反射的に笑顔を作り、ごまかすように笑った。
落ちこぼれたコイツに期待の目を向けるものなど一人もいなかった、そう、ただ一人をのぞいては…。
「まあまあ、そのへんにしておきなさい。」
「お義父様…」
「………。」
突然現れた齢80を超える祖父は、険悪な雰囲気を打ち砕くように涙目で笑う落ちこぼれの頭をなでた。
祖父はニッと笑って俺を見据えると、まっすぐと俺に向かって尋ねた。
「お前にはなくてこいつが持っているもの、お前には分かるか?」
「…!?」
「…それが分からんようじゃお前もまだまだだな。」
今も耳に残る言葉と記憶。
あれから40年、俺はまだその答えに辿り着けずにいた。
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