31.リバースヒーロー
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『面会できないって…どういうことですか…?』
翌日、あちらこちらと奔走しなんとかヒナと和泉が入院している病院を突き止めた佐奈だったが、
病室の前で強面の警官に行く手を阻まれ思わぬ足止めをくっていた。
「今は朝比奈冴嶋両名とも警察の監視下に置かれている、家族以外の面会は禁止されている!!」
『二人共家族はもう…だから私が家族のようなものですっ…!!』
「だから…身分証明が出来ない以上通せない!!」
『名前は橘佐奈22歳、両親と弟の四人家族で血液型はO型、誕生日は7月12日のかに座、好きな食べ物はハンバーグとアップルパイですっっ!!!!』
「誰もそんなことは聞いていないっ!!帰りなさいっ!!」

『~~~~!!!!!!!!!!!!』
二人の病室と思われる所を回ったが、そのどちらでも部外者とはじき出されてしまった。
佐奈はさんざん食い下がり警官と口論したのち、トボトボと諦め病院を後にした。
(やっと二人を見つけたっていうのに…どうしよう…。)
二人の顔を見ることも状態を知ることも出来なかった佐奈。
まるで、もう関わるなと言われているような孤独感に、ハアと小さくため息をついた。
あの扉の向こうには、私の大切な人が眠っているかもしれないのに…。
まさか、もうこのまま…?

佐奈はすぐに顔を上げブンブンと頭を横に振ると、ギュッと拳を握りしめ足早にその場を立ち去った。
佐奈の手にはまた新たな目的地への地図が携帯で検索されており、今度はそこに向かって足を進めた。
だが佐奈を待ち受けていた残酷な現実は、これで終わりではなかったのだ。
『なっ……どうしてですか!?』
「九条、新藤ともに共犯者の有無が証明されていない為、接見禁止命令が出ていますので…。」
『そんな…共犯者って…!!』
ヒナ達の病院を後にした佐奈がその足で向かったのは、九条と高虎が送られた留置所だった。
だがそこでもまた先程と同じような対応を受けた佐奈は、オロオロと完全に動揺を隠せなくなっていた。
『い…いつになったら会えるようになりますか…?』
「まだ取り調べが始まったばかりですし詳しいことは話せないのです、申し訳ないですが。」
『じゃああの…進一郎さん…南在警視総監にはお会いできないでしょうか?今…どこに…』
「南在警視総監!?本庁だとは思いますが、詳しい居場所は機密事項なのでお話しできませんよ?」
『…そう…ですか…そうですよね…。』
佐奈はそう言って申し訳無さそうに頭を下げる警察官にペコリとお辞儀を返した。
ここで自分が暴れたり態度悪く振る舞って九条に迷惑がかかってしまうかもと恐れた佐奈は、何も言わずすごすごとその場を立ち去った。
だが、佐奈はまだ諦めたわけではなかった。
佐奈はその足で、進一郎がいると思われる警視庁本部庁舎へと向かい、陽が暮れるまで進一郎を待ち続けたのだ。
そうして時計の針が五時と少しを過ぎた頃、
佐奈の目の前には見覚えのある後ろ姿が現れたのだった。
『…あの、南在進一郎さん!!』
「…お前は…。」
「何だ君は!!」
突然現れた佐奈に、進一郎のSPと思われる男達は瞬時に進一郎の前に立ち塞がり、佐奈は男達の手によって止められてしまった。
だが佐奈はそれに屈することなく、冷ややかな目を向ける進一郎に必死に言葉を投げかけた。
『きちんと真実を話して下さい…!!ヒナさん達を悪者にして…また真実を隠すつもりですか!?』
「……。」
『命を張って国を守ってくれた人達に対して…あなたは何も思わないんですか!?孝之助さんのお兄さんなら…きっと…』
「…お前には関係のないことだ。」
『進一郎さん!!』

必死に訴えかける佐奈に、進一郎は一度だけ視線を向けた。
そしてたった一言だけ、聞き取りづらい小さな声ではあったが、佐奈に言葉を返した。
「俺ごと全てを刈り取れと、そう伝えろ。」
『……!?』
進一郎はそう一言告げると、すぐさま車に乗り込んでいった。
男達に押さえつけられ進一郎の車を見送った佐奈は、その言葉の意図が分からずただただその場に立ちすくんだのだった…。
................................................................
ー…ザク…ザク…
『はぁ……』
あれから佐奈は意気消沈しながら、トボトボと夕暮れの道を一人歩いていた。
皆を助けようなんて意気込んで出掛けたものの、情けないことに皆に会うことすら叶わなかった。
言い知れぬ不安が胸を襲ったが、佐奈はまた頭をブンブンと振り自分を奮い立たせると、事務所へと足早に戻って行った。
ー…ガヤガヤ…
『…ん…?』
佐奈が事務所のある通りに差し掛かると、明らかにいつもとは違う人の数に佐奈はぎょっと驚いた。
そんな人だかりを必死にくぐり抜けると、その先に見えたのは事務所に群がる大勢の報道関係者だった。
集まった報道陣は事務所に戻った佐奈の姿を見つけると、すぐさま佐奈を取り囲むように群がった。
「南在探偵事務所の方ですよね!?今回のネット機器停止騒動にこの事務所の方が関わっているとの噂は本当ですか?」
「かなり有能なハッカーの方がいたとのことですが、その方の情報を教えては頂けませんか?」
「あの、こちらで働いていた方が皆前科のある方だというのは本当ですか?今回の件もやはりその方々が中心になったと!」
『………!?』

口々に佐奈に投げつけられる不躾で残酷な言葉の数々。
佐奈はその勢いに飲まれ反論することも出来ないまま必死に報道陣達の群れを掻き分けようとすると、その中の一つの言葉に佐奈の体はピクリと止まった。
「あなたも彼らに騙されていた被害者の一人という事でよろしいのでしょうか?」
『…被害者…!?勝手なこと言わないで下さいっ!!何にも知らないくせにっっ!!!!』
「……。」
ー…バタバタバタ…
そう一言報道陣達に言葉を返すと、佐奈は急いで事務所へと駆け戻った。
息を切らしたまま事務所の扉の鍵をかけた佐奈は、けたたましく鳴り響いていた電話の音に耳をふさぎながら事務所の一番奥にあるヒナの部屋に駆け込み閉じこもってしまった。
『ハア…ハア…ハア………!!』

怒りと恐怖が入り混じった複雑な感情で、佐奈の手はガクガクと震えていた。
ここなら誰の声も何の音も聞こえない。
大丈夫、まだぜったいにだいじょうぶ。
ぜったいに。
佐奈は折れそうになる心を必死に奮い立たせ自分にそう言い聞かせると、一人毛布にくるまって外の騒音をかき消した。
未だヒナの匂いが残るその毛布にくるまりながら、佐奈はそのまま一人事務所で夜を明かしたのだった。
