22.父親は誰だ
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ー…ガチャ
「お~い佐奈…大丈夫かー…?」
具合の悪そうだった佐奈を心配した和泉は、佐奈の様子を伺うため佐奈を探していた。
仮眠室で休んでいるかと思った佐奈だったがそこには佐奈の鞄だけが置かれ、佐奈の姿は見当たらなかった。
(トイレか?どこいったんだあいつ……ん?)
ー…カツッ…
「…………お。」
和泉は佐奈の鞄から落ちたらしい細長い箱を蹴ってしまい慌ててそれを拾い上げた。
だがその箱に書かれた文字を見た和泉は一瞬のうちに固まり言葉を失ってしまった。
「に…妊娠……?!!!!」
ー…コツコツコツ
「!!」
突如目に入った妊娠の二文字、
廊下から聞こえた足音に和泉は慌てて検査薬の箱を佐奈の鞄に戻すと、そそくさと仮眠室を後にした。
だが妊娠検査薬など見たこともなかった和泉は妊娠の二文字それだけに衝撃を受け、蒼白な顔で部屋を後にしたのだった。
.............................................................
ー…ガタタッツ!!!!!!!!!
「「佐奈が妊娠してるうううううう!?」」
「……うん。」
和泉から突如衝撃の事実を聞かされた孝之助と九条は、驚き思わずその場に立ち上がった。
「本当なのか!?何で…!?」
「佐奈の鞄から妊娠の時の薬みたいなのが落ちてきた…。」
「だとするとあの具合が悪そうなのもイライラしてるのも妊娠の症状だとすると理解できますね…。」
「おいおい…まじかよ…。」
社内恋愛はいいだとかホテル行こうと構わないだとか言っていた孝之助だったが、
この時ばかりはできちゃった婚となりそうな娘の父親の心境になり、ハアと息を吐いた。
「で…父親は誰なのよ…」
「すまんおっさん俺かも…。」
「私かもしれません…。」
「はい嘘つかなーい!!!!!佐奈とやったことあんのかお前らは!!」
「…無いけどキスで妊娠しないとも言い切れないかもしれないじゃん。」
「私ともなればもしかしたら目が合うだけで可能かもしれません。」
「いっぺん突き落としたろかお前ら。」
大真面目に佐奈の子の父親の座を争う二人に孝之助は更にハアと溜め息をつくと、ドカッとソファに身を預けた。
「ったく…普通に考えてヒナだろ、あいつは知ってんのか。」
「さあ、寝てたし知らねーんじゃねえの?」
「それにしてもヒナが父親ですか…世も末ですね。」
「「確かに…。」」
3人は互いに顔を見合わせて困ったような顔でヒナをまじまじと思い浮かべた。
「無口無表情無愛想、あんな父親って絶対子供ひねくれるぞ。俺ヒナが子供と接してるとこ見たことねえよ。」
「まあだいぶマシになったとはいえ基本佐奈以外に無頓着だからな~あいつは。」
「いっそ事務所全員で育てるという形をとったほうが子供の人格形成の為にはいいかもしれません。あ、でも和泉は悪影響の塊ですね。」
「悪影響の塊はてめえだろうが!!お前に似たパターンが一番悪いわ!!」
ギャーギャーと言い争う二人を見ながら孝之助はガクッと肩を落とすと、ガシガシと頭をかいた。
「まあ…ヒナも対話力が無いだけで経済力あるし子供じゃねえんだ、どうするかは二人で決めることだ、ほっとくぞ。」
「そうですね、寧ろ気にしてあげるべきは佐奈さんですね。無理させないようにしないと。」
「全くもって納得いかねえけど…佐奈は心配だから俺、荷物とか持つよ…。」
「よし、取り敢えずこの話は置いといて仕事だ仕事、DNA鑑定しなきゃいけねえんだからな、忙しくなるぞ!!」
「…。」
「…DNA鑑定。」
「何だよ。」
「佐奈の子供生まれたらDNA鑑定とかしてみても…」
「何で。」
「俺の子供かも。」
「私の子供かも。」
「お前らはいい加減諦めろっっっ!!!!!!」
そうして当の二人を置いてきぼりにしたまま話を完結させた三人は、各々決意を胸に仕事に戻っていった。
まさか自分の知らないところでこんな話をされているとは、佐奈本人全く気づいていなかった…。