29.利用と救済と
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ー…ドドドドドドド
「…ちっ…。」
「こちらもお前を簡単に殺れるとは思っていない、だからこそお前を誘い込んだんだ、その理由が分かったか!!あははははは!!お前を殺して事務所の残りの連中もすぐに消してやる、余計なことに首を突っ込んだ事を悔いるんだな!!!!」
「…ったく胸くそ悪いな…てかどんな業者が請け負ってんだよ、こんな建物。」
数十の銃口から一斉に和泉目掛けて飛び出した弾丸、
和泉はその全てをかわしながら、辺り一面に飛び散っていた古い血痕に目を向けていた。
恐らく都合の悪い人間を消す部屋として使われていたのか、異様な雰囲気が漂うその部屋に和泉は顔をしかめチッと舌打ちをした。
ー…ドドドドドドド
ー…ドドドドドドド
「今までこの部屋から逃げ延びた奴などいない、諦めろ!!」
「大層自信あるみてーだけどな…クソつまんねえ仕掛けだぞ。」
「…何だと?」
「機械が相手とは…俺もナメられたもんだ。」
和泉はそう言うと、脱ぎ捨てた上着を天井近くまで放り投げた。
すると銃口は一斉に上を向き、放り投げた上着目掛けて発砲を開始した。
「何!?」
「熱反応があって動くものを撃ち抜くようにプログラムされてんだろ、てことは…」
ー…ダダダダダダガンッ!!…ガンッ!!!!
「……!!!!」
和泉はそう言うと、壁の数箇所に規則的に取り付けてあったセンサーを銃口が上着に向いたその一瞬にことごとく壊していった。
そして標準を見失った銃は、まるで血迷ったかのように真っ直ぐ銃弾を乱射し続け、正面に据えられた銃を互いに大破させた。
「…これで終いだ。」

「…貴様…!!」
「銃ってのは生きた人間が標準を合わせて撃つからこそ生きた軌道になんだ、一般人を何人ここで殺ったか知んねえけどな…こんなハリボテで俺を殺れると思うなよ……!!」
「そう簡単にはいかないわけか。」
瀬尾がそう言って困ったような顔で首を傾げると、和泉はモニタにうつった瀬尾をキッと睨みつけた。
「俺はお前ら全員をぶっ殺したいほど許せねえけどな…おっさんがいたら絶対そうは言わない。だから二度と俺の仲間に手を出さねえとや約束しろ、そうすれば…」
「何を馬鹿なことを!!この程度で終りと思ってもらっては困る。それにバベルにはまだまだ稼がせてもらわなくちゃ困るんだよ…
その為にはどうしても事実を知ったお前らと、バベルに対抗できる"あの男"を消してしまわないといけなくてね。」
「ヒナか…。」
ー…ガチャ…
「!!」
「今度はお望み通り、"生きた人間"を差し向けてやるとしよう。」
「…てめえも大概懲りねえな。」
瀬尾がそう言って合図を送ると固く閉ざされていた扉が開き、さほど広くもない部屋に数十人の男達が入ってきた。
男達は皆それぞれ物々しい武器を携えており、皆一様に和泉を殺気立った目で見つめていた。
「てめえら…はした金で命捨てたくねえなら今すぐ失せろ、頭にきすぎて手加減できん。」
「……俺らにはそんなこと出来ねえんだよ。」
「…は?」
男達の言葉に和泉は首を傾げながらも、銃やナイフを向ける相手を前に腰を落とし構えた。
「一対一では武器など持とうともこいつらでは勝てないことは分かっている…一斉にかかれ!!!!」
「死ね!!!!!!!!」
「……。」
部屋に響き渡るような掛け声を筆頭に、男達は一斉に和泉目掛けて各々手にした武器を振り下ろした。
だがその瞬間和泉の姿は男達の前から消え、気が付いた時にはもうすでに和泉の手は男の首を捉えていた。
「なっ…」
ー…バキッ!!…ベキイッ!!!!!!ドスッ!!!!
「ぐはっ…!!」
「うわあああ!!」
ー…ベキイッッツ!!!!!!
一人二人と迫り来る敵を地に伏せていった和泉。
相手は大層な武器を持っているとはいえ、せいぜい喧嘩が強い程度の素人だった。
数年間人を倒すことだけを叩きこまれ、実際に生死を掛けた戦いをしてきたことが体に染み付いている和泉にとっては、
そんな程度の相手の動きなど、ほとんどスローモーションに見えているも同然だった。
そうして一人、また一人と敵は倒れ戦闘不能となり、和泉は放り出された物騒な武器を1つずつ使えないように壊していった。
圧倒的な頭数で襲いかかった男達だったが、その力の差は蟻と虎ほどの差があり、気がつけば周りには残す所片手の指で足りるほどの人数となってしまっていた。
そんな中、和泉が殴る手を止めあることに気が付き、掴まえていた一人の男の顔を覗きこんだ。
「か…はっ…!!」
「…てめえ…佐奈とヒナを襲った奴だな…?」
「…ひっ…ひいいっ…!!」
ー…コツ…コツ…
「お前のせいで二人は怪我をして…そのせいでおっさんも刺されたんだよ…なあ…どうしてくれんの…?」
「やっ…やめろ…」
「うりゃああああ!!」
「死ねええ!!」

ー…バキッ!!ベキイッ…!!
背後から襲いかかってきた男二人を和泉はあっという間に地に沈めると、
二人を襲った男に再び向き直り、沸々と湧き上がる怒りをこらえきれないように男の髪を鷲掴みにした。
「やっ…やめてくれ…頼む…!!」
「やめろってさあ…佐奈もそうお前らに言ったんじゃねえの?
それでも止めずに何の抵抗もしねえあいつらをボコボコにしたってのに、今度はお前が"や め ろ?"」

「ち…違…俺じゃない…!!」
「手え出したなら…終いまで責任持ちやがれ!!!!」
ー…ドンッ!!!!!!
「…?」
和泉がありったけの殺意を持って男に拳を振り下ろそうとしたその瞬間、和泉の頬を銃弾がかすめた。
和泉は銃を発砲した人間の方にゆっくり目を向けると、そこには見覚えのある懐かしい顔が立っていた。
「そいつから…手を離して。」

「………てめえ…千咲…。」
和泉にまっすぐと銃口を向けていたのは、髪を一つにまとめじっと和泉を睨みつける千咲だった。
和泉はそんな千咲を見ながら、戦意喪失して震える男から手を離した。
千咲は殺気だった目で和泉をじっと見据えていたが、その銃口の先がブルブルと小刻みに震えていることに和泉は気付いていた。
「お前がスパイだったってのは…本当だったんだな、こうしてここで会うまでどっか実感わかなかったんだけどな。」
「ふん…あっさり騙されてたものねえ…特にあんたなんて絶対気がつかないバカな男だろうって思ってたわ。」
「まあいーよ、気付かなかった俺も俺だし、馬鹿ってのもまあ合ってる。……だけどな」
ー…ジャキッ…
「俺はお前を許せそうにねえ…その銃身がガクついた銃で殺せると思うなら撃ってみろ。だがその瞬間に俺は、お前を撃ち殺すぞ………!!」
「……!!!!」

和泉はそう言うと、懐に隠し持っていた高虎の銃をまっすぐと千咲に向けた。
だが和泉の気迫に圧倒されながらも一歩も引かずにその場にとどまる千咲に、和泉は解せないようで首を傾げた。
