31.リバースヒーロー
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それから、佐奈は孝之助にすべての出来事を話した。
和泉が高虎の銃を奪い単身敵陣に突っ込み今も意識不明なこと、
九条が裏で手を回し、瀬尾の財源を全て絶っていたこと、
そしてヒナが既にバベルのワクチンを開発しており、命を懸けてバベルの拡散を防いだこと。
孝之助は瞬時に状況を把握し、知っていたこともあったのか、特に驚くこともなく佐奈の言葉に頷き続けていた。
「なるほどな、それであいつらが連れてかれて、警察が真実を話さないからあいつらに濡れ衣がかかっていると…」
『はい…。』
「…進一郎だな。」
『……はい…あの、そういえばこの間進一郎さんが…』
兄の存在を口にした孝之助の顔は、ほんの少しではあるが曇っていた。
だが佐奈から進一郎が発した言葉を告げられると、少し驚き考え込んだ後にうんと頷いて見せた。
『孝之助さん…?』
「…分かった、とりあえず四人の弁護は俺に任せろ。ただ…」
『ただ?』
「この報道関係者と世の中の考えを味方に付けたいなぁ…ただでさえあいつらは過去の犯歴が足を引っ張るからなー…。」
『じゃあ、じゃあ私が皆に伝えます…本当のこと、伝えて回ります…!!』
「当事者の俺らが声を上げても誰も聞く耳持っちゃくれないのよ。」
『……!!』

佐奈はその孝之助の言葉に昨日の報道陣とのやりとりを思い出した。
どれだけ皆の誤解を解こうと必死に語りかけても、返って来た言葉は"どうせ嘘でしょ?"という意識を前提にした言葉ばかりだった。
「マスコミ、世論を味方に付けられれば流れは一気に変わる。そこで事実を隠蔽し続けた警察、黒幕の佐橋ごと叩けりゃこっちの勝ちだ。」
『でも…そんなの一体どうすれば……』
世論を動かそうという途方も無い計画。
どうすればいいものかと佐奈が頭を抱えていると、何やら一階からザワザワと音が聞こえ、それと同時に事務所の扉が勢い良く開いた。
ー…ガチャ…!!!
『「…!!」』
「それなら私達にやらせて、佐奈。」

『こっ…琴子さんにオタクさん…それにその格好……!?』
頭を抱える佐奈と孝之助の目の前に現れたのは、オタクと昔のように着飾った琴子だった。
琴子は巻いた髪と綺羅びやかな服装に装飾品を身にまとった姿で、二人に向かってニコッと笑った。
「私のお客様には政界の人間、社長、事業主からホストまで、影響力のある人が多かった。私がもう一度お店に戻ってこの話を流してもらうよう工作すれば、効率よく広まるんじゃないかしら。」

「僕もこう見えて結構各紙に信頼があります!!なんとか事実を世間に公表できるよう働きかけてみます。それにネットを介せば拡散も早いはずです、まかせて下さい!!」

『でも…琴子さん…もうホステスはやりたくなかったんじゃ…』
「あら、それはそこの所長さんも同じでしょ?それにこんな"姫川るな"の名前が事務所の皆や虎ちゃんの為になるなら、いくらだって使ってやるわよ。」
突然現れた予想外で頼もしい助っ人に、佐奈と孝之助は驚きながらも思わず顔をほころばせた。
『琴子さん…オタクさん…!!』
「ありがとうな二人共……。」
「いーの、所長さんの快気祝いに頑張ってあげるからその代わり、所長さんは絶対に皆を取り返してよ!!」
「おう、任せとけ…!!」
「じゃあ僕は…成功しましたら是非とも琴子さんと佐奈さんにメイド服を着て撮影させて頂ければ…」
『オ~タ~ク~さ~ん~…!!』
「何?そんなことでいいの?じゃあ佐奈と2ショットでメイド服撮らせてあげるからしっかりやりなさいよ!!」
『こっここここ琴子さんんん!?』
「はいっ!!太田久一郎、この命に変えても任務遂行させて頂きまーーーっす!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「どうでもいいけど和泉にばれないようにやりなよ~…オタク君なんて数秒で落とされちゃうよ。」

「アハハ!!全くだわ~」
『……はは…。』
それから琴子とオタクは早速行動を開始した。
琴子は姫川るなの復活イベントに集まった数多くの有権者を上手く手駒に取り情報を伝え、
オタクは名のある週刊誌や新聞社に、警察が隠蔽した事実を載せてくれるよう伝え回ったのだった。
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ー…ガヤガヤガヤ
「るなちゃん~会いたかったよお~!!全くおじさんを待たせて~!!」
「ごめんね、田舎の母が病気で…手伝いに行ってたの…。」
「そうかそうか…!!るなはやっぱりいい子だな…よし、おじさん何でも言うこと聞いちゃうよ!!」
「え~!!ありがとう…!!"何でも"いいの…?」
ー…ドサッ
「疲れた…」
「るなお疲れ様、戻って来てくれて助かるよ~!!今月売上やばかったからさ~」
「もう、今月だけだからね~!!」
嬉しそうに琴子をねぎらう黒服に琴子はそう言うと、仕事終わりで疲れきっているというのに嬉しそうな笑顔を見せた。
「なんかるな、変わったな。」
「ええ、そう?」
「なんか幸せそうに仕事するようになったっつうか、雰囲気が柔らかくなった?」
黒服の男の言葉に琴子はそうかなと首を傾げながらも、クスっと嬉しそうに微笑んだ。
「今は……私の仕事が大切な人の役に立つって思えるからかな…。」

「るな…貢いでる…?」
「違うわよバーカバーカ。」
それから間もなく、二人の迅速な行動力とその的確な仕事に状況は変わり始めた。
敵意を露わにしていた報道陣は次第に南在探偵事務所の前から姿を消し、警視庁の前へと場所を移していったのだ。
そして数週間後、オタクの悲願でもあり裏の権力を恐れて出回ることのなかった"バベル"の文字が
ついに、紙面を飾ったのだった…。
