18.姿なき断罪人
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ー…ピンポーン…
『九条さん…ご飯をお届けに来ました~…ん?』
佐奈が九条の部屋のドアを開けると、リビングのソファに九条が横になっていた。
『九条さんこんな所で…風邪悪化しますよ!?』
「……。」
『九条さん?』
「……。」
いつもほんの少しの物音でも目を覚ます九条。
声をかけてもピクリともしない九条に、佐奈は少し不安になり九条の胸に耳を当てた。
『………生き…てる…?』
「に決まってるでしょう。」
ー…ガバッ!!!!!
『わああああ!!!!!!び…ビックリさせないで下さいぃぃ!!!!!』
「そっちこそ縁起でもないこと言わないで下さい。」
突如目を覚ました九条に佐奈が驚き慌てると、九条は笑いながら体を起こした。
『あ…夜ご飯、冷蔵庫にいれてますので良かったら体調のいい時にでも食べて下さい!!』
「ありがとうございます、頂きますね。今日はどうでしたか?仕事は。」
『今日…九条さんが受けていた案件解決しましたよ…孝之助さん、凄くかっこよかったんですって!!』
「ほ~あのおじさんが?」
『はい、あのおじさんが!!』
そう言って二人は顔を見合わせると、楽しそうに笑いあった。
佐奈も今日は現場には行っていなかったが、ヒナと和泉から聞いた話を事細かに九条に伝えた。
「でも…解決して良かったです…さすが孝之助さん、一応所長なだけはありますね。」
『本当です!!でも私孝之助さんのこと、ほとんど知らないんだなぁって改めて思いました…凄い弁護士だったんですね…初耳でした!!』
「まあ…孝之助さんもその時代の事はあまり話したがりませんからねぇ…私の弁護をしてくれたのもその自殺の件の後ですし。」
『そうなんですね…。』
「孝之助さんは自分を弁護士には向いてないダメ弁護士だったって言いますけどね…私にとっては命の恩人です。
孝之助さんが声をかけてくれなければ、私はまた刑務所にいたか死んでいました。」
『九条さん…。』
「孝之助さんは自殺した少年の罪滅ぼしのために私達を拾ってくれたのかもしれないですけど…私はそれでも嬉しかった。」
『はい…私もです…!!』
少し辛そうな顔で昔の自分を語る九条に佐奈が思わず口をつぐむと、九条は佐奈を引き寄せ笑った。
「あなたもですよ、佐奈さん。」
『……へっ?』
「あなたと孝之助さんに、私は生かされました。」
『…え?…いえ…私なんてそんな……!!』
「ありがとう。」
『……!!!!……………はいっ…!!』
佐奈の頭を撫でながらそう言って嬉しそうに笑う九条に、佐奈は思わず照れてうつむいた。
「あ、佐奈さん睫毛にゴミが。」
『え!?どこですか?』
「じっとして。」
九条にそう言われ思わず目を閉じた佐奈に、九条はそっとキスをした。
突然の感触に頭が真っ白になった佐奈は、目の前にいた九条を見て顔を真っ赤にした。
『……えっ!!!!?』
「あ、気のせいでした。」
『く…九条さんっ?!今…何を…!?』
「明日からこれでまた元気に仕事出来そうです♪あ、ヒナには内緒ですよ、事務所のパソコン使えなくなると困りますからね。」
『えええ!?ちょ…九条さん~~~!!!!!????』
【18】姿なき断罪人 -END-
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